2017.12.21 NEW
若手ビジネスパーソンはそもそも出世したいのか?80年代生まれの昇進実態に迫る!【後編】
80年代生まれ世代が避けて通れない“出世”のリアル。管理職への一般的な昇進スピードなどを解説した前回に続き、今回は若手ビジネスパーソンの出世意識に迫る!
絶対に出世したいのは、20代・30代男性のおおよそ2割
日本企業における一般的な昇進スピードや海外との比較については、【前編】の記事で解説した通り。そこから見えてきたのは、若手が「出世しにくい」現在の日本の企業の姿だ。では、そうした日本の企業に勤める若手ビジネスパーソンは、そもそも出世したいのだろうか?
「株式会社クロス・マーケティング」が20代~30代のビジネスパーソンを対象に実施した出世の意向に関する調査によると、「絶対に出世したい」「できれば出世したい」と答えたのは20代男性で約60%、30代男性では42%となっている(図1)。
対して、20代男性の約30%、30代男性の約42%が「出世にはあまりこだわっていない」と回答。「出世はしたくない」とそもそも昇進に否定的な回答も、20代男性で10%、30代男性で約16%を占めている。

出典:株式会社クロス・マーケティング「若手社員の出世・昇進意識に関する調査」
東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県に住む20歳~39歳の男女正社員(合計500サンプル)を対象としたインターネット調査。2015年8月21日~2015年8月23日に実施。
若手ビジネスパーソンが出世したくない理由とは?
また、出世に対する意欲がある人に「なぜ出世したいのか?」とその理由を聞いた調査では、20代男性の約85%、30代男性の79%が「給与・年収が上がるから」と回答(図2)。自らの成長や仕事のやりがいもさることながら、給与アップが昇進へのモチベーションになるのは当然のこと。出世したい理由については、いまも昔もさほど変わらないものだろう。
逆に、出世する意欲がない人に「出世したくない理由」を聞いた調査を見ると、20代男性では「責任の範囲が広がるのが嫌だから」という理由が、30代男性では「ワークライフバランスのとれた生活をしたいから」という理由が、それぞれ約45%でトップになっている(図3)。


出典(図2,図3):株式会社クロス・マーケティング「若手社員の出世・昇進意識に関する調査」
東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県に住む20歳~39歳の男女正社員(合計500サンプル)を対象としたインターネット調査。2015年8月21日~2015年8月23日に実施。
これらの調査結果から見えてくるのは、半数程度が「積極的に出世を望まない」という現代の若手ビジネスパーソンのリアル。従来の猛烈社員のように、プライベートや家庭を犠牲にしてでも役職を求めてがむしゃらに働くのではなく、「仕事はほどほどでも趣味や家庭も充実させたい」という意識が、多くの若手ビジネスパーソンにはあるようだ。
役職が上がると年収は200万アップ!それでも出世したくない?
とはいえ、現代でも大半の若手ビジネスパーソンは、程度の差こそあれ昇進して給与アップを勝ち取りたいと考えているはずだ。そうなると当然、気になるのは昇進に伴う年収のアップ率。一般の社員から係長、課長、そして部長と昇進していくにつれ、給料はどのようにアップしていくのだろうか?
厚生労働省による最新の賃金構造基本統計調査の結果を見ると、一般社員から係長、さらには課長、部長と昇進するにつれ、平均月収は約10万円ずつアップ。役職が上がるにつれボーナスも増え、年収が200万円ずつ上がるのだから、出世へのモチベーションとしては悪くないように見える(図4)。
役職 | 平均年齢 | 平均年収 | 平均月収 | ボーナス |
---|---|---|---|---|
一般社員 | 38.7歳 | 492万9300円 | 33万900円 | 95万8500円 |
係長級 | 43.9歳 | 682万9200円 | 43万8900円 | 156万2400円 |
課長級 | 47.8歳 | 867万6900円 | 53万4500円 | 226万2900円 |
部長級 | 52.3歳 | 1073万400円 | 66万8500円 | 270万8400円 |
出典:厚生労働省「平成28年賃金構造統計調査」を基に編集部作成
もちろん、プライベートも家庭も犠牲にして出世のためだけに生きるのは、現代のワークライフバランスを重視する時代にそぐわない。とはいえ、「責任を負いたくないから出世したくない」と、若いうちから出世に拒否反応を示すのはもったいない話。
昇進すれば責任も増えるが給料も増えるだけでなく、仕事のやりがいも大きくなるはず。EL BORDE読者にはぜひ、人生設計と同様に、自分なりの昇進計画や昇進目標を立てて日々の仕事に望んでもらいたい。