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2020.03.02 NEW境界線の越えかた

「足で稼ぐ営業」を終わらせたベルフェイス・中島一明―成功へと導いた確かな戦略

「足で稼ぐ営業」を終わらせたベルフェイス・中島一明―成功へと導いた確かな戦略のイメージ

「インサイドセールス(リモート営業)」で営業の概念を覆してきたベルフェイス代表・中島一明。ベルフェイス創業までの破天荒な半生をうかがった前編。続いてこの後編では、事業が軌道に乗るまでの苦労やベルフェイスを成功へと導いた戦略について話をうかがった。

電話営業や訪問営業でもない、営業に特化したWeb会議システムを開発

ベルフェイスでは、法人向けにセールスやサポートという領域に特化したWeb会議システムを提供されています。インサイドセールスを事業化しようと思った理由は何だったのでしょう。

前職の経験で、インサイドセールスが持つポテンシャルは実感していました。あのときは電話で営業をしていて、2年で6,000社と契約できたのですが、仮に全国の企業を1社ずつ訪問営業していたとしたら、その契約数は絶対に実現できなかったはずです。

たしかに、同じ時間で営業をかけられる数で考えれば、その差は歴然ですね。けど、電話営業ってそんな簡単に契約までこぎつけることが出来るんでしょうか?

もちろん電話営業には課題が多くて、電話のみで営業を完結させることの限界も感じていました。

中島 一明のイメージ

訪問していれば手元で資料を見せることも、場合によってはその場で契約することも可能です。しかし、電話では「こういうサイトをやっているので、あとで見ておいてください」としか言えませんから。やっぱりそこで途切れてしまうと成功率は大きく下がります。

電話営業と訪問営業、どちらもベストではないんですね。

電話以外の方法でインサイドセールスができないかと考えて、既存のビデオ会議ツールもたくさん試してみたんですけど、ほとんどが社内会議を前提に開発されていたので、営業現場では使い物になりませんでした。

ITリテラシーがあまり高くない相手に、電話越しでビデオ会議のアプリケーションをダウンロードしてもらい、なおかつ慣れない中で操作してもらうのはとてもハードルが高かった。ものによっては特定のブラウザでしか使えないものもありましたし。

それで、自分たちで営業向けのシステムを開発してしまおうと考えたわけですね!

そう思って調べてみたら案の定、営業マンがお客様とやり取りすることを前提とした営業向けの会議システムは、世界中探してもなかったんです。日本は今後人口が減って、より効率化されたオペレーションが求められるようになる。そういうことを見越して、オンラインで簡単に使える会議システムを作ろうと決めたんです。早速、創業メンバーの1人が私の要望に沿って素晴らしいシステムを作ってくれました。

100社インタビューから厳選した、“ベルフェイスが一番力を発揮する”業種

とはいえ、インサイドセールスが注目されるようになったのはここ数年のことですよね。御社のCMでもあるように「営業は足で稼ぐのが当たり前」という風潮の中でのセールスは、そう簡単ではなかったのでは?

実は、ベルフェイスをセールスする前にやってみたことがあります。それは“企業へのヒアリング”です。

Web会議システムを使ってリモートで営業する、というコンセプトは「間違いなくいいものだ」という確信はありました。ですが、必ずしも全ての業種の営業マンにハマることはないと思っていました。なので、まずはどんな業種・サービスの、どんな用途でベルフェイスが一番力を発揮するかを把握するために、さまざまな業種の企業を100社ほどインタビューしました。

100社にインタビュー! 前職の「社長.tv」でたくさん取材した経験が活かされているわけですね。

まさにそうですね。取材する前はベタに「コールセンターにハマるかな」と思ってたんですが、話を聞いてみると全然マッチしそうにありませんでした。だったら保険の営業はどうだろう? 士業もいいんじゃないか? といろいろ聞いてみましたが、どれもしっくりこない。

たくさんの取材をしていく中で、ベルフェイスが一番力を発揮すると感じたのが、BtoBのSaaS(ソフトウェアサービスをオンライン上で切り売りすること)を取り扱うIT企業でした

そういったIT企業は、従来「1パッケージ数百万円」で売っていたものを「月額数万円」という小さい単位で売っていくサブスクリプションモデルでのビジネス展開をちょうど始めた頃でした。その影響で、月々の営業コストをあまりかけられなくなっていたんです。

中島 一明のイメージ

さらに言えば、こういったサービスは無形商材なので、わざわざ訪問する意味がない。訪問しても、やるのはパソコン画面を見せることだけですから(笑)。

お話をうかがっていると、システム構築もスタートダッシュも、非常にスムーズだったように感じます。

「リモート営業が誰にでも受け入れられるものではない」ということを踏まえた上で、対象企業を絞り、一気にシェアを取るという戦略をとったのは、正解だったと思います。とはいえ、そこからが大変でした。

世界進出に動く、ベルフェイスの勝算

一番大変だったのは、どんなことでしたか?

ベルフェイス自体も月額の利用料をいただくサービスなので、少しでも不具合があると、すぐに解約されて売り上げがなくなってしまうんですよ。特に、最初の頃は「システムがつながらない」というトラブルが頻発しました。

お得意先でつながらないことが数回あれば、その営業マンはベルフェイスを二度と使いません。営業ってそのくらいシビアな世界なんですね。なので、最初の頃はサービスの解約率もかなり高かったです。

そこからどのように盛り返していったのですか?

何よりも力を入れたのは、“プロダクトの改善”です。それに加えて、カスタマーエクスペリエンスを獲得するためのコンサルティングも実施しました。

実際にベルフェイスを使ってくれている営業マンは、お客さんに「やっぱり来社してくれ」と言われることが多くて、ベルフェイスを使わなくなっていく。それが解約されてしまう要因で、大きな課題でした。それを解決するために、訪問しなくて済むための鉄板トーク集を100種類くらい作ったこともあります。営業マンの商談成功のために、そういったサポートを積み重ねて契約継続率を上げて、今はほとんどのお客様が継続して契約していただける状態にまでなりました。

鉄板トークまで作るなんて、とことん営業マンファーストですね……! ベルフェイスは今年で創業5年目を迎えるわけですが、今後の展望、野望についてお聞かせください。

これまでの4年間は、カスタマーサクセスとプロダクトの開発にフォーカスしてきましたが、今年からはその土台を武器により広いマーケットに向けた「本気の勝負」を始めようと思っています。その1つが世界進出。

実は日本って、ベルフェイスがいちばん浸透しにくい国だと思っているんです。首都にBtoB企業がたくさん集中しているし、主な移動手段である電車のダイヤは正確だし、北海道から沖縄まで移動するのに1日もかからない。

そんな日本でこのベルフェイスがある程度の成果が得られたんだから、もっと訪問営業がしづらい国にセールスをしていけば、ベルフェイスはその国々で日本以上に大きなシェアを取れるはずです。いまちょうど、世界進出の準備をしているところなんです。

成功の定義は「今が楽しい」こと

では最後に、30代のビジネスパーソンが多いEL BORDE読者へ向けてメッセージをいただけますか?

うーん、そうですね。日本人って、未来のために“今”を犠牲にしがちだと思うんですよね

高校生は大学受験のため、大学生は就職のため、社会人になれば10年後のキャリアのため、老後のため、みたいに。読者の方がどう考えているかはわかりませんが、私の成功の定義は「今が楽しい」こと。これに尽きます。

中島 一明のイメージ

自分の力で、自分の思い描いた世界を実現しようとしている今がとても楽しい。

確かに、前編で語られた半生では、中島さんはとにかく思い立ったらすぐ行動をしているように感じました!

私は今を重視する考え方なので、「老後のため」とか「10年後のスキルのため」みたいな名目で、今を犠牲にしている人を見るとナンセンスだと思ってしまうんです。

ただでさえ、世界は目まぐるしく変化しているじゃないですか。人工知能が発達すれば多くの人が、いや、みんなが仕事を失うかもしれない。だったら将来のためよりも、今を大事にしたほうがいい。今自分がやりたいこと、楽しいことをやれていればその人生はその時点で成功している。そう考えたほうが人生は楽しいものになると思います。

中島 一明(なかじま かずあき)
1985年生まれ。兵庫県出身、福岡県育ち。21歳のときに株式会社ディーノシステムを創業し、経営者インタビューを配信する動画メディア「社長.tv」を立ち上げる。2015年にベルフェイス株式会社を創業。忙しい中でも欠かさないのが読書。取材当日は、物理学者のスティーヴン・ホーキング氏の著書がカバンに入っていた。

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