30年前から変わらない「お客様起点」という軸
野村證券の資産運用アプリ(NOMURAアプリ)のプロジェクトに2023年から企画リードとして参画し、サービスデザイナー、
UXディレクターの立場から、機能開発や顧客体験の設計に携わっています。あわせて、ウェルス・マネジメント(以下、WM)部門に
おけるコンテンツ戦略や、職域サービス領域のデジタル基盤の刷新など、複数のプロジェクトにも関わっています。
私の専門は、マーケティングやブランディング領域のコミュニケーションデザイン、そしてサービスデザインです。
お客様の行動やニーズを捉え、ビジネスとして実現したいことと、お客様にとって本当に価値があることを結びつけ、
サービスとして成立する形に設計していく。そのうえで、関係者と共通認識をつくりながら、具体的なプロダクトやコンテンツに落とし込んでいく仕事です。
実は、私にとって野村證券との関わりは約30年前に遡ります。若手のコンサルタントだったころに、
野村證券のWebコミュニケーションデザインに携わっていました。
当時のテーマは、「お客様だけを見ること」。企業が発信したい情報を一方的に届けるのではなく、
お客様が知りたいことに丁寧に応え、資産形成を支援する場をつくることでした。
その経験が私の「原点」となりました。野村證券がインターネットという新しいチャネルに向き合い始めた時から、
目指していたのは「人間中心設計」だったのだと思います。長い時を経て、
再び野村のデジタルサービスに関わっていることには、不思議な縁を感じています。
2023年に入社して以降、中心的に関わってきたのがNOMURAアプリの企画です。
かつて、複数のアプリやサービスに分かれていた機能をNOMURAアプリに統合・集約していく構想がありました。
ただし、単に機能を移植するだけでは、お客様にとって使いやすいサービスにはなりません。
そこで、ペルソナやカスタマージャーニーを描きながら、お客様がどのような文脈でアプリにアクセスし、何を知り、
どう行動したいのかを丁寧に整理してきました。行動データやお問い合わせ内容なども確認しながら、
営業経験のある社員、マーケティング、システム、デザインなど、様々な専門性を持つメンバーとワークショップを重ね、意思統一を図ってきました。
参画以降、NOMURAアプリは大きく進化してきました。投資情報の提供、取引機能、
資産管理、フォロー機能が一体となり、「株式取引のためのアプリ」から、お客様の資産運用・資産管理を支える
「プラットフォーム」へと役割を広げています。持株会や確定拠出年金、職場つみたてNISAなどの
「職域サービス」との連携も強化しており、お客様がご自身の資産全体をより把握しやすい環境が整いつつあります。
また、機能面だけでなく、使いやすさにも徹底してこだわっています。たとえばホーム画面の構成一つをとっても、
「マーケット情報をすぐ見たい方」「資産状況を先に確認したい方」「外出先では資産額を目立たせたくない方」など、
お客様によって求める体験は異なります。そのため、画面の並べ替えや表示のカスタマイズといった柔軟性も大切にしています。
小さな画面一つひとつについても、「お客様はどういった文脈でここに来て、次に何をしたいのか」を考えながら設計しています。
結果としてNOMURAアプリをご利用いただくお客様は大きく増えました。
オンラインサービスからアプリへ移行される方、これまでデジタルチャネルをあまり利用していなかった方が
アプリを使い始めるケースも増えています。もちろん時代の変化もありますが、お客様にとって使いやすく、
価値を感じていただけるサービスへと育ててきたことが、一つの成果だと感じています。
ブランディングやコンテンツ戦略にも広がる役割
NOMURAアプリ以外にも、WM部門のブランディングやコンテンツ戦略に携わってきました。
特に印象に残っているのは、野村證券のホームページリニューアルです。WM部門としての発信を強めるタイミングで、
証券会社としての情報発信にとどまらず、変化の大きい時代にお客様の大切な資産を守り育て、
その先にある人生や理想の未来に寄り添う会社としての発信へと、方向性を大きく切り替えるプロジェクトでした。
Webサイトは、お客様が最初に野村證券と接点を持つ重要なチャネルです。そこで、単に情報を整理するだけでなく、
野村證券が長年培ってきた知見やリサーチ力を背景に、ブランドとして何を伝えるのか、
どのような世界観でお客様一人ひとりに向き合うのかを意識しながらリニューアルを進めました。
短期間での対応が求められる中、関係者と議論を重ねながら、お客様の未来を共に考え、
資産運用のその先まで見据えた発信のあり方を形にしていった経験は、今の仕事にもつながっています。
コンテンツ戦略の領域では、マーケティング部門と、専門的なコンテンツ制作力を持つメンバーをつなぎながら、
プロジェクト全体を推進しています。収益拡大やロイヤルティ向上といったビジネス上の目的と、
お客様にとって有益な情報提供をどう両立させるか。その接点を見つけ、戦略から具体的な
コンテンツ企画へ落とし込むことも、サービスデザイナーとしての重要な役割です。
私が常に意識しているのは、会社として実現したいことと、お客様のニーズをきちんと重ねることです。
お客様にとって良いサービスであっても、事業として継続できなければ大きく育てることはできません。
一方で、企業側の都合だけでつくられたサービスは、お客様に受け入れられません。
両方が重なるところに、提供価値を描く。その価値を関係者に説明し、合意形成を図りながら、
実際のプロダクトや施策につなげていくことが、私の仕事の核だと思っています。
2025年からは、チームリーダーの役割も担うようになりました。自分自身がプロジェクトを推進する立場から、
メンバーがより力を発揮できる環境を整える立場へと、視野が広がったと感じています。
デジタル・カンパニーには、私のようなサービスデザイナーのみならず、ビジネスデベロッパー(BizDev)や
Webディレクター、データサイエンティスト、プロジェクトマネージャー、エンジニアといった多様な専門性を持つ
人材が集まっています。専門人材が集まっているからこそ、それぞれが自分の領域だけを見るのではなく、
事業戦略やターゲット、お客様の課題などにも意識を向け、幅広い視野でサービスを考える力を養っていく必要があります。
その中で私が意識しているのは、メンバーの業務を把握するだけでなく、組織としてどのような力を伸ばしていくべきかを考えることです。
たとえば、世の中のデジタルサービスを調査し、複数社を比較しながら、「なぜそのサービス設計になっているのか」
「どのような顧客を対象にしているのか」「企業の戦略とどう結びついているのか」を考える取り組みも行っています。
単なる使いやすさの比較ではなく、戦略と顧客体験を結びつけて見る視点を、チーム全体で育てていきたいと考えています。
また、キャリア入社者が多い組織だからこそ、野村グループ内の他部門とどう協働していくかも重要です。
異なるバックグラウンドを持つ人材が力を発揮するには、専門性だけでなく、相手の組織や仕事の進め方を理解し、
橋渡しする力も求められます。私自身も、これまでの経験を生かしながら、デジタル領域の専門人材と、
野村グループ内の各部門がよりスムーズに協働できるようサポートしていきたいと思っています。
探究心を持ち、自ら動ける人と働きたい
デジタル・カンパニーは、前身の「未来共創カンパニー」の設立から7年が経ち、組織としての形が整ってきました。
一方で、時代や事業環境の変化に合わせて、柔軟にチームを組成しながら新しい領域に挑戦できる環境でもあります。
だからこそ、自分の専門性を生かしながら、変化を前向きに捉えて取り組める人にとっては、非常に面白い環境だと思います。
特に一緒に働きたいのは、探究心を持ち、自ら動ける方です。担当領域にとらわれすぎるのではなく、目の前の課題に対して、
自分の経験やスキルをどう生かせるかを考え、周囲を巻き込みながら前に進められる方が活躍しやすい環境です。
私の担当領域に近いところでいえば、UXデザインに加えて、ビジネス側とものづくり側をつなげられるサービスデザイナーの方に
ぜひ参画していただきたいです。お客様の行動やインサイトを捉え、顧客体験を設計するだけでなく、企業として実現したい戦略や
収益性も理解し、その両方が重なるところに提供価値を描ける方です。
定性調査やユーザーモデリング、カスタマージャーニーの設計、市場や競合サービスの分析などを通じて、
「なぜこのサービスが必要なのか」「誰にどのような価値を届けるのか」を整理し、関係者に伝えられる力は大切だと思います。
一方で、すべてを一人で完璧にできる必要はありません。サービスデザイン、UXデザイン、Webディレクション、マーケティング、
ブランディングなど、いずれかの領域で経験を積みながら、ビジネス視点や顧客視点を広げていきたい方には、ぜひ挑戦していただきたいです。
野村證券は大きな会社ですが、デジタル・カンパニーはその中でも挑戦的な組織です。金融という社会的に重要なテーマを扱いながら、
多様な専門人材とともにサービスをつくり、お客様の資産形成や人生に寄り添う体験をデザインしていく。そこにやりがいを感じる方と、ぜひ一緒に働きたいと思っています。
※所属およびインタビュー内容は、取材当時のものです。
My Project
Career
Chiharu Omata
- 新卒
- インターネット普及初期にWeb事業を展開する企業に入社
- 約10年にわたり大手コンサルティング会社で
Webコンサルタントとして企業のブランディング戦略策定、Webサイト構築・運営ディレクションなどに従事 - 2023年
- 野村證券入社