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2023.07.06 NEW

この夏は海外へ! 旅行のスペシャリスト・鳥海高太朗さんに学ぶ最新海外旅行トレンド

この夏は海外へ! 旅行のスペシャリスト・鳥海高太朗さんに学ぶ最新海外旅行トレンドのイメージ

新型コロナウイルスの水際対策も落ち着き、日本における出入国もコロナ禍前の日常に戻ってきている。

夏休みも迫るなか、気になるのは海外旅行の動向ではないだろうか。世界の国々の出入国制限はどうなっているのか。日本や欧米諸国で進む物価高は旅行にどんな影響を与えているのか。現在は、どんな国や都市が人気を集め、2023年後半に注目される旅行先はどこか。

航空・旅行スペシャリストとして、国内外の旅行事情に詳しい鳥海高太朗(とりうみ こうたろう)さんに海外旅行の最新動向について伺った。

GWから海外旅行が活発化。ニーズはコロナ禍前に戻るか?

新型コロナウイルスをめぐる状況が大きく変わったのは2023年春からだ。3月にマスク着用の考え方が見直され、5月には感染症法上の分類が5類へと引き下げられた。

株式会社エイチ・アイ・エス(HIS)が行った2023年のゴールデンウィーク(GW)の旅行動向調査によれば、海外旅行予約者数は前年比の約20倍と大きく伸びており、復調の兆しが見える。平均旅行単価は約20万円。旅行先の上位にはソウル、台北、プサンといった近距離の3都市がランクインした(図1)。

図1:2023年GWの海外旅行予約者数トップ5

順位

総合予約者数

1位

ソウル(韓国)

2位

台北(台湾)

3位

ホノルル(アメリカ・ハワイ州)

4位

バンコク(タイ)

5位

プサン(韓国)

出典:HIS「2023年ゴールデンウィーク旅行予約動向」をもとに編集部作成

調査日:2023年4月5日、調査対象:HISのツアー、ダイナミックパッケージ、航空券(宿泊のみは除く)、調査対象出発日:2023年4月29日 ~ 5月7日。

これまでは航空座席供給数がネックとなっていたが、徐々に回復しつつあり、夏季スケジュールから運航を再開・増便する路線も拡大していると、同資料では見解をまとめている。

鳥海さんは「GWの渡航先は、航空機の便数が多く、安めの航空券が出ている都市が目立ちました。インバウンド需要の回復で日本に多くの観光客を送り出している国は、それだけ便の戻りが早く、リーズナブルな価格になっています。現状では韓国がもっとも人気を集め、ハワイも復活してきています。ハワイは便が増えたことで、特にエコノミークラスの料金が下がってきました。夏はハワイが韓国に次ぐ人気になるかもしれません」と分析する。

各国の受け入れも再開。制限なく観光できるように

日本の新型コロナウイルスの水際対策は2023年4月29日から実質的に撤廃されたが、海外の状況はどうなっているかを見ていこう(図2)。

図2:おもな海外旅行先の日本からの渡航者受け入れルール
渡航者受け入れルール
中国 中国便搭乗時に新型コロナ検査結果(陰性)の中国税関への申告(アプリ上)
韓国 健康状態質問書および特別検疫申告書の作成、入国場検疫での発熱チェック、韓国国内滞在住所および連絡先(携帯電話)の提出など
シンガポール 電子入国カード・健康申告書の登録など

出典:外務省「新型コロナウイルスに係る日本からの渡航者・日本人に対する各国・地域の入国制限措置及び入国に際しての条件・行動制限措置」、在中国日本国大使館「新型コロナウイルス感染症(中国渡航に必要な手続)」、在シンガポール日本国大使館「シンガポール入国のための要件について」をもとに編集部で作成

現在、強い制限が残るのは、中国だ。中国に日本人が渡航するときは、搭乗前48時間以内に抗原検査またはPCR検査を行い、その結果(陰性)を中国税関に申告(アプリ上)しなければならない。また、ビザなしでの入国は認められておらず、観光、業務渡航も含め、ビザの取得が必要(2023年5月22日時点)。

ワクチン接種や検査が必要ではないものの、韓国とシンガポールでは健康状態に関する申告が必要だ。

「中国を除けば、ほとんどの国へは何の制限もなく渡航することができるようになっています」と、鳥海さんが指摘するように、各国はほぼコロナ禍前と同様の受け入れを再開していると考えてよさそうだ。

長期化する物価高など、旅行費用への影響はどのくらいある?

アメリカやヨーロッパを中心に2021年春頃から物価高が進んでいる。海外旅行への影響はどのくらいあるのだろうか。

「物価高に伴い、海外旅行にかかる費用は上がっています。航空券代、宿、食事、現地移動、アクティビティのすべてが高いです。個人的には、円安で2、3割、物価高で2、3割は上がっている印象。このダブル効果で、コロナ禍前に比べて少なくとも5割は上がったでしょう。世界の物価高はこのまましばらく継続すると思われますが、一方で日本の賃金はあまり上がっていないので、日本人にとって海外旅行はかなりの負担増になっています」(鳥海さん)

例えば、ホテルの宿泊費を比較してみると分かりやすい。海外旅行者数が特に多い都市の宿泊費をグラフにしたものだ(図3)。これを見ると、おおまかな状況がつかめるだろう。

図3:世界のおもな都市の宿泊費

図3:世界のおもな都市の宿泊費

出典:trivago「The trivago Hotel Price Index – Track Global Hotel Pricing Trends(2023/4/23現在)」をもとに編集部で作成

また、鳥海さんがすすめるのが、世界的なスペシャリティコーヒーチェーンのラテの値段を比べる方法だ。
「私は海外のお店でラテを注文するとき、価格を写真に撮っておきます。そうやって旅行先の記録をデータベース化します。この価格感が、現地のスタンダードな店で食べるときの物価に近いです。アジアには日本よりも高いところもあります」

これだけ海外旅行の費用が高くなると、航空券代や宿泊費をどうやって抑えるかが課題になる。鳥海さんに、費用を抑えられる方法を伺った。

大手エアラインがやっている中長距離LCCを活用するのがおすすめです。格安でアメリカ西海岸、ハワイ、バンコクやソウルに行ける便もあります。あとはエアラインの格安セールもぜひ活用したいところ。ほかにも平日の便で行ったり、航空券やホテルを前倒しで予約したりすることでも費用を抑えられます

大手エアラインの中距離LCCを使うと、航空券代が既定路線の半額ほどになるケースもある。ぜひチェックしてみたいところだ。

夏休み、2023年後半の海外旅行動向は?

物価高の影響が小さくないなか、それでも海外旅行熱が復活している背景には何があるのだろうか。

(1)明確な目的がある旅行
鳥海さんは、「今、海外旅行に行っている人は、現地で○○がしたいという明確な目的がある人です。韓国が人気ですが、韓国へ行って推しのK-POPアイドルのコンサートに行く、コスメを買いに行く、コロナ禍の巣ごもりで見た韓流ドラマや韓流映画の聖地巡礼をするなど、コロナ禍のときから興味を持っていて、新型コロナが終息したら行こうと決めていた人が多いようです。それに加えて、韓国行きの航空券もそこまで高くなく、物価高、円安の影響も限定的ということも後押ししていますね」と分析する。

(2)リピーター需要の旅行
海外旅行のニーズにはもう1つ、コロナ禍前に行った国に再び行きたいというリピーター需要も大きいという。「代表例はハワイです。多くの日本人にとってハワイは慣れ親しんだ場所。一時期は日本からの渡航者が減り、日本語のメニューがなくなるほど変貌しましたが、だいぶ元に戻ってきています。コロナ禍を経て、翻訳アプリが浸透したり、二次元コードでメニューを頼める仕組みができたりして、スマホを上手に使えば、以前よりも便利に過ごせるようになりました。ほかにも台湾やタイもリピーター人気がある国です。特にタイは、あの独特の雰囲気の街並みでグルメを楽しみたい、マッサージにも再び行きたい、高級ホテルがそこまで高くないから泊まりたい、という旅行者が目立ちます」。

(3)子どものいる家族連れの旅行
ファミリー層がレジャーで訪れる国にも傾向があるという。「子どものいる家族連れの場合、やはりビーチが人気の中心です。ハワイ、グアム、バリ島、ベトナムのダナンなどは人の戻りが早い。ビーチ以外ならシンガポール。テーマパークがそろっていて、ハリウッド映画のテーマパークやナイトサファリなどがあり、家族で楽しむことができます」。ファミリー層ならば治安が良く、安心して滞在できて、遊ぶところが豊富なこうした国々が最初の選択肢になる。

(4)国際的なイベントに絡めた旅行
ヨーロッパのおすすめはどこだろうか。鳥海さんはパリを一番に推す。「パリは来年オリンピックがありますし、今秋にはラグビーのワールドカップがフランスで開催されます。国際的なイベントの開催地として、パリの街の変貌を見に行きたいという人は多いです」。

中国の水際対策はどうなっていくのだろうか。「今年の秋以降は、中国の渡航制限もほぼゼロになっている可能性が高い。特に中国からは年間300万人ぐらいの旅行者が再び日本を訪れるようになるという想定です。2020年に羽田空港の国際線の発着枠が最大1.7倍に増やされましたが、コロナ禍で十分に活用できていなかった。その分を、ようやく活かせるようになり、エアラインが本格的に元気になるでしょう。もうコロナ禍前と変わらない状況が整います」。

物価高や円安などの影響もあるが、自分自身にとって目的のある旅であればお金をかけてでも行きたいところ。計画的にお金を貯め、賢く旅行代を節約して、久しぶりの海外旅行を思い切り楽しんでみてはいかがだろうか。

【お話をお伺いした方】
鳥海 高太朗(とりうみ こうたろう)
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