2024.07.25 NEW
日経平均、半導体株などの急落で38,000円割れ それでも野村が秋以降の株価上昇を予想する理由
日経平均株価、42,000円台から約2週間で38,000円割れまで急落
2024年7月上旬の日本株の最高値更新は、株式需給的にはショートカバー(売り方の買い戻し)によって主導されたと見られます。また、同時期に各国の株価指数で相次いで最高値が更新されたことから、これはグローバルな循環物色の一環とも捉えられます。
その後、7月中旬以降、バイデン政権が対中半導体規制の厳格化を検討しているとの報道や、対中強硬路線が再び明確化したトランプ前大統領のインタビューなどを受け、政策リスクへの警戒が急速に高まり、世界的に半導体関連株が大幅下落となりました。ナスダック総合指数の大幅安と足並みを揃える形で、一時42,000円台を突破していた日経平均株価も大きく調整しました。下落の背景には、CTA(商品投資顧問)の日本株のロングポジション(買い持ち)縮小転換など、株式需給主導の株安圧力の強まりも指摘されています。
本日25日の日経平均株価も一時1,300円を超える値下がりとなりました。これは、前日の米国株式市場でテスラやアルファベットなどの大型テクノロジー企業の決算が嫌気され、ハイテク株の下落が主導して米主要株価3指数が大幅安となったことが影響したと考えられます。
日経平均株価は2024年12月末に42,000円を回復すると予想
今後の展望についてですが、野村では、2024年秋以降に日本株への期待が膨らむ可能性があると考えています。
まず、海外からの資金フローを確認すると、現時点で日本株への大規模な資金シフトは確認されていません。様々な仮定を置いた試算でも、海外投資家は日本株をアンダーウェイト状態にあると見られます。今後、米国の予防的利下げを念頭に、日本株のドルベースリターンの底堅さが意識されやすくなることで、アンダーウェイト状態の解消が期待されます。
日本株固有の評価要因としては、マクロ要因では、日本の賃上げ機運の再燃、日本銀行の慎重な利上げ姿勢、海外に比べた政治の安定性が挙げられます。ミクロ要因では、企業統治改革の継続、東京証券取引所が主導する低PBR(株価純資産倍率)企業に対する底上げ圧力、ポスト「伊藤レポート」の発行、株式持ち合い解消とアクティビスト(物言う株主)の存在感の高まりに伴う規律効果、中間決算期における会社計画の上方修正などが挙げられます。
内外景気を踏まえると、2024年および2025年の世界の実質GDP(国内総生産)成長率は+3%前後の拡大が予想され、国内の名目GDP成長率も+2~3%の拡大が見込まれます。これにより、日本の企業業績は2024年度、2025年度ともに1桁台後半の増益が達成可能と考えられます。
為替の実勢レートなども踏まえて、TOPIX(東証株価指数)のEPS(1株当たり利益)は2024年度に179.4、2025年度に196.9と予想します。2026年度には210前後が視野に入ることから、これらを基にPER(株価収益率)で15倍前後を適用し、2024年12月末にTOPIXは3,000に到達し、2025年12月末には3,150に達すると予想します。また、日経平均株価は2024年12月末に42,000円、2025年12月末に44,000円に達すると予想します。
(編集:野村證券投資情報部 デジタル・コンテンツ課)
編集元アナリストレポート
日本株投資戦略(7月号) – ショートカバー進展も中長期マネーはこれから(2024年7月19日配信)
(注)各種データや見通しは、編集元アナリストレポートの配信日時点に基づいています。
(出所)野村證券市場戦略リサーチ部などより野村證券投資情報部作成
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