2025.03.03 NEW

バフェット氏の手紙を踏まえた日本株スクリーニング 商社以外への広がりにも注目

バフェット氏の手紙を踏まえた日本株スクリーニング 商社以外への広がりにも注目のイメージ

バフェット氏が毎年恒例の「株主への手紙」を公表

2025年2月22日、米バークシャー・ハザウェイのウォーレン・バフェット氏が毎年恒例の「株主への手紙」を公表しました。この中で、日本の商社5社への追加投資について言及したことがきっかけとなり、2月25日には商社株が大きく上昇しました。過去にも、同社が日本の商社株の持ち分を引き上げた際には、外国人投資家による日本株の買い越しが見られた例があります。

バークシャー・ハザウェイの株価は、「マグニフィセント7」ほどの派手さはないものの、安定してS&P500を上回るパフォーマンスを記録しています。同社のパフォーマンスについては、2018年1月に「Financial Analyst Journal」で発表された”Buffett’s Alpha”という論文で、高いシャープレシオの一因が「高クオリティー・低リスク株への投資」と「レバレッジの活用」にあると整理されています。

同社の保有銘柄の特徴を見ると、S&P500構成企業の中央値と比較して、配当利回りが高く、PBR(株価純資産倍率)やPER(株価収益率)が低い点が挙げられます。また、ボラティリティー(変動率)がやや低く、時価総額が高い一方、ROE(自己資本利益率)はS&P500構成企業の水準とほぼ同等であることが確認されています。

さらに、定性的な観点からは、平易なビジネスモデルを持ち、安定したキャッシュフローを生み出す企業が選ばれやすい傾向があるとされています。かつてはハイテク株や銀行への投資を避けていると言われていましたが、近年では大手携帯会社や大手投資銀行がポートフォリオの中で大きな割合を占めています。2024年2月の株主への手紙では、日本の商社による自社株買いについて評価している記述も見られました。

これらの内容を踏まえ、バリュエーション指標に加え、ボラティリティーや時価総額、ROE、自社株買いの実施といった観点を考慮して、日本株のスクリーニングを行いました。

バフェット銘柄の特性を踏まえた日本株スクリーニング
銘柄コード 企業名 株価終値(2月25日) 時価総額 PBR(実績) PER(今期予想) 配当利回り(今期予想) 1株当たり配当(今期予想) ROE(今期予想) 自社株買い(過去1年) ボラティリティー(過去1年)
10億円 10億円
1808 長谷工コーポレーション 1,969.0 595.0 1.1 15.7 4.3 85.0 6.8 0.6 20.6
2002 日清製粉グループ本社 1,697.0 493.5 1.0 13.7 3.2 55.0 7.1 13.9 22.7
3288 オープンハウスグループ 5,280 655.3 1.3 7.6 3.2 168.0 16.5 20.0 29.2
7203 トヨタ自動車 2,710.5 43,041.3 1.0 9.5 3.3 90.0 10.4 1,200.0 37.2
8001 伊藤忠商事 6,551 10,289.1 1.6 11.5 3.1 200.0 13.9 154.7 32.9
8306 三菱UFJフィナンシャル・グループ 1,960.5 23,170.0 1.1 12.3 3.1 60.0 9.1 400.0 36.5
8316 三井住友フィナンシャルグループ 3,869 14,861.9 1.0 12.1 3.1 120.0 8.2 250.0 35.5
8411 みずほフィナンシャルグループ 4,275 10,593.8 1.0 12.0 3.0 130.0 8.5 100.0 38.9
8725 MS&ADインシュアランスグループホールディングス 3,047 4,886.3 1.1 7.6 4.8 145.0 14.5 250.0 40.0
8766 東京海上ホールディングス 5,144 10,074.0 2.0 10.4 3.1 162.0 19.4 220.0 43.2
9101 日本郵船 5,236 2,446.5 0.8 5.5 5.9 310.0 14.1 130.0 36.9
9104 商船三井 5,502 2,007.6 0.7 5.1 6.2 340.0 14.8 100.0 35.6
9107 川崎汽船 2,130.0 1,458.4 0.8 5.2 4.7 100.0 15.3 190.0 49.1
9147 NIPPON EXPRESSホールディングス 2,653.0 694.3 0.8 13.9 3.8 100.0 5.8 60.0 23.2
9432 日本電信電話 146.9 13,347.1 1.2 12.3 3.5 5.2 9.8 200.0 16.5

(注1)対象は時価総額5,000億円以上のTOPIX500構成企業。(1)時価総額9兆円以上、(2)実績PBR1.9倍以下、(3)予想PER16.6倍以下、(4)予想配当利回り3.0%以上、(5)予想ROE14.5%以上、(6)過去1年で自社株買い取得発表、(7)ボラティリティー(過去1年)23.7%以下という7条件中5つ以上を満たす企業。予想PER、予想ROEはQUICKコンセンサス(東洋経済予想で補完)、予想配当利回りは日経予想。そのほかは実績ベース。2025年2月25日時点。
(注2)三井住友フィナンシャルグループは2024年9月30日を基準日として、1:3の株式分割を実施した。予想1株当たり年間配当金は株式分割調整後の数値。
(出所)QUICK、東洋経済新報社、日本経済新聞社より野村證券市場戦略リサーチ部作成

(編集:野村證券投資情報部 デジタル・コンテンツ課)

編集元アナリストレポート

日本株ウィークリー- 業績改善と一定の割安感がサポート要因に(2025年2月27日配信)

(注)各種データや見通しは、編集元アナリストレポートの配信日時点に基づいています。

※この記事は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としており、投資勧誘を目的として作成したものではございません。また、将来の投資成果を示唆または保証するものでもございません。銘柄の選択、投資の最終決定はご自身のご判断で行ってください。

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