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ビジネスパーソンはTwitterをやれ!―売れっ子編集者・竹村俊助が独立したワケ

ビジネスパーソンはTwitterをやれ!―売れっ子編集者・竹村俊助が独立したワケのイメージ

編集&ライティング集団「WORDS」代表の竹村俊助は、2018年に出版社から独立。数々のベストセラーを手掛ける売れっ子編集者にもかかわらず、出版社から独立したワケとは?

また、Twitterやnoteを通して「伝わる文章」について発信している彼に、ビジネスパーソンがこの力を磨く意味、そしてその手法についても聞いた。

著者が言いたいことと、読み手が知りたいことは違う

まず、どのような活動をされているのでしょうか?

メインは書籍の原稿を作成する仕事です。最近だと水野学さんの『段取りの教科書』(ダイヤモンド社)、前田裕二さんの『メモの魔力』、光本勇介さんの『実験思考』(ともに幻冬舎)、堀江貴文さんの『時間革命』(朝日新聞出版)などをWORDSで担当しました。

また、経営者のnoteの編集もやっています。たとえば、UUUM社長の鎌田和樹さんらのnoteの編集ですね。経営者の方が普通に書くと、どうしても自社サービスの紹介になってしまいがちです。そこにわかりやすさやおもしろさを加えることで、多くの人に「読みたい」と思わせる内容に仕上げるのが僕の役目です。

後者は独立前にはまったく想定していなかった案件なんですが、おかげで「意外なところに編集者の需要があるんだな」と実感することができました。独立しないとわからなかったことなので、僕にとっての“独立してよかったこと”の一つになっています。

そもそも、「編集」とはどんな仕事なんでしょうか?

著者が「言いたいこと」と読者が「聞きたいこと」の重なる部分を大きくしてあげることだと思います。「書き手が言いたいことと、読み手が知りたいことは違う」って、分かっているようで意外とみんな知らない。実際に、言いたいことしか言わない著者って多いんです。でも、それが読者にとって聞きたいことかどうかはまた別の話。編集というのは、基本何か素材があって、著者や経営者の言葉を切り貼りしているだけなんですけど、この重なる部分を大きくする作業がとても大事。これこそが“編集”ということなのかな、という気がしています。

竹村 俊助のイメージ

たとえば以前、税理士さんから書籍を出したいという相談を受けたことがあるんですよ。節税対策にとても強い税理士だったので、てっきりその手の本を出したいのかと思ったら「話し方に関する本を出したい」と。それで、「税理士さんに話し方のことを聞きたい人はたぶんいないので、節税の本を出したらどうでしょうか?」とアドバイスしてみたら、「えっ、そうなんですか? 節税なんてめっちゃ普通のことじゃないですか」と驚かれてしまいました。自分にとって当たり前のことが、他人にとっては特別なことかもしれないという事実を、多くの人はよくわかっていないんですよね(笑)。

10万字よりも140字の方が“伝わる”

竹村さんは、編集者としていくつかの出版社に勤務された後、2018年に独立されています。独立に至った理由は何だったのですか?

独立のきっかけは2015年に、佐渡島庸平さんの本を作ったことです。佐渡島さんは講談社でマンガ編集者、現在はコルクという作家エージェント業をしている方です。打ち合わせのとき、「出版社の本質は流通会社。コンテンツ制作をする会社に見えるかもしれないけれど、一番の強みは書店流通を司っているということ。クリエイティブはおまけ」と話していたんです。

流通が出版社の本質ですか!? とても意外です……。

そのときは私も「いやいや、出版社は編集者がいてこそ成り立つものでしょ。この人は何を言ってるんだろう」と思ったんですが……。ネット上に情報を伝えるための媒体が増えて、本が売れなくなって、出版がメディアのワン・オブ・ゼムになってきたことで、佐渡島さんがおっしゃっていたことの意味がよくわかるようになったんです。出版社の強みは流通にあったんだなと。

なるほど。それで、竹村さんの出版社に対する視点が変わってきたんですか?

そうですね。だから逆に考えると、出版社にいるということは、その会社が持っている流通しか使えないということとイコールなんですよね。

竹村 俊助のイメージ

たとえば絵本を作ろうと思ったら、ビジネス書メインの出版社より児童書を多く取り扱う会社から出したほうがいいわけですし、2万字の面白いコンテンツを10万字に水増しして本にするより、2万字のままnoteで何回かの連載にしたほうが、その面白さをダイレクトに伝えられる。さらにいえば、多くの文字数を割かずとも、Twitterの140字のほうが多くの人に伝わる場合もすごく増えてきました。

そうした時代の流れもあって、メディアを選べる立場から、コンテンツの最適な伝え方、届け方を選んで仕事がしたいと思うようになり、独立を決意したというわけです。

独立後、Twitterやnoteを通して「伝わる文章」に関する内容を積極的に投稿されていますよね。多くの人に、わかりやすくて伝わる文章を書くことを発信する意図は何なのでしょうか?

SNSが発達したことで、世の中に向けて自分の言葉を届けられる時代になりました。それは、とてもいいことだと思うんです。でも、一方で「せっかく何かを伝えようとしているのに、実際は誰にも刺さっていない」というケースが増えているようにも感じます。文章のインフレ状態というか、1文字の価値が下がっているというか……。これは非常にもったいないことだと思います。だからこそ、自分がいままでやってきた活動が、みなさんの「伝わるものを作ること」に役立つんじゃないかと思って、Twitterやnoteを使って発信しているんです。

いまはSNSを例にしましたが、ビジネスパーソンであれば、毎日のようにメールや電話を使うし、会議で発言もしますよね。つまり、物事をわかりやすく伝えたり、興味がない人に話を聞いてもらうことは仕事の一部でもある。そういった面でも、編集者が持つ“伝える”という技術は役に立つと思っています。

ビジネスパーソンはTwitterをやれ

もし、ビジネスパーソンから「文章力を磨きたい」と相談を受けた場合、竹村さんならどのようなアドバイスを送りますか?

まずは「Twitterをやろう」といいます。といっても、「お腹がすいた」とか「部長むかつく」みたいなことをつぶやいてほしいわけではありません。やってほしいのは、“140文字で完結するコンテンツ”を作って、毎日反応を見ながら「どうすれば相手により伝わるのか?」と試行錯誤する作業です。

竹村 俊助のイメージ

たとえば最近僕は、140文字をきっちり使ってつぶやくということに挑戦しています。140字という制限を意識するだけで、句読点の使い方やカギカッコの使い方といった、細かいところにまで配慮して文章を作ることができるようになる。感情の垂れ流しではなく、「このメッセージを多くの人に届けるんだ」という思いでTwitterに向き合うと、文章力やマーケティング力がものすごくつくんですよ。

文章を書くにあたって「誰かに届けたい」という気持ちは大事ですよね。ただ、「みんなに読んで欲しい」と気負いすぎると何を書いていいかわからなくなったりもします。

不特定多数の人に読んでもらうテクニックを一つ教えましょうか。「お金持ちになりたい人は」「成功する人は」というワードから書き出してみてください。お金持ちになりたくない人や、成功したくない人なんていないから、全然知らない人のつぶやきであっても「ちょっと読んでみようか」となるはずです(笑)。

といっても、それさえ書いておけばOKという意味じゃないですよ。何気なくスマホのディスプレイを見て、スクロールして、一つのツイートを認識する時間って、コンマ何秒かの世界じゃないですか。その短い時間に目を止めてもらうにはどうすればいいか。そして、自分のツイートを読んでもらいたい相手がどういう人で、その人に興味を持ってもらうにはどうすればいいかを考えて、発信する。その訓練が大事なんです。

ある程度、ボリュームのある文章を書く際の技術はありますか?

一般の方の文章を読んでいると、音楽でいうところのAメロがひたすら続いているケースが多いように感じます。「どこにサビがあるのかな? どこが面白いポイントなのかな?」と思いながら読んでいるうちに終わってしまう、みたいな。音楽と一緒で、文章もAメロがあってBメロがあって、随所にサビが出てくるほうが読みやすいですよね。目安としては、2,000字くらいだったら1、2カ所、1万字なら10カ所くらいのサビを作るように意識するといいと思います。

竹村 俊助のイメージ

ちなみに、僕がnoteを書くときは、ワンスクロール内に何かしらの変化を入れるようにしているので、太字がとても多いです。テレビ番組の作り方と一緒で、見出しと太字で引っ張って次の話題に誘導するイメージ。これがうまくできると、1万字でも飽きさせない記事になると思いますよ。1万字の記事をきちんと書くのはかなり大変ですけど、成功するととても効果的です。

noteで公開されている「WORDSの文章教室」を拝読して、その読みやすさに感心させられました。そこには言葉のチョイスだけでなく、視覚的な工夫もあったのですね。

長いこと書籍の編集をやって学んだことなんですが、ぱっとページをめくって「読みにくい」と思ったら、人はもうその先を読まないんですよね。役所で配布される資料や「確定申告の仕方」などはその最たる例。何か意図があってわざと読みにくくしてあるんじゃないかと勘繰ってしまうくらい(笑)。なので、企画書などを書き終えた後は、太字や改行、漢字とひらがなのバランス配分など、ぱっと見で読みやすいと思えるものになっているかはチェックしたほうがいいかもしれません。

最後に人生一の勝負をするなら30代

竹村さんは、30代で独立に踏み切っていますが、30代を振り返ってみてどうですか?

飛び出すなら30代がラストチャンスだと思いますね。僕はギリギリなんとか挑戦できてよかったなという感じです。40になってからは結構勇気がいるし、結婚したり子供ができたりする人も増えるでしょうし。最後に人生一の勝負をするのであれば30代のうちですかね。

では、30代のうちにやっておくべきことって何でしょう?

みんな言いそうですけど「後悔のないように」ということしかないですね。それでいうと、60代になったつもりで手紙を書いてみるのがオススメです。このまま挑戦せずに60代になったときに、60代の自分は30代の自分にどういう手紙を書くかをシミュレーションしてみるんです。「家族もできて、会社も勤め上げて、退職金も何千万もらえました、悠々自適。……ただ、もうちょっと挑戦したかった! 独立したかった!」みたいな後悔が含まれる手紙になりそうなら要注意です。

挑戦せずに60代になった自分から「もうちょっとチャレンジしろよ」みたいに言われると、30代の自分は背中を押されて挑戦しようと思えるんじゃないかなと思います。

竹村 俊助(たけむら しゅんすけ)
1980年生まれ。星海社、ダイヤモンド社などを経て独立し、2017年に株式会社WORDS代表取締役に就任。編集者として『ぼくらの仮説が世界をつくる』(佐渡島庸平/ダイヤモンド社)『いちばん大切なのに誰も教えてくれない段取りの教科書』(水野学/ダイヤモンド社)、ライターとして『メモの魔力』(前田裕二/幻冬舎)『実験思考』(光本勇介/幻冬舎)などのベストセラーを担当。Twitter、noteの投稿も話題に。

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