多様な経験を武器に、金融×AIの最前線へ
私自身、以前から金融業界に対して、大量のデータを扱いつつも十分に生かしきれていないという課題があると感じていました。
確かに、業界の特性として、金融商品取引法をはじめとした厳しい法令・規制による制約があります。ですが、
テクノロジーによって環境を再構築することで、新たな鉱脈を掘り当てられるのではないかと考えています。
他業界以上にソリューション創出の難易度が高いからこそ、そこに大きな挑戦しがいと面白さがあると感じています。
その中で野村證券は、AIはもちろんのこと、量子暗号やブロックチェーンなど最先端のテクノロジーに積極的に
取り組んでいるという印象を持っていました。野村證券であれば、そうしたチャレンジングなテーマに取り組めるのでは
ないかと考え、2023年に入社を決めました。
私は、新卒で入社した日系大手化学メーカーを皮切りに、コンサルティングファーム、AIベンチャーと、多様な業界で経験を積んできました。
1社目のメーカーではプラントエンジニアリングに従事。化学プラントの性質上、保守的にならざるを得ない風土の中、アナログからデジタルへの
切り替えに取り組みました。その後の2社目、3社目では、AIを中心とする先進的なテクノロジーに触れることができました。
ビジネス側の課題に対して提供価値とソリューション案を設計し、AIエンジニアチームと連携しながら実装につなげる役割を担いました。
そして現在、私が所属するデジタル・カンパニー(以下、DC)は、野村グループ内におけるデジタル分野の協業を強化し、
イノベーションによってコア・サービスを飛躍的に拡大させていくことを目指して設立されたグループ横断的な組織です。
これまでのキャリアで、ビジネス、コンサルティング、テクノロジーと異なる立場を経験してきたことは、様々なステークホルダーを
まとめ上げていく上でアドバンテージになっており、キャリアの中で培われてきた“ビジネスとテクノロジーの橋渡し役”という強みも、
大きな価値を発揮できるのではないかと感じています。
AI CoEの立ち上げで、スピードとガバナンスを両立する
DCに入社してすぐに参画したプロジェクトが、AI CoEの立ち上げです。
AI CoEとは、野村グループにおけるAI活用に向けて、人材やノウハウといったリソースをグループの垣根を超えて集約し、
推進していく専門組織(Center of Excellence=CoE)です。
AIは、あくまで手段であり、目的はビジネス課題の解決です。そのため、AIをビジネスで活用するにはビジネス側の協力を得ながら、
広くビジネスの課題を吸い上げて優先順位付けを行い、最も大きなビジネスインパクトが見込める課題に対してAIソリューションを
開発・導入していく必要があります。従来はこの一連の取り組みが各部門で行われており、ノウハウが共有されにくいという課題がありました。
この課題を解消し、集約して取り組んでいく組織として発足したのがAI CoEです。
AI CoEの立ち上げは2024年4月で、具体的な準備がスタートしたのが前年12月頃です。
かなりスピード感を持った取り組みとしての旗揚げであり、スタート後も、走りながら組織を整えていったというのが実感です。
当然のことながらビジネス側は「できるだけ早くAIを活用したい」と希望します。特にネット証券などが積極的にAIを活用している現実に、
ビジネス側の最前線は大きな危機感を抱いています。一方で、例えば生成AIにはハルシネーション(事実に基づかない情報)がつきものであり、
パートナー(営業担当者)が間違った情報に基づくセールストークをしてしまう危険性があります。そうしたリスクをビジネス側に伝え、
認識していただくことは重要な業務でした。
AI CoEの立ち上げ後は、事務局の一員として運営に携わっています。
具体的には各部門におけるAIプロジェクトの情報収集や進捗確認、新たに起案されるAIサービスのガバナンス管理のほか、
経営陣への進捗報告などを担っています。
ガバナンスについては、先のハルシネーションの例のように、どうしても保守的にならざるを得ません。
いち早く仕事でAIをツールとして活用したいビジネス側の要望に対し、AI CoEはリスクを見極めながら
適切な活用を支える役割があります。どんなゲームもルールがあるから面白いように、この仕事においても
スピード感と慎重さのバランスを取りながら、AI活用を前に進めていくところに面白さがあります。
最先端の知見を吸収し、野村グループから社会を変える
AIに特化した先進的なテクノロジー集団との協業も、大きな醍醐味です。その1社が、株式会社Preferred Networks(PFN社)です。
同社は国産生成AIやAI半導体を独自開発し、幅広い領域でAIの社会実装を行っています。野村ホールディングスでは同社との協業により、
先端技術を活用した新たな金融ビジネスソリューションの開発を進めています。
私にとっても同社との協業プロジェクトは大変刺激的で、多くのことを学びました。PFN社の皆さんはAI技術に関して幅広い知見を
持っているのはもちろんのこと、与えられた課題を解決に導くための定式化のスキルの高さには驚かされました。また、金融工学に関する
キャッチアップが非常に早く、専門的な議論も難なくこなしています。学ぶことばかりで、私自身の大きなモチベーションになっています。
最先端のAI企業と接点を持ち、常に最新の知識を取り入れながら業務に取り組めるのは、野村グループならではの大きな魅力です。
この分野のトップランナーの方々とともに仕事を進められる環境は、間違いなく大きな刺激となります。
2026年4月にAI・データ戦略部という組織が新設され、私はそちらに異動しました。基本的に担当業務は変わりませんが、
今後はAIに加えてデータを活用した金融サービスの開発に取り組み、業務の幅を広げていく予定です。さらには野村グループ全体の
業務プロセスの変革にも取り組みたいと考えています。
個人的にも、“ビジネスとテクノロジーの橋渡し役”という自分ならではの強みを生かしながら、今後も引き続きこの領域でキャリアを
重ねていくつもりです。AIの導入でビジネスインパクトを上げていく中、スピード感と慎重さのバランスをしっかりと取れる人材で
あり続けることが今後の目標です。
DCは、野村グループのビジネスそのものを変えられる可能性を秘めた組織です。野村グループの存在感を考えれば、
それは日本の金融業界全体を変えていくことにつながるでしょう。自分が携わったソリューションが世の中に出ていき、
それによって社会が変わっていくことを経験できるのが、この仕事の大きな魅力です。
多様な考え方を持つ人たちを調整してまとめ上げていく作業は、決してスマートなことばかりではありません。
最新のテクノロジーが浸透する過程では、様々な人に会って話をうかがいながら、最適な落とし所を見つけながらプロジェクトを
前に進めていくことが求められます。そうした泥臭さも含めて楽しみながら最後まで走りきれる方と一緒に働きたいと思っています。
※所属およびインタビュー内容は、取材当時のものです。
My Project
Career
Ryuto Nisimura
- 新卒
- 日系大手メーカーに入社し、プラント設備の機械エンジニアとして従事。
- コンサルティングファーム、AIベンチャーにて、事業戦略支援やデータサイエンス、AIプロジェクト管理などに携わる。
- 2023年
- 野村證券に入社し、野村グループ全体のAI活用を推進する専門組織「AI CoE」の立ち上げに参画。