2018.04.09 NEW
【おじさん化対策特集:後編】「カッコイイおじさん」になるために必要な3つのこと
日本はカッコイイおじさんが育ちにくい環境だった!? そんな環境に負けず、カッコよくあり続けるために大切なこととは?
前編では、「おじさんになってしまう理由」を解説した。後編では、そんな日本でどう「おじさん化」しないために対処していけばいいのかを、前編に引き続き、皮膚科医の岩本さんとプレゼンスコンサルタントの丸山さんに教えてもらう。
とその前に、前編で紹介した「4つの社会的背景」には共通する「根っこ」があるのを、お気づきだろうか。
理由1:見せ方、見られ方の意識が低いと「おじさん化」しやすい
理由2:「中身が大事」だけだと「おじさん化」しやすい
理由3:かっこよく年を重ねる意識がないと「おじさん化」しやすい
理由4:異性のパートナーとの関係が薄くなると「おじさん化」しやすい
これら4つの理由の「根っこ」には、自分を客観的に見る視点の欠如、つまり自己認識力の低さが隠れている。
ただ、育たない理由の裏を返せば、それは「育てるノウハウ」になる。つまり、ステレオタイプではなく、柔軟で多様な考え方ができるようになり、自己認識力を高めることが、「カッコイイおじさん」への入り口にもなりえるのだ。
「カッコイイおじさん」になるために大切な3つのこと
では、柔軟な考えを持ち、自己認識力を高めるためには、どのように意識して過ごせばいいのか。先の二人へのインタビューをまとめると、次の3つに集約させることができた。
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脱・年功序列。「フラットな関係」を構築する
おじさんの行動に多いのは、「役職が上だから」「年上だから」と横柄な態度になり、ちょっとした挨拶すら怠ってしまうこと。
そうした行動が習慣化してしまった人は、きちんと挨拶をする人に比べて、感情の振れ幅が少なく、鈍感になりやすい特徴があるのだそう。役職や年齢で人をランク付けし、そこにいる「生きている人」を見なくなっていくことで、人の気持ちにふれる能力が落ちていくようだ。
現に、おじさんの特徴として「無頓着・無神経」を挙げる人は少なくない。相手を「気持ちのある人間」として見ていないことが起因するのかもしれない。そんな「おじさん化」への対策として、丸山さんは「表現をさぼらない」ことを推奨している。たとえ、日常的に何気なくする挨拶であっても、相手にきちんと伝わるように、しっかりと快活に行うことが大事だそうだ。そんな挨拶には、役職や年齢などは関係なく、人と人とのフラットな関係が存在している。
そして、相手をしっかりと「人」として見ることで、その人が何を考えているかという「客観」が生まれ、いずれ自己認識力の向上きっかけになるのだという。
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他人目線で、自分をメンテナンスする
自分メンテナンスをしている人の中で、たまに間違った方向に努力をしてしまっている人がいる。いわゆる「ナルシスト」と呼ばれる人に多い傾向なのだが、そういう人は自分の好みや心地よさだけを追求してしまいがちだ。
上で、フラットな関係を築くことで「客観性」を得ることについて話したが、その視点が欠けると、自分メンテナンスも「自分主体」になってしまう。例えば、ビジネスマナーを知らない、ぐいぐい系のやんちゃな経営者。若い時は「勢いがあるね」と言われ、ある程度は目をつぶってもらえたかもしれないが、40代を過ぎると途端に信用されなくなるケースがある。若い時は猪突猛進がパワーと見なされるが、年齢が上がると「痛いおじさん」「無神経な人」とマイナスに評価されてしまう。
このように、年齢やポジションによって、以前と同じことをしても違うふうに捉えられてしまうことは多々ある。清潔感も同様。若いうちは多少清潔感に欠けていても「ワイルドさ」を演出できたかもしれないが、同じことをおじさんがやっても、ただの不潔になるだけなので注意が必要だ。
近しい人が指摘してくれるような関係性を築くのが理想だが、それが難しい場合は、外部にメンテナンスを委ねるといいだろう。髪型、ファッションなどは、その道のプロがいるお店があるのだから、躊躇せずに任せること。ぜひ、定期的に他人目線で自分をメンテナンスする習慣を取り入れることで「おじさん化」していないかチェックして欲しい。
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好奇心にフタをしない
岩本さんによると、何かに興味を持ちかけても、年齢を理由に「もういいや」と諦めてしまうのが一番良くないという。自分で自分の好奇心にフタをしてしまうと、気持ちが老け込み、ぐっと「おじさん化」が進むのだという。
もし、年齢を理由に何かを諦めしまう自分に気がついたら、年齢を忘れるようにしてみるといい。ちなみに岩本さんのまわりのフランス人は、「年齢は記号だ」くらいにしか考えていないそうだ。このあたりの感覚は見習ってもいいかもしれない。
丸山さんが、いつまでも若々しくてカッコイイなと思う人は、考え方が柔軟で好奇心が強い人。社会に対しても、ニュースに対しても、自分自身に対しても、興味関心が高く、常にアンテナを張っている。
一方で、何事も諦めてしまうような意識の低い人は、せっかくの情報をスルーしてしまい、自分を高めることができないのだという。要は、世の中に対して興味を失った「枯れた状態」がおじさんであり、そうならないためには、興味関心の感度を高く持つことが大事なようだ。
以上が、「カッコイイおじさん」になるための3つ心得をまとめてみたものだ。若々しくあり続けるためには、医学的・外見的な面だけではなく、精神的な面、つまり心の持ちようがいかに大切かを実感していただけたのではないだろうか。
3つの要因はすべて「にわとりと卵」の関係のようにつながっている。だからこそ、すべてに手を抜いてはいけないが、何か1つでも試してみると、他の2つもまわり始め、3つが好循環を生み出していくということ。ぜひ、何か1つでもいいので、できることから始めてみて欲しい。
- 監修:岩本 麻奈(いわもと まな)
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皮膚科専門医。東京女子医大卒業。慶応病院や済生会中央病院などで臨床経験を積んだ後、1997年に渡仏。美容皮膚科学、自然医学、抗老化医学などを研修する。現在はパリとプノンペンを中心に居を構え、皮膚科専門医として欧州大手製薬会社やコスメメーカーなどのコンサルタントを務めるかたわら、日仏を往復しながら美容ジャーナリストとしてさまざまな雑誌メディアやWebサイト、自身の「南仏通信」を通じて美容情報を発信中。著書に『フランスの教育、子育てに学ぶ 人生に消しゴムを使わない生き方』(日本経済新聞出版社)、『生涯男性現役 男のセンシュアル・エイジング入門』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)がある。
- 監修:丸山 ゆ利絵(まるやま ゆりえ)
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日本初のプレゼンスコンサルタント(R)。アテインメンツ代表。
大学卒業後、一流財界人に愛されたホテル西洋銀座、ホテルオークラ神戸および国内のエグゼクティブ向けビジネスクラブ経営会社で、会長秘書をはじめとする要職を歴任し、一流の財界人と交流をもつ。日本有数のビジネスクラブ、アークヒルズクラブ設立時に中心メンバーとして参画したその後、独立。数千人の財界人との交流を通じて培った「超一流とそうでない人の違い」を分析し、一流を目指す人に求められる立ち居・振る舞いを体系化、経営幹部向けに研修・講演やコンサルティングを行なう。大手電気通信事業会社、外資系コンサルティングファーム、生命保険会社などのクライアントから厚い信頼を集める。著書に『「一流の存在感」がある人の振る舞いのルール』(日本実業出版社)がある。