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2023.09.15 NEW

藤野英人が語るインフレ時代に強い会社 大企業の“反撃”が始まる?【後編】

藤野英人が語るインフレ時代に強い会社 大企業の“反撃”が始まる?【後編】のイメージ

撮影/竹井俊晴

投資信託「ひふみ」シリーズを運営するレオス・キャピタルワークスの創業者である藤野英人さん。2023年4月25日、同社は東京証券取引所グロース市場に上場しました。ひふみシリーズと国内外の年金基金運用等の合計である運用残高が1.2兆円を超え。投資啓発活動も行う藤野さんに、ビジネスパーソンがこれからの投資をどのように考えるべきか、聞きました。

前編で、「株価は正しく、そして間違っている」という2つのメッセージがあると聞きました。会社の株価について、本来この会社が得るべき評価はこうだ、と判断するにはどうすればいいでしょうか。

株価の評価については、様々な議論があり正解はありません。だからこそ、投資家が存在する余地があるんです。企業の株価が必ず一定方向に動くと決まっていたら、投資家もファンドマネージャーもアナリストもいらないじゃないですか。

ファンドマネージャーやアナリストの存在価値は、株式に対するそれぞれの評価の軸を持っていること。その確からしさの戦いがマーケットなんです。

そもそも「投機」という言葉は、リスクの高い短期売買などを指す場合が多いのですが、本来は禅の言葉から来ているのです。師匠と弟子の無限のやり取りのことを指すそうです。

「生きることは何ぞや」と師匠が問うと、「食うて寝ること」と弟子が答え、また師匠が「食うて寝ることとは何ぞや」と尋ねる…こういった問いを何度も繰り返す様子を投機というと。

マーケットも同じで、買い手と売り手の様々な意見を戦わせて真理にたどりつく。捨てる神と拾う神が一致したときに値段が付きます。それが投機に似ているんでしょう。もともとの意味は、2人の人が真実を求め合うことなんですね。

売り手と買い手とは、本来意見は真逆ですよね。それがぶつからないと、株価が形成されない。すごく哲学的な話なんです。

そのマーケットのなかで、どういう評価でありたいか、どういう評価の会社であるべきかを考えるのが経営者の仕事であり、経営企画やIRチームの仕事でもあります。

東京証券取引所が「PBR1倍割れ」の企業へ改善を要請した方針も、ひとつの「評価されたい方向」へと近づく手段でしょうか。

そうですね。日本のマーケットに関して、株価を上げるために何が効くのかという問いに対する、的確な打ち手のひとつです。この件について素晴らしいのは、官邸、政党、東京証券取引所、金融庁、各所のベクトルが合って協調していることです。岸田政権の支持率は下落傾向ですが、一方で経済やマーケットに関しての打ち手は過去の政権でもトップクラスだと思っています。

2000年前後に、とある政府委員を担当しており、そこでは株式市場の流動性について議論されていました。その時に僕が強く主張したのが、「PBR1倍割れの企業は経営を改善すべきだ」ということです。場合によっては上場廃止の基準も引き上げることで、改善を迫ることが、流動性の向上にきくと主張したのです。

そう考えると、今回の東証の要請は、遅まきながらではありますが、nothing too lateです。遅すぎることはない。

インフレ時代、投資をすべき企業を見る目も変わりますか。

より積極的な経営をする会社が強くなるでしょう。工場を建設するなら今年よりも来年、来年よりも再来年のほうがコストは高くなるので、借金してでも今やったほうがいいという考え方ができるかどうか。今までのデフレ社会では、それをやったら負けでしたが、発想を変えて「今できることをやる」という考え方ができる企業が強くなると思います。

もうこの流れは始まっていて、工場建設ラッシュが起きていますね。台湾の半導体メーカーのTSMC(台湾積体電路製造)が熊本県で、日本の半導体メーカーのラピダスは北海道での工場建設を決めました。

どの時代でも、穴=社会課題があります。先見の明がある人が穴を見つけてそれをうまく埋められると、会社が大きく成長するのです。

地盤が揺れると、地面には亀裂が入り隆起や沈降が生まれる。それと同じで今まさに、エネルギーやごみの問題、少子化対策、男女平等社会と、いろいろな社会課題が噴出しています。それを解決できる企業に投資するというのはデフレでもインフレでも変わりません。

社会課題を解決するのは、どんな企業でしょうか。

今の若い起業家が興すベンチャー企業には期待しています。今も、藤井聡太さんや大谷翔平さんのように圧倒的な実力を持ち人格も謙虚という若い世代が活躍していますが、その起業家版のような人が出てきます。彼らには、事業で成功したら私利私欲のために儲けを使ってしまうだろうという雰囲気がありません。

昔は事業で成功した人が、学校や橋などのインフラをつくるために財産を寄付していた例がたくさんありますよね。その時代に戻りつつある。

つまり、10年後20年後のインフレ社会を想像すると恐ろしい面もありますが、少なくとも変わることへの覚悟さえできれば、いい時代が待っていると思っています。

もうひとつ、注目すべきは変わりつつある日本の大企業ですね。市場全体が下がっているときには、目先が利く人がきらりと光る銘柄を探すのが重要ですが、これからは必ずしもそうではないと思っています。

もともと藤野さんは、日本の中小型・成長株の運用経験が長いファンドマネージャーで、レオス・キャピタルワークスは小型株のリサーチに強いと言われてきました。

この20年、日本の大企業はパフォーマンスが振るわない状況が続いてきました。私たちの運用も、時価総額が200位以下の企業への投資によって結果を出していたところがあります。ところが、その潮目は変わってきていますね。大企業の経営が資本効率を重視するなど、グローバル企業へと進化するケースが増えています。

特に、一部の大企業では経営者に変化が表れており、次の時代を担う新しい価値観や変革の意識を持った人が社長になるケースが出てきています。市場全体が上がっているときには、人材や資産、歴史ある商品をすでに持っている大企業は、リスクをとって次の事業に投資することもしやすく、大企業であることが強みになります。日本の大企業の反撃が始まると思っています。

アクティブ・ファンド(アクティブ運用の投資信託)の意味合いはこれから変わりますか。

定義を変えないといけないと思っています。アクティブ・ファンドとは、市場指数への連動を目指すインデックス・ファンドよりリスクを取り、市場指数を上回るリターンを目指すという定義がありますが、それだけではありません。

社会が激動するときに、提示すべきはリターンよりも、僕らはどういう未来を選択するのかということだと思うのです。あるべき未来を提示し、それに共感できる方に投資してもらうというスタンスです。

半年後の業績予想は、僕たちよりAIのほうがうまくできるでしょう。それより10年後にどういう社会をつくりたいのかを提示し、そこから逆算する形で投資先を決めるようにしたいですね。圧倒的なリターンを目指しながらも。

「ひふみ」シリーズなどの僕らの投資信託を合わせると、会社全体で1.2兆円以上の運用資産残高があり、約126万人のお客様に投資いただいています。まだまだ少ないけれども、投資先の企業にとっても無視できる規模ではありません。あるべき未来に向けて企業の社長も僕らも投資家のみなさんも一緒に議論できる場をつくるなど、次のアクティブ・ファンドの在り方を考えているところです。

※本コラムで取り上げられた株式投資等、投資に関する基本的な考え方などについては、あくまで個人の見解によるものであり、野村證券の意見を代表するものではございません。

株式の手数料等およびリスクについて

国内株式(国内REIT、国内ETF、国内ETN、国内インフラファンドを含む)の売買取引には、約定代金に対し最大1.43%(税込み)(20万円以下の場合は2,860円(税込み))の売買手数料をいただきます。国内株式を相対取引(募集等を含む)によりご購入いただく場合は、購入対価のみお支払いいただきます。ただし、相対取引による売買においても、お客様との合意に基づき、別途手数料をいただくことがあります。国内株式は株価の変動により損失が生じるおそれがあります。国内REITは運用する不動産の価格や収益力の変動により損失が生じるおそれがあります。国内ETFおよび国内ETNは連動する指数等の変動により損失が生じるおそれがあります。国内インフラファンドは運用するインフラ資産等の価格や収益力の変動により損失が生じるおそれがあります。
外国株式(外国ETF、外国預託証券を含む)の売買取引には、売買金額(現地約定金額に現地手数料と税金等を買いの場合には加え、売りの場合には差し引いた額)に対し最大1.045%(税込み)(売買代金が75万円以下の場合は最大7,810円(税込み))の国内売買手数料をいただきます。外国の金融商品市場での現地手数料や税金等は国や地域により異なります。外国株式を相対取引(募集等を含む)によりご購入いただく場合は、購入対価のみお支払いいただきます。ただし、相対取引による売買においても、お客様との合意に基づき、別途手数料をいただくことがあります。外国株式は株価の変動および為替相場の変動等により損失が生じるおそれがあります。
詳しくは、契約締結前交付書面や上場有価証券等書面、目論見書、等をよくお読みください。

投資信託の手数料等およびリスクについて

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投資信託は、主に国内外の株式や公社債等の値動きのある証券を投資対象とするため、当該資産の市場における取引価格の変動や為替の変動等により基準価額が変動します。従って損失が生じるおそれがあります。投資信託は、個別の投資信託ごとに、ご負担いただく手数料等の費用やリスクの内容や性質が異なります。また、上記記載の手数料等の費用の最大値は今後変更される場合がありますので、ご投資にあたっては目論見書や契約締結前交付書面をよくお読みください。

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