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2022.12.08 NEW

注目され始めたゼブラ企業の特徴とは? ユニコーン企業との違いもあわせて解説!

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ユニコーン企業を知っている人は多いかもしれないが、ゼブラ企業という言葉はご存じだろうか。ユニコーン企業が高い成長性で注目を集めているのに対し、ゼブラ企業はサステナビリティが求められる社会で注目され始めている。日本は事業の成長を通じてよりよい地域・社会の創造を目指す企業が多く、社会貢献を重視するゼブラ企業が育ちやすい素地が整っているといえるだろう。今後、ゼブラ企業がユニコーン企業のように脚光を浴びるようになれば、日本企業が世界のトレンドに躍り出る可能性もある。そこで今回は、ゼブラ企業とはどのような企業なのか、そしてユニコーン企業にない魅力について解説する。その内容を理解すれば、トレンドの一歩先を知ることができるだろう。

ユニコーン企業とは?

ユニコーン企業というワードを耳にしたことがある人は多いのではないだろうか。ユニコーン企業とは、株式未公開(未上場)のベンチャー企業のうち、時価総額が10億ドル以上の企業のことをいう。ユニコーン企業という言葉が誕生した2013年ごろは、未上場で時価総額10億ドルを超す企業は貴重な存在で、その数も数えるほどだったことから、伝説の生き物「ユニコーン」に例えられた。ただし、ユニコーン企業の数はその後増加が続き、2022年10月時点では世界で1,200社以上に達したといわれている。

ユニコーン企業が最も多い国は米国で、中国などが続く。日本のユニコーン企業数は世界全体の中では少ないものの、緩やかながら増加を続けている。推定評価額が大きいのは、機械学習や深層学習といった最先端技術の実用化を目指す企業や、デジタルトランスフォーメーション・プラットフォームの開発や運営を手掛けている企業などだ。日本の主なユニコーン企業の、事業テーマと事業内容をまとめたものが以下の図である(図1)。

図1:日本のユニコーン企業の事業テーマおよび事業内容
事業テーマ 事業内容
深層学習・ロボティクス IoT分野での活用を中心に、ディープラーニングの研究と開発を行うスタートアップ企業。研究開発を支えるソフトウェアフレームワーク開発から、アルゴリズム、ハードウェア、それらを活かした多数のプロジェクトを推進。
ニュースアプリ スマホのニュースアプリを開発・運営・提供する。
人事管理ソフト クラウド人事労務ソフトの開発・提供をする企業。会議の課題を解決するクラウドサービスなども手掛ける。
ファブレス半導体 工場を持たずに半導体を設計開発するファブレス半導体スタートアップ企業。暗号通貨マイニングやディープラーニング向けの最先端の半導体の設計開発などを手掛ける。
次世代電池 リチウムイオン電池やリチウム金属電池のセパレータ(絶縁体)の研究開発を行う。
新水素エネルギー CO₂フリーの新エネルギー「量子水素エネルギー(Quantum Hydrogen Energy)」の開発・実用化を目指す。
バイオ素材 植物由来の原料をもとに、微生物発酵(brewing)によって作られるタンパク質素材の研究開発・素材提供を手掛ける企業。

企業のWebサイトなどで公開されている情報をもとに編集部作成

ユニコーン企業は、起業家が生まれやすい環境がある国や地域で誕生しやすい。米国の研究によると、起業家が生まれるかどうかは、幼少期に近くに起業家がいたかといった環境や、親の所得水準、リスク選好度の高さ、参入障壁の低さといった要因に影響されるようだ。日本は失敗すると再チャレンジが難しいと考えられているなど、米国と比べると起業家が生まれにくい環境にあるのかもしれない。しかし、政府はスタートアップ支援に取り組んでおり、今後、日本のユニコーン企業もさらなる増加が期待できるだろう。

ゼブラ企業とは? ユニコーン企業との違いは?

ユニコーン企業が先端的な分野における高い成長性で期待を集めるのに対して、SDGsとともに注目され始めたのが、サステナビリティや共存を重視するスタートアップのゼブラ企業(Zebras)だ。企業利益の追求と社会貢献という、相反する理念を両立する様子が白黒模様のゼブラ(シマウマ)に例えられたのが由来だ。

ゼブラ企業の経営は、他社と協調しながら持続可能な成長を目指すスタイルだ。ユニコーン企業が得意分野でオンリーワン企業を目指すのに対し、ゼブラ企業は競合他社との共存共栄を目指す。戦略面を比較すると、ユニコーン企業が独占・寡占、株式市場への早期上場などを主要な目的とするのに対し、ゼブラ企業は社会的な使命や貢献を主要な目的とし、その成果として利益や成長を目指すといった違いがある。場合によっては成長が一時的に停滞しても社会貢献を優先することもあり、企業風土はユニコーン企業と大きく違うといっていいだろう。こうしたそれぞれのイメージを整理したのが次の図だ(図2)。

図2:ユニコーン企業とゼブラ企業の違い
  ユニコーン企業 ゼブラ企業
事業の目的 急成長・株式市場への早期上場 持続的な成長・持続可能な社会の実現
事業活動の結果 市場を独占・寡占 ライバル企業との共存
経営の手法 競争 協力
ライバルとの関係 勝者か敗者 Win Winの関係
経営資源・技術 独占 共有することを容認
受益者 出資者や株主 属しているコミュニティ

日本にはどんなゼブラ企業がある?

では、実際にどのような企業がゼブラ企業と呼ばれているのだろうか。世界に目を向けると、動画配信サービスのコンテンツ制作者などのクリエーター向けに、投げ銭のプラットフォームを提供する企業などがある。利用者の投げ銭によってクリエーターは提供するモノの価値に見合った報酬を受け、利用者は優良なコンテンツを利用し続けることができるというWin Winの関係を築いている。

一方、日本には図3のようなゼブラ企業がある。現時点では数が少ないものの、日本は協調や調和、配慮を重視するといった国民性を持ち合わせているほか、少子高齢化をはじめとした取り組むべき社会問題が多いことから、ゼブラ企業が育ちやすい土壌にあるといえる。今後、ゼブラ企業の認知度上昇に合わせてその企業数も増えていくのではないか。新たなトレンドになる可能性があるだけに、一足先に注目しておくといいだろう。

図3:日本の主なゼブラ企業
解決を目指すテーマ 事業内容
途上国の貧困 途上国から世界に通用するブランドをつくるという理念を掲げて海外で事業をスタートさせた企業。途上国で作ったバッグやアクセサリーの製造・販売を通じ、途上国の貧困問題の解決を目指す。現地スタッフの健康診断などの福利厚生も充実させるなど、働く環境の整備にも配慮している。
教育・障がい者支援・環境問題など多岐 ビジネスを通じて社会問題の解決を目指す企業。社会起業家を目指す若者の支援も行う。手掛けるソーシャルビジネスは、不登校の子どものためのオンライン家庭教師事業、障がい者の就労支援事業など多岐にわたる。
後継者不足 伝統工芸の後継者不足解消を目指し、伝統を次世代につなぐ仕組み作りに取り組む企業。伝統工芸品の企画販売のほか、誰でも伝統に触れることができる学びの場なども提供している。

企業のWebサイトなどで公開されている情報をもとに編集部作成

アフターコロナを迎えた世界では、企業による環境への配慮や社会貢献を重要視する動きを強めており、ゼブラ企業の重要性は今後ますます高まっていくだろう。また、地球のために何ができるのか考えたとき、ESG投資は一つの選択肢になる。SDGsに積極的なゼブラ企業に注目することは、ビジネスだけでなく投資のヒントにもなるのではないか。

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