2025.05.02 NEW
日銀会合通過で日本株の不安材料は後退 今後の市場を占う3つのポイント 野村證券ストラテジストが解説
日銀の様子見姿勢は不安感を低下させる材料に
日本銀行の金融政策決定会合では、政策金利が0.5%に据え置かれました。2027年度までの見通し期間後半に「政策金利を引き上げ」や「緩和の度合いを調整」との表現は維持しつつ、2025・26年度の経済や物価の見通しについて下方リスクを強調しました。経済状況を軽視して利上げを急ぐとの印象はやや低下しました。
日銀の利上げに対する自信やタカ派的(金融引き締めに前向き)な姿勢は、市場に不安を与えやすい傾向があります。過去の日銀の利上げ局面では、約7割のケースで半年以内に日米いずれかの景気が後退するなど間が悪い状況が多く、日本株も軟調になる傾向が見られました。そのため、日銀が当面様子を見る姿勢を示したことは、市場の不安を和らげる要因と言えます。
株式市場の関心(1):金融・財政政策での短期景気配慮姿勢の有無
今後の日本株式市場のポイントとして、以下の三点が挙げられます。
まず、金融・財政政策が短期景気への配慮を示すかが重要です。日本企業の業績予想が下方修正される中、それをマクロ政策で補えるかどうかは注目されます。2011年の東日本大震災時のように政策対応が小規模であれば株価は軟調となり、2020年のコロナ禍のように迅速かつ大規模な政策対応が行われれば株価は上昇するとの見方が多くなっています。現時点では与党内で補正予算の策定が先送りされるなど、2011年型のリスクが警戒されていますが、2025年7月の参院選を迎えるにあたり、大規模かつ迅速な政策対応が実現する可能性もあります。
株式市場の関心(2):ドル安政策発動の有無と「脱米国」の流れ
次に注目されるのは、米国のドル安政策や「脱米国」の流れです。米国株は年初来、ドルベースで欧州株や日本株に大きく劣後しています。米国の政策不確実性や株価のバリュエーション(投資尺度)などを考慮すると、世界の投資家が「脱米国」を意識する状況は今後も続く可能性があります。5月6日から7日のFOMC(米連邦公開市場委員会)では、政策金利の据え置きがコンセンサスですが、関税の影響を考慮しインフレを警戒するのか、それとも景気の下振れを警戒するのかが注目点となります。声明やパウエル議長の会見での政策スタンスによっては、日米の株価指数に影響を与える可能性があります。
株式市場の関心(3):日銀ETFの位置づけ、金利と銀行株・不動産株の相性
最後に、日銀のETF(上場投資信託)の位置づけや、金利環境が銀行株・不動産株に与える影響が挙げられます。2025年4月の国会では、日銀が保有する国債やETFの含み益が話題となり、日銀のETFは注目を集めやすい状況にあります。将来的な「処分」については、市場での売却に限らず、中長期的な出口戦略が視野に入るなど、多くの論点があります。また、関連ニュースの見出しによって日銀ETFに関連する銘柄が変動することも珍しくありません。
また、日銀が利上げを急がない姿勢を示す場合、短期的には不動産株やREIT(不動産投資信託)が見直されやすい一方で、銀行株は軟調となりがちです。ただし、日銀のハト派姿勢(金融引き締めに消極的)が景気の持続的かつ安定した拡大につながれば、多少の時間差を伴いつつも銀行株にもプラスの影響を与えると考えられます。
(編集:野村證券投資情報部 デジタル・コンテンツ課)
編集元アナリストレポート
日本株メモ:日銀会合通過 – 景気悪化ジンクスへの警戒はやや後退(2025年5月1日)
(注)各種データや見通しは、編集元アナリストレポートの配信日時点に基づいています。
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