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2017.11.30 NEW

ビットコインだけじゃない! 「ブロックチェーン」が実現する未来とは?

ビットコインだけじゃない! 「ブロックチェーン」が実現する未来とは?のイメージ

革新的な技術として大注目の「ブロックチェーン」。その技術を使えばどんな未来が実現できるのか? システムの基本とあわせて解説!

ブロックチェーン=ビットコインではない

ファイナンス(金融)と技術(テクノロジー)を組み合わせた造語である「フィンテック」。これは、さまざまなIT技術を使って提供される新たな金融サービスを意味するが、そうした「フィンテック」に関連して、いま最も大きな注目を集めているのが「ブロックチェーン」という革新的な技術だ。

ブロックチェーンと聞くと、多くの人は巷で話題の仮想通貨「ビットコイン」を連想するだろう。確かにブロックチェーンは、ビットコインの基幹技術として発明されたもの。とはいえ、この革新的な技術は仮想通貨の世界のみならず、あらゆるビジネスに応用できる可能性を秘めたものだ。

分散型・参加型で実現する管理者不在のシステム

ブロックチェーンの仕組みを説明するとき、よく台帳という言葉が使われる。台帳とは、お金のやり取りなどの取引履歴が書き込まれるもので、私たちがよく使う台帳といえば、銀行の通帳がそれといえる。少し目線をマクロ的にして、一般的な台帳の仕組みを以下の例で見てみよう。

従来の金融取引では、銀行やクレジットカード会社などがそれぞれに台帳を所有し、それらの第三者機関が個々の取引を承認することで台帳が上書きされていく仕組みになっている。
この場合、もちろんそれぞれの台帳を管理するのは決済システムを持つ銀行やクレジットカード会社であり、個々の取引はあくまでもそうした管理者の権限の範囲内で行われている。いわゆる中央集権型だ。

それに対して、ブロックチェーンでは、ネットワークにつながる端末(各ノード)が対等に直接通信を行うP2P(ピア・ツー・ピー)という技術を使うことで、世界中に点在するコンピューターに共通の台帳を分散させる。

もっとシンプルに表現すると、従来のやり方(中央集権型)は「データセンター等に巨大なコンピューター群があって、そこにデータを蓄積していく」ようなイメージ。
一方のブロックチェーンは、いわゆる分散型台帳技術で「大勢の参加者が、インターネットなどのネットワークを通じて自分たちのコンピューターでデータを共有しあう」イメージといったところだ。

さらに、ブロックチェーンが実現する分散型台帳では、ひとつのコンピューターにある台帳のデータベースが壊れたり改ざんされたりした場合でも、他のデータベースでシステムを支えることができる。

多くの参加者が監視することで担保される透明性

各国の政府が発行する法定通貨の場合、もちろんその信頼性は政府が担保してくれる。それに対して、ビットコインなどの仮想通貨は、発行体も中央集権的な管理者も存在しない。それなのに世界各国で幅広く利用されている理由には、ブロックチェーンの技術を使い、取引の履歴である共通の台帳やシステムを動かすプログラムなどを徹底的にオープンにしていることが挙げられる。

例えばビットコインなどでは、すべての取引履歴が全世界に向けて公開され、世界中に点在するコンピューターやその管理者による合意形成によって承認される。合意された取引記録の集合体はブロックと呼ばれ、過去に行われたすべての取引が記録された台帳に、時系列に沿って鎖のようにつながっていく。これが、ブロックチェーンという名の由来だ。

個々のブロックには、ハッシュ値と呼ばれる過去のブロックの取引情報などを基にした改ざん防止用の情報が含まれており、世界中に存在するネットワーク参加者の計算によって整合性が確認された取引のみが記録される。
つまり、一つのブロックを改ざんするとそれ以降のブロックすべてを改ざんしなければならなくなるため、非常に優れた改ざん耐性を発揮。加えて、世界中のコンピューターや参加者たちが相互に監視・協力し合うことで、より堅牢で透明性の高いシステムを実現できるのだ。

世界中で導入が加速。ブロックチェーンが未来を変える?

ビットコインなどの仮想通貨の成功を受けて、近年ではブロックチェーンに大きな注目が集まり、世界中でビジネスへの導入に向けた動きが加速。日本でも多くのIT企業が「金融だけにとどまらないビジネス応用」に向けた仕組みづくりをスタートさせている。

では最後に、ブロックチェーンを活用することで実現するかもしれない、「未来の社会」をエル・ボルデ編集部が予想してみよう。

  • 医療現場

    世界中の医療機関がブロックチェーンでデータを共有し、投薬や手術をはじめとするさまざまな医療行為を随時記録していったとしよう。そうやってできあがったデータベースを見れば、「この症例の場合、どの薬の効き目が高いか」「どの手術の成功率が高いか」などが一目瞭然。世界中のどの医療機関でも、的確な治療を受けられる可能性を高めることができる。
  • 選挙

    毎回、日本でも多額の税金が使われる選挙も、ブロックチェーンを使えば大幅なコスト削減が見込める。加えて、票の数え間違えといった人為的なミスや不正の心配のない、極めて透明性の高い選挙が実現できるはずだ。わざわざ投票所に行く必要がないオンライン投票なら、投票率も間違いなく大幅にアップするだろう。
  • 食の安全性管理

    例えば食品などのトレーサビリティ管理にもブロックチェーンは有効だ。その食品がどこでつくられてどのような流通経路を辿ったのか、すべての情報がブロックチェーン技術を用いて記録されていれば、食の安全性が高まるうえ食品偽装などの問題も起こり得ない。

他にも、ブロックチェーンで我々の仕事の中身が正確に記録されるようになったら…。自分のミスを他人のせいにしたり、誰かの手柄を横取りしたりするやっかいな人間もいなくなって、より正確な評価が得られる社会になるかも。

と、それはさておき。あらゆるビジネス領域から政治の世界まで、従来のシステムを一変させる可能性を秘めたブロックチェーン。大手IT企業であるNTTデータの広報部に問い合わせたところ、日本での本格的なビジネスへの普及は2020年頃になる見込みとか。20代、30代のビジネスパーソンが社会のけん引役となる頃には、ブロックチェーンという新たな技術が、世の中を支える基幹技術になっているのかもしれない。

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