2024.08.01 NEW
7月FOMC&日銀会合を通過 今後も株式市場が一喜一憂する可能性 野村證券が解説
FOMCは9月利下げを示唆、日銀は追加利上げを決定
7月31日に、日米の金融政策決定会合の結果が公表されました。FOMC(連邦公開市場委員会)については、政策金利が据え置かれる一方で、パウエル議長が「9月FOMCで利下げが選択肢になる可能性がある」と発言し、9月の利下げがメインシナリオとなっていることが示唆される内容でした。
一方、日本銀行の金融政策決定会合では、政策金利(無担保コールレート・オーバーナイト物)の0.25%への引き上げや、国債買入れの減額計画の策定などが決定されました。
日銀は現状の金融環境が緩和的であることを強調し利上げを正当化しましたが、FRB(米連邦準備理事会)は現状の金融環境が景気抑制的であることを強調し、将来の利下げを示唆しました。この点で、両者は対照的でした。為替市場はドル売りで反応し、ドル円は一時的に150円を割り込むまで調整しました。円高の進行を受けて、8月1日の日経平均株価は一時1,300円を超える値下がりとなりました。輸出関連株を中心に売りが広がっています(2024年8月1日前引け時点)。
今後も日銀の追加利上げを巡って株式市場が一喜一憂する可能性
日銀の追加利上げと国債買入れ減額について、野村では日本株への短期的な影響は軽微と見ています。ただし、今後も日銀による金融引き締め懸念に伴う株安とその反動を繰り返す不安定な展開が想定されます。
2024年4月末以降、日銀会合における利上げ確率の上下が日本株の株価形成に影響を及ぼしてきました。(外部要因をコントロールした上で)日次リターンを検証すると、日銀利上げ1回分の織り込みでTOPIX(東証株価指数)が1.5%下落し、相対的には銀行業、パルプ・紙、高配当利回り株、バリュー(割安)株がアウトパフォームし、不動産業、サービス業やグロース(成長)株がアンダーパフォームする傾向が見られました。今後もイベントのたびに追加利上げを巡って株式市場が一喜一憂する可能性があります。
1975年以降の日銀による利上げ(14回)の際のTOPIXの傾向はややマイナスでした。具体的には、20営業日後に平均値で-2.0%、中央値で-1.1%の下落となり、その後は持ち直す傾向が見られました。250営業日後では中央値で-2.2%、平均値で-6.9%と更に下落する傾向も見られましたが、これらは利上げ後に日米バブル崩壊や世界金融危機が生じたためであり、これらの要因がなければ悪影響は限定的だったと言えるでしょう。
日銀によるETF(上場投資信託)売却懸念は残る
今回の利上げは賃金・経済指標が弱い中で納得感に欠ける面もあり、日銀が金融引き締めを急ぐとの印象を残します。一時的には織り込み済という形で消化する可能性が高いですが、日銀によるETF(上場投資信託)売却懸念が高まる場面も生じうるでしょう。この場合は値がさ株のアンダーパフォームが意識されやすく、銀行株やバリュー株が金融引き締め時のヘッジとして有効でしょう。
(編集:野村證券投資情報部 デジタル・コンテンツ課)
編集元アナリストレポート
・日本株場中メモ - 日銀利上げは想定内も、ETF売却懸念は残る(2024年7月31日配信)
・日本株朝メモ - FOMC通過、ドルベース日本株リターン改善(2024年8月1日配信)
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