2025.01.15 NEW
2025年の「日本株テーマ&イベント」を野村證券エコノミスト&ストラテジストが解説
※画像はイメージ
野村證券のエコノミストとストラテジストが、2025年にニュースヘッドラインを賑わす可能性のある日本株のビッグテーマやイベントについて紹介し、その中から主なイベントのポイントを解説します。
注目する10テーマ
ビッグテーマは次の10項目です。
(1)米中景気と政治・政策をめぐる不透明感
(2)日本の景気・業績の国産化
(3)PB(基礎的財政収支、プライマリーバランス)黒字化目標
(4)団塊世代の後期高齢者入りと各種「壁」の見直し
(5)参院選
(6)日本銀行の追加利上げとETF(上場投資信託)の出口問題
(7)GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の基本ポートフォリオとインフレ対応資産運用
(8)東証改革バージョン2
(9)ウォーレン・バフェット氏の動向
(10)読売333(読売株価指数)
です。
昨今、注目度の高いAIや半導体以外にも、10テーマも選出しました。製造業分野では、
(1)データセンター
(2)防衛
(3)原子力
(4)ペロブスカイト太陽電池
(5)宇宙
が注目され、非製造業・サービス分野では、
(6)プチ贅沢
(7)単身高齢者
(8)雇用サービス
(9)アニメ・コンテンツ
(10)保有不動産
が注目されます。
2025年の海外マクロイベント
1月20日にトランプ氏が米国大統領に就任し、市場参加者はSNSを頻繁にチェックすることになるでしょう。2月のドイツ総選挙では右派の台頭と緊縮財政の見直しが注目されます。3月の中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)では景気刺激策が焦点となります。なお、第一次トランプ政権では関税発動が就任から半年後に本格化しており、重要な経済政策イベントは年後半となる可能性があります。FRB(米連邦準備理事会)の利下げペースに関する見通しが定まるとともに、金融政策フレームワーク(枠組み)の見直しやパウエル議長の後任人事が本格化するタイミングに入る可能性があります。
2025年の国内マクロイベント
3月14日の春闘(春季労使交渉)集計値の一次速報が金融政策や内需、業績を占う上で重要です。7月の参院選に向けて、自民党・公明党と政策協定を結ぶ国民民主党などは財政刺激・減税に重点を置くでしょうが、結果次第では政権運営が一層厳しくなる可能性もあります。2025年は団塊世代が全て後期高齢者になる「2025年問題」や「DXの崖(DXの2025年問題)」、PB黒字化期限など、様々な節目の年となります。
一方で、「儲からない事業は人手不足を理由に中止する」という単純な原則が徹底されれば、日本の生産性は向上し、利益率も改善するでしょう。2025年には、食品や鉄道業界で値上げが進み、鉄道路線や小売店の閉店が多く予定されています。一方、大阪では万博(2025年国際博覧会)を基点に、熊本や北海道では半導体工場、福井や広島、福岡では新駅ビルを中心とした再開発が進むなど、東京以外でもインバウンド需要を取り込む動きが見られます。各地で宿泊税導入など、オーバーツーリズム(観光公害)への対応も進んでいます。
セミマクロ・ミクロイベント
3月のエネルギー基本計画の閣議決定により、原子力やペロブスカイト太陽電池への注目が高まる可能性があります。岸田文雄前政権時に決定した防衛費のGDP(国内総生産)比2%目標に向けて、防衛費が名目GDPに連動して増加する可能性も注目されます。一方で、NTT法改正の機運は低下しています。
テクノロジー分野では、1月にエヌビディアの次世代AI半導体「ブラックウェル」の量産が始まり、年後半にはAI半導体の売上が増加する計画です。取引先の半導体製造装置や電子材料への波及も期待されています。2025年には自動車生産が回復し、大手携帯メーカーの新型携帯の発表が相次ぎ、任天堂(7974)の主力ゲーム機「ニンテンドースイッチ」の後継機が発売されることで、汎用半導体の需要が底打ちするかどうかも注目ポイントです。
資産運用分野では、3月末に公表予定のGPIFの基本ポートフォリオ見直しのメインテーマはインフレ対応です。大手生命保険会社も予定利率を40年ぶりに引き上げる予定です。また、読売新聞が新たな株価指数「読売333」の算出を開始します。
コーポレートガバナンス(企業統治)改革では、1月から東京証券取引所の要請で企業の開示が拡充されます。春には「稼ぐ力」の強化に向けたコーポレートガバナンス研究会が取りまとめを公表し、年央には機関投資家向けの行動指針「スチュワードシップコード」の改訂が予定されています。議決権行使助言会社が政策保有株式に関する基準を厳格化しているため、2025年の株主総会では会社側とアクティビスト(物言う株主)との攻防が見られるかもしれません。
(編集:野村證券投資情報部 デジタル・コンテンツ課)
編集元アナリストレポート
日本株メモ – 2025年の日本株テーマ&イベント(2024年12月18日配信)
(注)各種データや見通しは、編集元アナリストレポートの配信日時点に基づいています。
(出所)野村證券市場戦略リサーチ部などより野村證券投資情報部作成
※本記事は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としており、投資勧誘を目的として作成したものではございません。また、将来の投資成果を示唆または保証するものでもございません。銘柄の選択、投資の最終決定はご自身のご判断で行ってください。
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