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【サイキングアップ:後編】「勝負の時」を乗り切るサイキングアップの身につけ方

【サイキングアップ:後編】「勝負の時」を乗り切るサイキングアップの身につけ方のイメージ

前編で解説したメントレ界隈で注目の「サイキングアップ」。後編では、実際のビジネスシーンにおける「サイキングアップ」の活用術について考えてみる。

“心のトレーニング”は、本番前に焦ってやっても効果が薄い

前回は、気持ちを鎮める「リラクセーション」と、気持ちを高める「サイキングアップ」の両方を取り入れることで、プレゼンテーションなど緊張感のあるビジネスシーンでも、“最適な心理状況”で臨めるようになることを解説した。

ただし、本番の前日あるいは当日に、焦ってメンタルトレーニングを実践したところで大した効果は期待できない。
「千里の道も一歩から」という言葉の通り、リラクセーションとサイキングアップを“心のトレーニング”として毎日の生活に取り入れ、習慣化していくことで、いつでも心を「状況に合った最適な状態にすること」ができるのだ。

ではさっそく、ビジネスシーンや日々の暮らしにメンタルトレーニングを取り入れるための方法を解説していこう。高妻教授によると、サイキングアップを含めた次の「8つの心理的スキル」を日常に取り入れるのが有効だという。

【8つの心理的スキル】

  1. 目標設定
  2. リラクセーション&サイキングアップ
  3. イメージトレーニング
  4. 集中
  5. プラス思考
  6. セルフトーク
  7. コミュニケーション
  8. 本番に対する心の準備

「ここで挙げた8つは、国際大会などで優秀な成績をおさめたトップアスリートたちが、共通して実践してきたことを抽出し、プログラム化したものです。
ある研究報告では、トップアスリートの約79%が、いつでも、どのような状態でもゾーンに入れるという結果も出ているくらい、心をトレーニングすることは大切。また、成果に結びつきやすいものでもあります」(高妻教授)

ならば、これをどうビジネスシーンや日常に活かしていけばいいのか。スポーツ選手の「試合」や「記録会」をビジネスパーソンの生活に置き換えると、「プレゼンテーション」や「商談」ということになる。
つまり、1で「1カ月後に控えたプレゼンテーション」といった目標を掲げながら、そこに至るまでの過程(2~8)を積み上げていけばいい。もし可能なら、短期的な目標とともに「新規事業の立ち上げ」といった中長期的な目標も並行して掲げておくと、より重層的な取り組みができるはずだ。

6のセルフトークは多少わかりにくいかもしれないが、簡単に言えば「自らを鼓舞するような言葉を投げかけていく」こと。「自分ならできる」「きちんと準備してきたので力を発揮できる」など、ポジティブで自信につながる言葉で自己暗示をかけるわけだ。

プレゼンテーション当日の過ごし方をシミュレート

では次に、8つの心理的スキルを毎日実行してきたことを前提に、100%のパフォーマンスを発揮するための「プレゼンテーション直前の過ごし方」の一例を考えてみよう。本番までの行動とそれぞれのポイントを時系列に並べたのが以下のA~Hだ。

  1. 就寝まではいつもと同じリズムで過ごす

    前日は余裕を持って就寝するのがベター。「やり残したことはないだろうか」「まだなにかできるんじゃ?」などと考えず、いつも通りに過ごすことが大事だ。

  2. 当日朝は、リラックスしやすい音楽をかけながら出かける準備をする

    朝の時間を使って、手軽にできるのは音楽によるリラクセーション。起床してすぐは気持ちが安らぐクラシック、出発前ならテンポがよくて気分が高まりやすいユーロビートといった使い分けもいいだろう。習慣化すると、「この音楽が流れたら、この状態になる」という条件づけも確立してくる。また、習慣化による安心感は、呼吸が乱れず平静を保ちやすくなる効果もある。

  3. 優雅で余裕のある気持ちを作りながら、しっかりと朝食を摂る

    スポーツ心理学の観点では、雰囲気作りを優先するため、食事内容までは細かく問わない。胃もたれをするような食事は論外だとして、ここでは好きな食事を摂ることで気持ちを安定させつつ、血糖値を上げておくことが大事だ。

  4. 出発前には、心を鼓舞するような音楽で気持ちを高める

    気持ちが高まるような音楽を聴くなどして一度モチベーションを上げておくと、本番でゾーンに入りやすくなる。

  5. 電車移動中は、聴きなじみやすい音楽をかけて、車内の混雑でストレスを溜めないように心がける

    移動が朝の通勤時間と重なるなら、音楽をかけながらストレスを感じない過ごし方を心がける。可能なら、俯き加減は胸部を圧迫し心拍を乱す姿勢のため、上を見上げるような姿勢が望ましい。

  6. 本番15分前。トイレなどを済ませながら、気持ちを入れ替える

    現場に到着したら、トイレに行くなどして意識的に「気持ちの切り替え」を行い、集中力が高まりやすい状態を作っておく。

  7. 本番10分前。同席している同僚、チームメンバーの緊張をほぐしつつ、リラックスモードを保つ

    5~10分ほどの余裕があるなら、チームメンバーと雑談をしながらリラックスモードで過ごすのがいい。この時、緊張しているメンバーがいれば、本番への気持ちをそらすような会話を心がけてみよう。「焼肉だと、カルビとタン、どっちが好き?」といったような答えやすい会話だと、質問された方も頭の中が質問のほうに移行して、本番への緊張を忘れる(緩める)はずだ。

  8. 本番直前。臨戦態勢を整える

    簡単なリラクセーション(例えば呼吸法や、鼻歌で心を落ち着かせる)と、セルフトークによるサイキングアップで気持ちをゾーンへと近づけたら、いざ本番へ!

本番を終えた後は、「ポジティブ要素」を振り返っておこう

「勝負の時」に向けて、いちばん気をつけるべきは、「特別なこと」「変わったこと」をせず、積み重ねてきた日々の延長として、いつも通りの過ごし方をすること。意気込んで、普段やらないことを取り入れるとペースを乱すだけだ。また、当日は8つの心理的スキルを無理に実行する必要もない。無理なくできることをやりやすい順番で行うほうが、気持ちをコントロールしやすいからだ。

「前編で紹介した琴奨菊関は、NHKのテレビ番組でも取り上げられていた通り、優勝する前までの場所について負けた場面を分析すると、仕切りの際に普段は見せない、目を剥きだすような気合いの入った顔をしていました。これはよくない典型例で、本人は通常以上の気合いを出したつもりでも、心と体はこわばるばかりです。
スポーツ心理学の観点では、ルーティンとは違う所作はもっとも避けてほしい行為。本番前こそ、今までの積み重ねを大切にしてください」(高妻教授)

ひとつ付け加えておくと、メンタルトレーニングにおいては「本番を終えた後の過ごし方にも気を配るべき」(高妻教授)だとか。大切なのは、ネガティブな反省よりもポジティブな要素について振り返ること。そうやってプラスの要素を積み重ねていくことが、少しずつ自信につながり、メンタル面のスキルアップにもつながっていくからだ。

さて、ここまで「サイキングアップとは何か?」と、それを取り入れたメンタルトレーニングについて解説してきたが、いかがだっただろうか。繰り返しになるが、まずは無理なくできることをやりやすい方法で行うのが、トレーニングの基本。自分に合ったやり方を身につけて、本番に強い男を目指そうではないか。

監修:高妻 容一(こうづま よういち)

東海大学体育学部教授。スポーツメンタルトレーニング上級指導士。国際応用スポーツ心理学会、日本スポーツ心理学会など多数の学会に所属し、Sport Psychology Council(世界各国のスポーツ心理学の代表者組織)委員、東海大学メンタルトレーニング・応用スポーツ心理学研究会の代表としても活動する傍ら、現場での指導者として数多くのプロスポーツチームや企業でメンタル面強化のアドバイザーとして参画する。

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