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NISAについて知っておきたい5つのこと Part1

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2024年から「NISA」が大幅に拡充されます。野村證券(株) 田中 桃子、巽 勇人の2名によるトークセッション形式で、NISAについてわかりやすく解説します。

田中 桃子
巽 勇人

NISAとは?

:NISAとは、どのような制度ですか?

田中:NISAは、資産形成を応援するための非課税制度です。2014年からスタートした少額投資非課税制度の愛称です。お手本は1999年に始まったイギリスのISAという非課税投資制度で、ISAにニッポンのNを頭にくっつけてNISAという愛称となりました。

:非課税投資制度とは?

田中:通常、株式や投資信託に投資をしたときに得られた運用益には約20%の税金がかかりますが、NISA口座で投資した場合は税金が一切かかりません。一例をあげて非課税の効果を説明します。

例えば100万円投資し、200万で売却すると利益は100万円です。利益100万円に対して税率20.315%が課税され、203,150円も差し引かれます。しかし、NISA口座を利用した場合は、100万円の利益が課税されずに受け取れます。加えて、NISA制度を利用して買付した株式で配当金を受け取った場合にも非課税になります。

:配当金に対する税金が、非課税になるのは大きな魅力ですね。

田中:但し、配当金の非課税が適用されるのは、配当金を証券口座で受け取る様に設定している場合に限ります。

:ここは大切なポイントですね。NISA制度は、2024年から大幅に拡充されるそうですね。

田中:2023年までは、つみたてNISAと一般NISAのどちらか一方の投資枠を選ぶ制度ですが、2024年1月からはつみたて投資枠と成長投資枠の2つが併用できます。

:なぜNISA制度は大きく変わるのですか。その背景は?

田中:下記のグラフは、2021年末までの20年間でアメリカと日本の家計の金融資産がどのくらい増加したか比較したものです。アメリカは約3.4倍になっているのに対して、日本は1.4倍ほどしか増えていません。また、日本は資産の半分以上が現預金で占められているのに対し、アメリカは資産の半分以上を有価証券などで運用してきたことに違いがあります。

田中:このような現状を受けて、2022年11月に政府が『資産所得倍増プラン』を決定、一人ひとりが資産形成に取り組めるよう、NISAの非課税枠拡大などを公表しました。

:NISAをきっかけに資産形成に取り組む人を増やすため、NISA制度が新しくなるんですね。

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「NISA」の概要

田中:それでは、NISAの概要を説明します。

NISAのつみたて投資枠で購入できる商品は、投資信託のうち一定の条件を満たした商品に限られます。一方、成長投資枠で購入できる商品は、上場株式・投資信託など選択肢があり(一部除外の商品あり)、一括または積立どちらの購入方法も可能です。

:つみたて投資枠は投資信託の積立が可能な制度であるのに対し、成長投資枠では株式など個別銘柄への投資も可能になるのですね。

田中:さらに、成長投資枠でも積立投資ができるということもポイントです。

「現行NISA」と「新NISA」の違い

:2023年までのNISAと2024年からのNISAの違いについて教えてください。

田中:一つ目は年間投資枠の拡大です。2023年までは、つみたてNISAは年間40万円、一般NISAは年間120万円まで非課税投資が可能ですが、2024年からはつみたて投資枠が年間120万円、成長投資枠が年間240万円となり、非課税で投資可能な限度額が大幅に拡大されます。

:2023年までのつみたてNISAは月々33,000円ずつの積立投資で年間非課税枠40万円をほとんど使いきる計算でしたので、2024年以降は月々10万円ずつの積立投資ができると考えると、積立金額も幅広く選択することができますね。

田中:二つ目は非課税期間です。2023年までのNISA口座で買付した残高に対して、つみたてNISAは20年間、一般NISAは5年間の非課税期間が設定されていました。2024年以降は、NISA口座で買付した残高は、非課税期間が恒久化つまり無期限となります。

:この変更点も大きいですね。今後は非課税期間を気にせずに投資が可能になり、長期の運用計画も立てやすくなりますね。

田中:さらに、NISA口座の開設が恒久化されます。つまりNISA制度がずっと続くということですので、いつからでもNISAを始められることになります。

:NISA制度を利用した資産運用を始めやすくなりますね。

田中:三つ目は、つみたて投資枠(年間120万円)と成長投資枠(年間240万円)が併用可能となります。つまり、同じ年に2つの投資枠を両方利用することができるようになります。

:様々な投資のパターンを選択することができますね。

田中:四つ目は、NISAを利用して投資したものを売却した場合、2023年までは非課税枠が復活することはありませんが、2024年からのNISAは売却した際、簿価残高の分の非課税枠を再利用することができる点です。

:簿価残高?あまり聞き慣れない言葉ですね、どういう意味ですか?

田中:簿価残高とは、買付したときの金額です。100万円で投資した商品が200万円まで値上がりしたときに売却した場合、100万円分の非課税枠が復活するイメージです。但し、復活した非課税枠を利用できるのは翌年以降です。

巽:投資枠が復活するのは、売却した金額ではなく買付した金額であるということを意識しておきます。

田中:五つ目は、NISAには、非課税保有限度額という生涯で利用できる限度額があることです。つみたて投資枠年間120万円と成長投資枠240万円は、毎年の限度額を守ればいくらでも利用できるわけではなく、生涯で利用できる限度額は2つの投資枠を合わせて1,800万円と決められています。

成長投資枠が最大1,200万円までなので、成長投資枠を中心に利用していきたい方は特に認識されておいたほうがよいと思います。

:2024年からのNISAで投資をするときは、生涯で利用できる限度額がどのくらい残っているかを確認することも大切ですね

田中:最後に、2023年までにNISAを利用した方への注意点です。つみたてNISA・一般NISAのどちらかを利用している場合、2024年からのNISAとは別々での取り扱いとなります。

非課税期間終了後は売却するか、継続して保有する場合は、課税口座(税金が徴収される口座)へ移行することになります。上記の事例では、2027年までの値上がり分が非課税の対象となりますが、2028年以降の値上がり分には課税されることとなるので注意が必要です。

:非課税期間が終わった後にどうするかは、自分のライフプランと合わせて考えておくことも必要ですね。

田中:その通りです。

【Part2へ続く】

  • この記事は、2023年7月時点の情報に基づくものです。2024年の改正を踏まえ、一部修正しております。

文責・野村ホールディングス株式会社 ファイナンシャル・ウェルビーイング室

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