2025.01.15 NEW
2025年末の日経平均株価は42,000円を予想 「値上げ×数量×市場規律」効果に期待
※画像はイメージ
2024年の日本経済は、実質GDP(国内総生産)や鉱工業生産が減少するなどの状況がありましたが、TOPIX(東証株価指数)と日経平均株価はそれぞれ二桁の上昇率で年末を迎えました。特に賃上げ率の高まりや円安が、34年ぶりとなる日本株の高値更新につながりました。2025年の日本株の見通しについて、野村證券ストラテジストが解説します。
2025年度は値上げ&数量効果で増益へ
2025年のマクロ環境としては、日米ともに「名目GDP成長率>名目金利」がしばらく続くと予想され、株式が債券よりも優位と見なされやすいでしょう。今後、FRB(米連邦準備理事会)の利下げ停止による金融緩和期待の剥落や、日本銀行の追加利上げに伴う円高進展の懸念はありますが、米国と日本の中央銀行が重大なミスを犯さない限り、その影響は限定的であると考えられます。
日本株の需給においては、2025年も自社株買いが株式持ち合いの解消を上回り、事業法人が日本株の最大の買い手になるでしょう。また、個人投資家のNISA(少額投資非課税制度)を通じた押し目買い意欲も注目に値します。2024年には海外勢が売り越しても日本株が上昇しましたが、海外勢が売り越しをやめるだけでも需給環境は改善するでしょう。
業績面については、日本企業の値上げによる増益効果に加え、今後、数量効果が増益に寄与することで、人件費や各種販管費の増加や円安効果の一巡を相殺すると予想しています。日本の実質GDPと鉱工業生産は24年は前年比マイナスに終わる可能性がありますが、野村では25年には前年比プラスに転じると予想しています。この予想に基づき、25年の業績拡大基調を見込んでいます。
一方、トランプ次期政権のもとでの関税、法人減税、規制緩和の効果は未知数で、業績に対する不透明要因となるでしょう。現時点では過度の悲観も楽観も不要と考えますが、SNS等で短期変動が生じる可能性は否定できません。日本企業の25年度期初予想が示される25年4~5月時点では、保守的な会社予想が示される可能性があります。一方、25年後半にかけて法人減税が具体化する可能性があることや、日本の数量効果による増益効果が四半期業績をサポートするといった点を通じて、年後半にかけて増益の確度が強まる展開を想定しています。
2025年末の日経平均株価は42,000円を予想
TOPIXの12ヶ月先予想EPS(1株当たり利益)は24年度で+9.5%、25年度で+7.9%の増益を見込み、25年中にも200に達するでしょう。TOPIXのPER(株価収益率)は15倍前後が妥当と考えますが、EPSの拡大を主因にTOPIXは25年末に3,000に達すると予想しています。これに対応する日経平均株価は42,000円と見ており、緩やかな株高基調は25年も継続するでしょう。なお、25年12月末までの予想レンジはTOPIXが2,650~3,200、日経平均が37,750~45,000円と見ており、これは期待リターン(=資本コスト、配当込みで+6~7%、指数では4~5%)と整合的です。日本株に過度な期待も悲観もせずに臨むことが、中長期投資にとっては重要でしょう。
日本株上昇のカタリスト(相場や株価の変動を誘発する材料・きっかけ)は、米景気の軟着陸に加え、日本における賃上げ機運の継続、コーポレートガバナンス(企業統治)改革に沿った株主還元や事業ポートフォリオの見直しの進展、国内中長期マネーの国内株シフトなどです。一方、25年7月の参議院選挙後に金融所得課税や法人税引き上げに関する議論が再燃する可能性や、政権の不安定性が一層強まる可能性には警戒すべきでしょう。
電機、機械、内需シクリカル、バリューを選好、自動車などを回避
セクター物色については、外需では25年度も二桁増益予想の電機・精密、機械を選好し、指標面では割安ながらも成長期待が乏しい自動車を回避。内需では25年度の増益確度が高い銀行と情報通信・サービス、建設・資材を選好し、増益予想ながらも賃金上昇率が高い際には劣後しやすい食品、小売を回避するというセクター判断です。
ファクターでは、緩やかな金利上昇が見込まれる点や、24年11月にアップデートされた東証要請が割安企業の底上げに主眼を置いている点、アクティビスト(物言う株主)の存在感の高まりなどから、25年前半もバリュー(割安)株に注目しています。
その他の投資テーマとして、製造業分野ではデータセンター、防衛、原子力、ペロブスカイト太陽電池、宇宙、非製造業・サービス分野ではプチ贅沢、単身高齢者、雇用サービス、アニメ・コンテンツ、保有不動産に注目しています。
(編集:野村證券投資情報部 デジタル・コンテンツ課)
編集元アナリストレポート
日本株投資戦略(12月号) – 25年は期待リターン並みの株高を文字通り期待(2024年12月13日配信)
(注)各種データや見通しは、編集元アナリストレポートの配信日時点に基づいています。
(出所)野村證券市場戦略リサーチ部などより野村證券投資情報部作成
※本記事は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としており、投資勧誘を目的として作成したものではございません。また、将来の投資成果を示唆または保証するものでもございません。銘柄の選択、投資の最終決定はご自身のご判断で行ってください。
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