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伝わる言葉を生み、転職を成功させる思考法──「定義」と「比較」でビジネスが変わる

伝わる言葉を生み、転職を成功させる思考法──「定義」と「比較」でビジネスが変わるのイメージ

前回の記事では、「定義」と「比較」を用いてものごとを定量的にとらえる「定量化思考」の方法を紹介した。

今回はその手法をビジネスシーンに活用していく方法、その数字をどんな局面で使うのが効果的なのかについて、前回に引き続きビジネス数学教育家、深沢真太郎さんにお話を伺った。

「ふんわりした美しい言葉」は商談ではNG!

「定義」と「比較」を用いて定量化し、ものごとを考える──定量化思考ができれば、前回の記事で挙げたような(ビジネスシーンで頻出するにもかかわらず)数的根拠を求めづらい概念であっても、より伝わるかたちで表現することができるようになる。

ビジネスシーンで頻繁に交わされる、「弊社にはホスピタリティ精神があります」「このツールを使えば組織を活性化させることができます」といったような、ふわっとしたセリフ。深沢さんは、こうした「ホスピタリティ」「活性化」などの具体性に欠ける言葉を“ふんわりした美しい言葉”、“とりあえず言っておけば格好がつく便利な言葉”と呼ぶ。

「“ホスピタリティ精神”や“活性化”って、美しくて良い言葉ですよね。だけど、ふんわりしていてつかみどころがない。これらをより相手に伝わる言葉にするには、“ホスピタリティ精神”や“活性化”とはなにを指すのかを明確に定義し、比較した上で定量的に表現する必要があります。

たとえばホスピタリティ精神の多寡は、お客様からのお礼のメッセージの数や、SNS上でのポジティブな評判の数に表れると“定義”してみる。その数値をホスピタリティ精神の高さで有名な企業(A社)などと“比較”した結果、数量で劣らなければ、『うちはA社と同じくらいホスピタリティ精神の高い会社です。なぜなら~』と具体性をもって語ることができる。それを言うのと言わないのとでは、相手の納得感がまるで違います」

「活性化」も同様だ。たとえば「当社の開発したツールを導入していただければ、組織が活性化します」と営業する場合、まずはあなたの考える「活性化」とはなにかを定義する必要がある。

社員のモチベーションが上がることなのか、お金をたくさん稼げるようになることなのか。それを明確にした上で、施策前後を比較し、数値として伝える。そうすることで、より相手に伝わる言葉になるのだ。

転職に成功したければ、自分の価値を定量化せよ

また、こうした定量化思考は転職シーンにおいても役に立つと深沢さんはいう。

たとえば、自分が今の会社でどれだけ価値のある存在となっているかを定量的に説明することができれば、“ふんわりした美しい言葉”を用いた場合よりも、より高い説得力をもって自身をアピールすることができるからだ。

では、自分の会社における価値を定量化するためには、どのような「定義」と「比較」をおこなえばよいのか。

「これにもさまざまな方法がありますが、まずは、会社におけるあなたの価値を、“会社の業績に対するあなたの貢献度”であると定義してみましょう。もっとも簡単なのは、自分が会社にいる場合といない場合を比較し、会社の業績にどんな差が生じるのかを考えてみることです。

もしあなたがなんらかの理由で仕事を1カ月まるっと休んだ場合、会社の業績に何%くらい影響するでしょうか。そのようにして算出した、あなたが“いる場合”と“いない場合”の差額が、あなたの会社における価値といえます」

前回の記事をお読みいただいた方は、これが「愛の値段」と同じ話であると気づくだろう。会社における自分の価値は、営業など日頃の業務が直接数字に結びついている人なら比較的想像しやすい。一方で、人事や総務など、直接数字に結びつきづらい業務を担当している人には想像がつきにくいかもしれない。しかし、その場合でも、必ず自分の働きを定量化できると深沢さんはいう。

「たとえば人事担当者の場合、教育研修をしたり、社員の残業を少なくするための施策をおこなったりしているはずです。だとすれば、その結果、社員はどれだけ成長したのか、どれだけの勤務時間短縮につながったのか。人材が成長したことでいくらの業績アップにつながったのか、時間短縮したことでいくらのコストカットができたのか。

業務が直接お金と結びつかなくとも、仕事をすれば自ずと人や時間を動かすことになります。つまり、あなたが関与することで会社ではなんらかの変化が生じているはずなので、それを数字で表した上で、その変化がある場合とない場合を比較すればよいのです」

会社において、人にはさまざまな役割がある。極端な話、周囲の社員を鼓舞することが役割だという人もいるかもしれない。その場合も、自分がいる場合といない場合を比較し、差分を算出する。そうすることで、だれもが「会社における自分の価値」を定量的に把握し、転職の際にも、より高い説得力をもって自身をアピールすることができるのだ。

数字は小さなときめきを生むための手段

定義して、比較する。この思考回路があれば、世の中のあらゆるものごとを定量化して伝えることができる。ただし、重要なのは数字を使う局面を見誤らないことだと深沢さんは注意を促す。

「前回の記事で“愛”を定量化しましたが、たとえ恋人への愛を大きな数字で表せたとしても、私はそれを恋人に伝えません。なぜなら、相手がそれを求めていないからです。『私への愛を数字で示して』なんて人、実際にいたらちょっと怖いですよね(笑)。ここで言っておきたいのは、数字は求められないかぎり──あるいは求められていると感じないかぎり、相手に伝えないということです。当たり前のようですが、実はとても大切なことです」

ビジネスで数字を求められる場面というのは、特にビジネスシーンでは重要な局面であることが多い。具体的には商談や面談などの“勝負どころ”だ。そんな“勝負どころ”で伝わる言葉をつくる。深沢さんが提唱する定量化は、あくまでもそのための手段にすぎない。それ以外の場面で何でも数字で語ろうとするビジネスパーソンは、現実には嫌われることもある。なんでもかんでも数字で語ろうとする「間違った数字の使い方」をしている人が、あなたの周囲にもいるのではないだろうか。

最後に深沢さんはこう付け加えた。

「勝負どころで適切に数字を使い、相手に深い納得を与えることができた瞬間って自分がうれしくなるんですよ。ほんのちょっとの小さな“ときめき”を得ることができる。私は数字の本質はそこにあると思っています。相手を説得したり、論破するための言葉ではなく、ときめきを生む言葉。あるいは、自分のがんばりを証明してくれる唯一の言葉だといってもいいかもしれません」

小さなときめきを得るために、今日からあなたも定量化思考を始めてみてはいかがだろうか。

【お話をお伺いした方】
深沢 真太郎(ふかさわ しんたろう)
神奈川県生まれ。ビジネス数学教育家。理学修士。BMコンサルティング株式会社代表取締役。一般社団法人日本ビジネス数学協会代表理事。日本数学検定協会「ビジネス数学検定」国内初の1級AAA認定者。予備校講師などを経て、ビジネスパーソンの思考力や数学力を鍛える「ビジネス数学」を提唱する研修講師として独立し、人材育成に従事。企業、大学、ビジネススクールなど、延べ8,000名以上への指導経験をもつ。著書にベストセラーにもなった『数学女子智香が教える 仕事で数学を使うって、こういうことです。』(日本実業出版社)など多数。2018年には小説家としてもデビューした。

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