2025.10.20 NEW
「高市ラリー」株高はいつまで? 過去の政治イベントを手掛かりに 野村證券ストラテジストが解説
総裁選直後の株高は必ずしも長続きしない点は注意
10月4日の自民党総裁選における高市早苗氏の勝利はサプライズとなり、財政拡張への期待から週明けの日本株式市場は大幅な株高で反応しました。ただし、過去の自民党総裁選直後のTOPIX(東証株価指数)の反応が良好なケースは、必ずしも長続きしないことも少なくありませんでした。
(出所)JPX総研より野村證券市場戦略リサーチ部作成
野村證券は、初動の株高の後は、人事や連立交渉などを通じて政策の実現可能性が吟味されやすいとみていました。10月10日の自公連立の崩壊で、高市氏が首相に就任できない可能性も意識されました。しかし、15日には自民党と日本維新の会が、首相指名選での協力や連立政権の構築に向けた政策協議を始めることで一致しました。
政策実行への期待が高まれば息の長い株高に
自民党総裁選ではありませんが、2005年9月の総選挙後の郵政改革、2012年12月の総選挙後のアベノミクスなど、レジームチェンジ(枠組み転換)を伴う政策実行への期待が高まれば、息の長い株高となり、海外投資家の買いも継続しやすい点が意識されやすいでしょう。
仮に高市政権が成立する場合でも、政権が短命となる場合や、政策面で独自性を低下させたり、金利急騰を招くようなケースでは、株高の勢いが早期に失速しやすいでしょう。2001年4月の小泉純一郎氏のサプライズ勝利後は、直後の1週間でTOPIXが急騰しましたが、その後の人事が評価されず、上げ幅は帳消しとなりました。
(注)自民党総裁選前後は1980年以降の19回の中央値。2005年9月の小泉劇場と2012年12月のアベノミクスは自民党総裁選挙ではなく総選挙だが、株式市場が大きく動いたため比較対象として示した。
(出所)JPX総研より野村證券市場戦略リサーチ部作成
欧州事例にみる連立崩壊・連立合意前後の株価反応
公明党の連立離脱は株安材料となりましたが、欧州の多党制では連立の崩壊も連立合意も珍しくありません。2005年以降の欧州における連立崩壊の14サンプルで当該国の株価指数を見ると、2週間前後でピーク(高値)からボトム(安値)まで平均2%の株安が目安となり、その後は下げ止まる傾向が見られます。2021年11月にスウェーデン初の女性首相となったアンデション氏が就任半日で辞任した際は、10営業日後にかけて株価指数が5%強下落しましたが、同氏の首相再選出とともに25営業日後には下げを取り戻しました。
(注)欧州における連立崩壊の平均値・中央値はスウェーデン、ノルウェー、フィンランド、ドイツ、オーストリア、ベルギー、オランダ、イタリア、ギリシャの14サンプルが対象。
(出所)ブルームバーグより野村證券市場戦略リサーチ部作成
また、2005年以降の欧州諸国における連立合意時の26サンプルを見ると、連立合意の少し前から当該国の株価指数が上昇する傾向が見られます。2025年4月のドイツの連立合意時は、財政拡張への期待に加え、関税不安の一服も重なり、大幅な株高で反応しました。
(注)欧州における連立合意の平均値・中央値はスウェーデン、ノルウェー、フィンランド、デンマーク、ドイツ、ベルギー、ルクセンブルク、オランダ、オーストリア、イタリア、スペイン、ポルトガル、ギリシャで26サンプルが対象。
(出所)ブルームバーグより野村證券市場戦略リサーチ部作成
(編集:野村證券投資情報部 デジタル・コンテンツ課)
編集元アナリストレポート
日本株投資戦略(10月号) – 日本の「G>R」環境は株にとって基本ポジティブ(2025年10月17日配信)
(注)各種データや見通しは、編集元アナリストレポートの配信日時点に基づいています。画像はイメージ。
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