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2024.03.27 NEW

起業家・はっしゃん「持株会のおかげで今の自分がある」投資を始めた原点を語る

起業家・はっしゃん「持株会のおかげで今の自分がある」投資を始めた原点を語るのイメージ

文/竹下順子

会社員時代に株式投資で資産3億円を達成し、起業した個人投資家の「はっしゃん」。現在は企業の財務指標や業績予測から計算した理論上の株価である「理論株価」の分析を公開するサイト「株Biz」などを主宰し、YouTube「でも株式投資の情報を発信しています。投資の世界に入ったきっかけとなったのが、会社員時代の持株会。当時を振り返って、持株会の経験と投資家人生にもたらした影響を聞きました。

※YouTubeは、Google LLCの登録商標です

持株会を長く続けて、元手は5倍以上に

従業員が自社株を購入できる従業員持株制度(=持株会)は少額から投資でき、奨励金などの利点がある場合もあります。はっしゃんさんは、会社員時代に持株会に入っていたそうですね。
はっしゃん(以下同)

はい。新入社員時代に持株会に入ったことが、株式投資を始めるきっかけとなりました。個人的には持株会のおかげで今の自分があると思っています。私が新入社員のころはNISAやiDeCoなどの制度はありませんでしたが、もしあったとしても、私自身は持株会を優先してやるのがいいと考えますね。

どのような状況で持株会を始めたのでしょうか。

入社当時はバブルが崩壊して株価が下がっていた時代で、投資を敬遠するような空気がありました。私の勤めていた会社はIT系で技術者が多かったので、「株って怖いよね」という雰囲気で、持株会に入る人は多くありませんでした。でも私は、株価は下がっているなら、安く買える今は得なのではと考えました。

私が勤めていた会社の持株会は、会社が購入金額に10%の奨励金を上乗せしてくれるのも魅力でしたね。給料から財形貯蓄に毎月10万円、持株会には3万円くらいを積み立てに回していました。

積み立てで購入する際、どんな工夫をしていましたか。

自社の業績を見ながら、株価が上がって割高だと思うときは積立金額を減らし、割安になったら限度額まで買うように、数年単位で調整していました。私の会社はIT系ということもあり、入社当時は株価が低かったのに、その後1999年から2000年頃のITバブルが発生した時には大幅に株価が上がりました。株価の変動が激しかったんです。

私は企業の財務指標や業績予測から「理論株価」を計算するようにしています。理論株価を大きく超えたときは「これは何かがおかしい」と判断して、購入金額を減らしましたし、株価がかなり下がったときも狼狽はしませんでした。会社の状況を客観的に分析しながら、ここを乗り切ればきっとまた上がるだろうと分析して、限度額まで積み立て金額を増やしましたね。

株価が上がっても下がっても冷静に投資を続けたマインドがあったのですね。最初からその考え方は身に着けていたのでしょうか。

長期にわたり積み立てで株式を買い続ければ、ドルコスト平均法によりリスクを分散しながら資産形成できるという金融知識はあったのだと思います。

持株会をきっかけに株式に興味が湧き、日経新聞を購読して経済の勉強も始めてほかの株も買うようになりました。ITエンジニアの特性を活かして自分で株価チャートのアプリを作ったり、決算を読み込んでそのバランスシートを分析するアプリも作ったりしました。

といってもそれほど投資がうまかったわけではないんですよ。2008年のリーマン・ショック、2011年の東日本大震災の際は株価の暴落を経て、2011年の時点では損益はトントンになってしまいました。そこからはアベノミクス等の影響で株価が運よく上昇を続けて資産も増えていきましたが、暴落のときに気持ちが落ち込まずに済んだのは、持株会での積み立ての経験がベースにあったからだと思います。

持株会だけをみると、ITバブル崩壊後に大きく下がった株価は、時間をかけて上がっていきました。累計で約600万円ほど自社株を購入したことになりますが、それが2019年に51歳で退職したときには3,000万円以上になりました。

私以外でも持株会を長く続けた人は恩恵があったようです。持株会を元手に家を買った人もいましたし、わたしの場合は、他の銘柄に再投資する資金に充当しました。

株式投資でマネジャーに必要な視点が身についた

持株会を続けたことで、自社の業績にも敏感になりましたか。

そうですね。自分の勤める企業を投資先の1つとしても見るようになりました。業績不振のような局面でも、自社をとりまく状況を見直すことで、いずれ業績は復活するだろう、と見通すことができた。そういう意味でも決算を見て、客観的に自社の問題を分析していたと思います。

私は理系のエンジニアでしたが、技術職であっても年齢や昇進とともにマネジメントや経営の知識も求められるようになります。そういう点でも株式投資を始めたことで自分の業務知識に幅ができました。投資をしていると、国際情勢や企業や業界のトレンド、政治状況などにも視野が広がるので、会社に対しても自分なりの提案ができたと思います。エンジニアから管理職的な役割に移行できたのは、持株会を通じて株式投資の勉強をしたことが役立ったと思いますね。

一方、持株会は会社の業績が悪化したとき収入と資産の両方を失うと言う声もあります。リカバリーのきく若いころならまだしも、40代・50代から始めるのはどうなんだろうと考える人もいるかもしれません。

これは個人的な考えですが、もし自分が40代・50代で上場企業に入社したとしたら、そこからでもなるべく早く持株会に入ると思います。もちろん、将来性のある企業であることが前提になりますが、そもそも将来性のない企業には入社しませんよね。投資をするということは、会社を選別する能力を身につけられる利点もあるんです。

そして私がかつて勤めていた会社のように、会社から奨励金をもらえて投資ができると、持株会のメリットはとても大きいと思います。会社の業績についても、経営トップじゃないと分からない数字はありますが、少なくとも決算直後には全て把握できるので判断しやすいのではないかと思います。自分の会社なら得られる情報が多いことをメリットととらえたいですね。

50歳過ぎて新たな人生に踏み出すチャレンジができた

入社直後に持株会を始め、会社員生活でずっと株式投資を続けてきたはっしゃんさんにとって、仕事の傍らに常に株式投資があるということは、どんな意味があったと思いますか。

同じ仕事を続けながら、もう1つ軸を持てたということですね。仕事はうまくいっていないけど株式投資がうまくいっている時期もあるし、逆に仕事はうまくいっているけど株式投資は駄目な時期もある。もう1つ軸があることで、自分の考えに幅ができたと思います。株式投資をしていたからこそ、50代で起業するというチャレンジができたと思います。

株式投資では常に試行錯誤をしていたので、仕事でもチャレンジするのが面白いんですね。まだまだ、新しいチャレンジをしていきたいと思っていますね。

株式投資がチャレンジする力を培ったのですね。

株式投資はアントレプレナーシップ(起業家精神)につながると考えています。大企業に勤めていればリスクを取らずに安定した生き方もできるかもしれませんが、私は株式を通じて経済や社会を知ることで視座が上がり、社会課題の解決に力を注ぎたいという気持ちが強くなっていきました。

だから今、株式投資でFIRE(経済的自立による早期リタイア)を目標にしている人を見ると少々残念に思います。たぶん今の職場環境に問題があるなどで、仕事が嫌だからFIREしたいと思うのでしょうが、私は仕事が面白くてたまらないですね。逃げることではなく、変革することにエネルギーを使ってほしい。同じ株式投資をしていても、FIREが目標であることとアントレプレナーが目標であることには違いがあると思います。

今の株式市場については、どう見ていますか?

デフレが終わりつつあり物の値段が上がって、ようやく前年比で2%程度の健全なインフレになってきました。企業の売り上げが伸び、利益が出て株価が上がる。今はそういう良い状況ですよね。その次に賃金が上がって好循環にシフトしていけば、日本が経済成長していける。その期待が、今の株高に象徴されていると思っています。

株価が高いといっても、割高なのはまだ全体の5分の1ぐらいだと分析しています。私が計算する理論株価から見ると、右肩上がりで業績や株価が上がっていて、かつ割安な銘柄はまだたくさんあります。全体的に元気な銘柄が増えてきましたから、そういう意味では、持株会を始めやすい環境かもしれません。

はっしゃんさんが解決したい社会の課題とはなんですか。

私は初心者の方が持続可能な投資環境や株式市場を作ることを理念に起業しました。私が提唱する理論株価や月次情報などの企業分析サイトを作ったり、四季報を速読するライブ動画を配信したりして、企業価値を見える化し、初心者の方でも株式投資がうまくいくことを応援しています。

投資は、未来に向かって頑張っている企業や人を応援することだと思います。同じように応援マインドを持ち、社会を変えていこうとする人を増やしていきたい。投資を通じてアントレプレナーを目指す人が増えれば、日本や世界が良くなっていくと思っています。だから、できるだけ多くの人に届く情報を発信して、投資に興味を持つ人を増やせば、その中から未来の日本を託せるような方が出てくるはずです。そう考えると非常にやりがいがありますね。

起業家
はっしゃん
会社員時代に従業員持株会から投資を始め、投資歴は25年以上。会社四季報などを活用した決算分析を得意とする。2019年、資産3億円を突破したあと、会社員を卒業し起業。「理論株価Web」「成長株Watch」「月次Web」などを含む、企業価値を見える化したサイト「株biz.com」(https://kabubiz.com/)は、個人投資家から支持されている。SNSやYouTubeなどでも投資に役立つ情報を発信中。

※本コラムで取り上げられた投資に関する基本的な考え方などについては、あくまで個人の見解によるものであり、野村證券の意見を代表するものではございません。

株式の手数料等およびリスクについて

国内株式(国内REIT、国内ETF、国内ETN、国内インフラファンドを含む)の売買取引には、約定代金に対し最大1.43%(税込み)(20万円以下の場合は2,860円(税込み))の売買手数料をいただきます。国内株式を相対取引(募集等を含む)によりご購入いただく場合は、購入対価のみお支払いいただきます。ただし、相対取引による売買においても、お客様との合意に基づき、別途手数料をいただくことがあります。国内株式は株価の変動により損失が生じるおそれがあります。国内REITは運用する不動産の価格や収益力の変動により損失が生じるおそれがあります。国内ETFおよび国内ETNは連動する指数等の変動により損失が生じるおそれがあります。国内インフラファンドは運用するインフラ資産等の価格や収益力の変動により損失が生じるおそれがあります。
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詳しくは、契約締結前交付書面や上場有価証券等書面、目論見書、等をよくお読みください。

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