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2023.02.16 NEW

ビジネスパーソンに必須の思考法! 「目的」を問うことが成果を生み出す

ビジネスパーソンに必須の思考法! 「目的」を問うことが成果を生み出すのイメージ

仕事ぶりが認められて新規プロジェクトのリーダーに抜擢される、幹部ポストに昇進する――。会社からの正当な評価、あるいは期待はビジネスパーソンとしての大きな誇りにつながると同時に、組織に対するエンゲージメント、仕事のモチベーションを高めてくれるだろう。

上から言われたことをこなすだけの、ただのチームメンバーではない。同期・後輩たちがうらやむような新たな肩書を手に入れた瞬間から、自ら培ってきた知見や人間力などを駆使しつつ、チームをまとめ上げ、その肩書に見合うだけの成果を期待される立場になる。

新しい肩書が、勝手に成果を創り出すストーリーを描いてくれるわけではない。強いリーダーとして仕事の価値を見極めて、成果を実現するまでの道筋は自分でつけなければならないのだ。

本書『目的ドリブンの思考法』は、「最小の労力で最大の成果を生み出すための戦略的思考」の「型」を伝授するものだ。

成果創出のストーリーは「目的」設定から始める

ドリブンとは、英語の「driven」のこと。本来は「~に突き動かされた」といった意味だ。ビジネス用語的には、「~を起点にする」といった使い方が一般的だ。『目的ドリブンの思考法』では、望む成果を得たいならば、まず「目的から始めよ」と訴える。

“仕事で失敗したければ、目的を忘れ去ってやればいい”。目的はいわば、その仕事が目指す価値そのものだ。目的を忘れた仕事にいかほどの労力をかけたところで、成果が伴うことは決してない。
(望月安迪『目的ドリブンの思考法』<ディスカヴァー・トゥエンティワン>p.8より引用)

世界有数のコンサルティングファームに勤務している著者・望月安迪(もちづき あんでぃ)氏は、「何をやるか」ではなく、「何のためにやっているのか」を理解しなければ、決して成果にはつながらない、と強調する。

最初に「目的」を明確にすることこそが戦略のキーであり、次に的確な目標の設定、そして優先すべきタスクの判断、さらに組織・チームメンバーの自律的なアクションに至るまで、何事も「目的」から始まる。これが本書に通底する一貫したテーマだ。

「目的」を頂点とする成果創出ストーリーを描くこと。この戦略的思考が、ビジネスにおいていかに重要なのかを示してくれるのだ。

VUCA時代だからこそ未来=目的に目を向けよう

仕事をこなしていく上で、目的意識を持つことなど当たり前の話だ。しかし、戦略や仕事のやり方を考えなければならないリーダーに対して、本書があえて目的の意義や重要性を説き起こしているのには、理由がある。

ビジネスパーソンが生きる現代社会は、世相を反映する言葉の頭文字をとって「VUCA」(ブーカ)の時代と言われている

●Volatile:「変動的な」時代
●Uncertain:「不確実な」時代
●Complex:「複雑な」時代
●Ambiguous:「曖昧な」時代
(望月安迪『目的ドリブンの思考法』<ディスカヴァー・トゥエンティワン>p.29より引用)

本格的なデジタル化の波によって、計り知れないほど多くの既存のビジネスやサービスが淘汰された。伝統的な商慣習も煙のように消え、新しいルールやマナーを生み出している。なんの前触れもなく始まった「コロナ禍」は、世界中の人々の生活や働き方を一変させてしまった。

多くの人が、未来像を過去の延長線上に思い描く。しかし、VUCAの時代になり、若いリーダーにとって過去は未来を予想するうえでほとんど参考にならない。車のバックミラーを見るように自分が生きてきた過去を振り返っても、これからの自分に必要なアクションは判断できない。今は、いわゆる「バックミラー思考」が有効な時代ではないのだ。

過去から未来を見つめるのではなく、「望む未来を自分で描くこと」が必要となってくる。思い描く未来から現在の自分に必要なアクションを考えていく「バックキャスト思考」にシフトすることが求められている。つまり望む未来像を最初に思い描き、目指す目的をはっきりさせてこそ「実現するために何が必要なのか」という逆算の創意が生まれてくる。望月氏は、「目的とは新たな価値を実現するために目指す未来の到達点」で、バックキャスト思考の中核要素と指摘している。

「目的」が明確であれば、仕事のあらゆる局面において「選択と集中」ができるようになる。
(望月安迪『目的ドリブンの思考法』<ディスカヴァー・トゥエンティワン>p.63より引用)

目的に向けたルートの妨げとなっている問題を絞り込めば、集中的に実行すべき具体的なアクションが見えてくると強調する。

また望月氏は、「目的を設定するうえで「能力」(できる/できない)は差し当たっては考慮しない」とも補足する。新たな価値を創出するための目的を制限する足かせとなってしまうためだ。「~すべき」「~したい」といったゼロベースから出発することを肝要とする。答えは未来にある。見つめるべきは過去ではないのだ。

仕事に成果をもたらす3層ピラミッドと5つの基本動作

もちろん、目的を掲げるだけで仕事の成果が得られるわけではない。実行の手立てがなければ、しょせんは絵に描いた餅に過ぎない。まずは「目的」を定める。そして次は、目的の実現に向けて「目標」を設定し、さらに、目標を達成するための具体的な「手段」を考えていく必要がある

●目的(Why):何のために
●目標(What):何を目指して
●手段(How):どのように達成するか
(望月安迪『目的ドリブンの思考法』<ディスカヴァー・トゥエンティワン>p.10より引用)

成果創出のつながりは、< Why(目的) ― What(目標) ― How(手段)>という「目的」を頂点とする三層ピラミッド構造によって成り立っている(図1)。成果創出を実現する仕組みを三層に切り分けることで、目的は下の階層に向けて抽象的なものから具体化され、実務としてどのようにコントロールすればよいのかがはっきりしてくるのだ。反対に、目標や手段は何のためにあるのか、上の各層を通じてその意義や有効性を判断できる。

図1:Why(目的) ― What(目標) ― How(手段)の三層ピラミッド構造

図1:Why(目的) ― What(目標) ― How(手段)の三層ピラミッド構造

出典:望月安迪『目的ドリブンの思考法』<ディスカヴァー・トゥエンティワン>p.52をもとに編集部作成

ここで注目すべきは「上から下」へ「どのように?」と見た場合と、「下から上」へ「何のために?」と見た場合のいずれも、明確な理由によって互いにリンクしている点だ。これこそが、成果を導くための無駄のない戦略だ。

その半面、いくらビジョナリーな目的、的確な目標を定めたとしても、リアルな成果として実を結ぶためには、ピラミッドのベースを支える「手段」が伴わなければならないことがわかる。望月氏もピラミッド全体を支える土台、“戦略の核心”として、「手段」の重要性を強調する

では、「手段」をどのように考えればよいのか。望月氏は、「いつの時代でも、どこにいても、どんな仕事に携わっていても変わらない本質的な技法、すなわち『予測・認知・判断・行動・学習』という5つの基本動作にある」と説く(図2)。

図2:目的・目標達成の「手段」を導き出す5つの基本動作

図2:目的・目標達成の「手段」を導き出す5つの基本動作

出典:望月安迪『目的ドリブンの思考法』<ディスカヴァー・トゥエンティワン>p.151をもとに編集部作成 

●予測:将来に発生する潜在的な問題を先読みし、先手を打つ
●認知:目標の達成に向けて解くべき問題を特定する
●判断:対策案を考案し、優先すべき実効策を意思決定する
●行動:実行策を行動計画としてチームに落とし込み、実行に移す
●学習:経験によって得られた学びを将来の問題解決に転用する
(望月安迪『目的ドリブンの思考法』<ディスカヴァー・トゥエンティワン>p.153・156より引用)

「認知・判断・行動」は現在の問題に対処するための動作、「学習・予測」は将来の問題に対処するための動作だ。これらの基本動作は、何か特別な才能や行動力を求めるものではない。いわば、だれでも、どんな仕事でも有効なものだ。リーダーにとってこの「5つの基本動作」を日々意識しながら磨いていけば、仕事の底力を養うことになるだろう。その場しのぎの小手先の“ビジネスハック”などとは異なる、成果創出のための本質的な力だ。

リーダーが戦略的思考を身に付けるための思考と行動の「型」

「5つの基本動作」を、論理的な思考を行うためのフレームワークの1つのように捉える人もいるかもしれない。しかし、望月氏は「基本動作は頭だけで理解するものではなく、実務の中で何度も揉まれることで自身の技として体得していくもの」とする。思考というよりも行動の「型」というわけだ

「型」とは、熟練者だけが持っているパフォーマンスを普遍化したものといえるだろう。「型」を反復・練習していけば、だれでも熟練者の知恵・身体知を習得できる。しかも、「型」は繰り返される過程で、余計なモノを削ぎ落とし磨き上げられていく。まさに、「選択と集中」により練り上げられた結果なのだ。

「5つの基本動作」を「型」として体得するまでには、いくつかの段階がある。最初は基本動作の役割や意味も知らない。それを知識として身に付けると、次は自分でしっかり意識すれば実行できるようになる。最終的には無意識で実行し、人に教えられる段階にまで高めていけば、自分の技として体得できたといえよう。

この「技化」された状態までに究めれば、自分の状況に合わせて改善するために型の「破」、あるいは型からの「離」も自在となる。自分の環境に最適化された独自のスタイルを確立できるだろう。

目的こそ、リーダーが成果創出するための源泉

望月氏が本書で「型」の重要性を繰り返すのは、<Why(目的) ―What(目標) ―How(手段) >という成果創出のストーリーを周りのチームメンバー、会社・組織に対して一体的に語れることがリーダーに不可欠の要件と考えるからだ。

もし、「目的」しか語れないリーダーならば、非現実的な夢想家のそしりは免れないだろう。「目標」ばかり追求するならば、ただの監視役に過ぎない。「手段」のみに没頭するのはリーダーではなく、それは作業者だ。< 目的 ― 目標 ― 手段 >について全体の道筋を語れる「戦略的リーダー」こそが目指すべき姿だ、と望月氏は言う

そして、なおかつリーダーにとって何よりも重要な役割は「目的を定める」ことと強調する。「目的」が組織やチームを動かす原動力になるからだ

この考え方は、これからの多様性の時代において必要な素養となってくる。上下関係や経験をもとにパワー(権力)を振りかざすという伝統的なリーダー像では、相手は「やらされている」といった消極的な態度しか示さないだろう。だからこそ、リーダーのパワーの源泉を“自分自身” から“掲げる目的” へシフトさせなくてはならない。かつ目的が人々の共感を呼び、意欲や使命感に訴えかければ、周囲も納得し積極的に協力し、リーダーのパワーをより高めてくれるのだ。

望月氏は、「目的は成果創出力を高める究極のレバレッジ・ポイント」だと言う。具体的には次の4点を指摘している。

(1)解決すべき問題を絞り込むことができる(=価値のない仕事を省ける)
(2)スピーディに優先順位を判断することができる(=判断に迷わなくなる)
(3)目的に直結するアクションがとれる(=無駄な活動をなくせる)
(4)成果創出のために組織やチームを動かすことができる(=ワンオペから脱却できる)
(望月安迪『目的ドリブンの思考法』<ディスカヴァー・トゥエンティワン>p.46より引用)

次世代のビジネスリーダーにとって、『目的ドリブンの思考法』は、自身とチームを輝かしい未来へ導く1つの羅針盤となり得るのではないだろうか。

目的ドリブンの思考法

■書籍情報

書籍名:目的ドリブンの思考法

著者 :望月安迪(もちづき あんでぃ)
デロイト トーマツ コンサルティング テクノロジー・メディア・通信(TMT Division)シニアマネジャー
1989年生まれ。飛び級で大阪大学大学院 経済学研究科 経営学・金融工学専攻修了 経営学修士(MBA)。2013年、デロイト トーマツ コンサルティング(DTC)に参画。経営戦略策定・M&A案件を専門とするStrategy & M&Aユニットにも所属し、長期ビジョン構想、事業戦略策定、新規事業開発、企業再生、M&A案件のほか、欧州・アジアにおけるグローバル戦略展開、大規模全社組織再編プロジェクトにも従事。ファーム内で数パーセントの人材に限られる最高評価を4年連続で獲得、複数回の年次スキップを経てシニアマネジメント職に昇格。

出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン

※本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです。

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