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2018.06.11 NEW 境界線の越えかた

ハートに響いた“かたまり肉の丸焼き”。パナソニック石毛伸吾が商品を実現できた理由

ハートに響いた“かたまり肉の丸焼き”。パナソニック石毛伸吾が商品を実現できた理由のイメージ

かたまり肉を丸ごと、しかも回しながら焼く――。その豪快さと目新しさが話題を呼び、各方面から注目を浴びている調理家電がある。

ロティサリーグリル&スモークのイメージ

パナソニックの「ロティサリーグリル&スモーク」だ。
商品企画という立場でこの製品の開発に取り組んだ石毛伸吾に、数年に渡る奮闘の日々を聞いた。

入社されたのはいつですか?

2005年の新卒採用で当時の松下電工に入社して、約7年間、男性理美容商品の商品企画を担当。2012年からは調理家電を担当しています。調理家電といっても、炊飯器や電子レンジのような“必需品”ではなく、いわゆる“必欲品”と言われる「なければないで困らないけれど、あると嬉しい」もの。たとえばホームベーカリーやミキサー、フードプロセッサーなどの企画開発が私の役目です。

“必欲品”という表現は、ロティサリーグリル&スモークにぴったりだと感じます。開発が始まったのは2015年だったとか。

当時は油のいらないフライヤーや高級トースターが世の中に出てきた頃。私たちは、そうした商品がヒットする様子を悔しい思いで見ていました。そんな中、状況を打開するために「パナソニックは加熱調理技術に強みを持っているのだから、ほかにはない新しい加熱系の調理商品を作ろう」というおぼろげな目標を立てたんです。メンバーも一丸となって「やるぞ!」と燃えていたのですが、なかなか打開できるようなアイディアが出てこず、テーマの検討自体を休止した時期もありました。

プロジェクトを再始動させるに至ったきっかけはなんだったのでしょう。

2015年の秋頃、技術開発のメンバーから「回転調理」という発想が出てきたのがきっかけでした。スペインで、鶏を丸ごと一羽串刺しにして、ゆっくり回しながら焼いているのを見てひらめいたのだそうです。

いわゆる、ロティサリーチキンですね。

実際に会議の場で、鶏を丸焼きしているところを見せられたんですが、あれは衝撃的でしたね。「丸焼きという調理方法が日本で受け入れられるのだろうか」と半信半疑なところはありましたが、「このインパクトはすごい」「日本風にアレンジできたら、ひょっとしたらひょっとするかも」という予感もあって、このテーマで進めようと決めました。

企画に対する社内の反応はいかがでしたか?
石毛伸吾さんのイメージ

アイディアを披露する会議でも、調理実演をしたんです。最初は「おぉ~!」っという声があがってすごく盛り上がったんですが…。しばらくして、冷静になったみなさんに「これ、ないわ」というお言葉をいただきました(笑)。丸焼きという手法に馴染みがなかったことや、当時の試作機が大きかったことで、「日本の台所事情には適さない」と判断されたようです。でも、リアクションや盛り上がりはそれまでにないものだった。あの空気感に触れたせいで、アイディアを諦める気にはなれませんでした。

「これ、ないわ」という言葉より、その場の“エモーショナルな空気”のほうを大事にしたわけですね。

ハートに響くというのは、必欲品にとって大事なことじゃないですか。だから、「だったら何とか形にしてやろう」「このインパクトを大事にしよう」という気持ちが余計に強くなりましたね。

「ない」と言われたところから商品化にこぎつけた決定打は何だったのでしょうか?

やはり、肉そのものの“おいしさ”じゃないでしょうか。肉を回し焼きにする“面白さ”だけでは当然商品にはなりません。なので、回すことの必然性、つまり「回して焼くことでよりおいしくなる」ということを、ロジックと「おいしい!」という感情の両面から訴え続けたんです。「胃袋をつかむ」じゃないですけれど、こういう商品の提案は言葉や見た目だけじゃなく、実際に食べていただいて感情に訴えることが大事ですね。

「おいしさ」を伝えるために欠かせない試食も、相当数行ったと伺っています。

構造が少し変わるだけで焼き上がりにシビアに影響したので、商品の試作も試食も一般的な製品の倍近くやりました。豚も牛も、何頭分食べたかわかりません(笑)。

回しながら焼くというグリル機能に加えて、この製品にはオーブン機能、トースター機能、燻製機能も付加されています。

肉を回転調理するだけの機械であればもっとシンプルにできたと思うのですが、機能が増えたことで、コスト面や構造面に次々に課題が出ていき、それをどううまくまとめていくかが、企画開発担当としての私の戦いでした。特に「ゆっくり焼く」回転調理機能と、「早く焼く」トースト機能の両立はとても難しいものでしたね。
課題が出てくるたびに、「クリアするには、どれか1つ機能を諦めたほうがいいのかも」「やはり回転調理に専念するべきなのかもしれない」といろいろな方向から考えて、どうするかを見極めて、各部門に確認する。その連続です。まるで、4つの商品を同時に担当しているような感覚でした。

日本にはかたまり肉を調理して食べる習慣があまりないので、ユーザー目線で考えれば、日常的に使えるオーブン機能やトースター機能があったほうが魅力的に映るはず。多機能を目指したのもうなずけます。
石毛伸吾さんのイメージ

ただ、たくさんの機能を1つにまとめたことによって、機能面だけでなく人間関係のとりまとめも大変になったんですよ(苦笑)。一般的な製品だとメンバーが数人程度ということもあるのですが、ロティサリーグリル&スモークは、技術開発部門、品質保証部門、製造部門、デザイン部門、調理ソフト部門、制御部門などさまざまな部署から、何十人ものメンバーが関わっていましたから。調理ソフト部門が「この形のほうがおいしく焼きあがるはず」と言えば、設計部門がそれを実現しようと奮闘する。開発中はいい意味で、部門同士が戦っていた感じです。

人間関係を円滑にするために、どのようなことを心掛けていましたか?

いつも顔を突き合わせて働いていることもあって、何か不具合があればすぐに全員が集まれるような体制を作っていました。それぞれが言いたいことを言いながら、最後はわかり合って解決に進めていく。誰かが一人で悩むのではなく、みんなで「何とかできないか?」と考えながら多くの課題を乗り越えました。特別なことではないんですけれどね。

パナソニックは、どちらかというと家事の効率化を重視した“堅実な商品”を生み出すイメージがあります。今回の商品は「エモ消費」「インスタ映え」「パリピ」といったトレンドに即した “感情訴求型の商品”という印象があるのですが、こういった商品の開発は会社側から求められていたものだったのでしょうか?

そうですね、社の使命的な部分もありました。必欲品の部署って、常に新しいものを生み出していかないと存在意義がなくなってしまうんですよ。だからこそ、機能価値だけでなく、お客さんの感性に訴え、感動を与える要素を追求し続けないといけない。今回の提案には、これまでの経験やアイディアの積み重ねを形にすることができたという自負があります。

余談になりますが、エル・ボルデ編集部で今回の企画を決める際、女性スタッフよりも男性スタッフのほうが、製品に対する食いつきがよかった。男性からの支持も意図されていたのでしょうか?

男性ウケがいいという話はよく耳にします。もともとは女性がコアターゲットだったので、うれしい誤算ですね。ガジェットチックな存在感もさることながら…。工夫次第でいろいろな調理が楽しめて、しかもそのメインとなるのがお酒によく合うグリル肉や燻製という点が、男心をくすぐるようです。
「料理は苦手」という男性におすすめなのは、ローストポーク。塩・こしょう、もしあればスパイスハーブソルトを振るだけで簡単にできます。おいしいですよ!

石毛 伸吾(いしげ しんご)
1982年、千葉県生まれ。千葉東高校、東京理科大学工学部経営工学科を卒業後、2005年に松下電工に入社。仕事における発想の引き出しの一つはテレビ番組。「今どき珍しいですよね。お昼や夕方の情報番組をよく見て、自分の仕事に応用させることを心掛けています」。

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