2025.02.26 NEW

円高進行が日本株の懸念材料だが、米好景気下では心配無用 野村證券ストラテジストが解説

円高進行が日本株の懸念材料だが、米好景気下では心配無用 野村證券ストラテジストが解説のイメージ

2025年1月末に1ドル=155円前後であったドル円は、一時148円台を付けるなど、短期間での円高進行が日本銀行の金融引き締め懸念と連動し、日本株の懸念要因となっています。野村證券ストラテジストが今後の日本株について解説します。

米景気が堅調な際の円高であれば、日本株は耐久力がある

足元のような短期間(20営業日以内)で5円以上の円高進行は、1973年以降119回も経験しています。円高が進行した1・2週間後にはTOPIX(東証株価指数)が一進一退の状況となるものの、その後は上昇傾向を示し、200営業日後には平均で+4%前後の上昇となっています。基本的に、米景気が堅調な際の円高であれば、日本株は耐久力があると言えます。

実際、米景気拡大期に限定した99サンプルでは、200営業日後には+5%前後の上昇となりました。逆に景気後退期に限定した20サンプルにおいては、150営業日後には-3%の下落となり、200営業日後でも下げを取り戻せていません。米景気の状況によって日本株の明暗が分かれる傾向があることがわかります。

直近の個別小売企業の決算を受けて、米国の消費低迷への懸念が台頭しましたが、週次チェーン店売上が堅調であるなど、米国の景気後退懸念は高まっていません。野村では、2025年の米国実質GDP(国内総生産)を前年比+2.0%、名目GDPを同+5%前後と見込んでいます。以上を踏まえて、1ドル=150円割れを試した24年11月末と同様に、市場の不安感が後退する可能性が高いと考えています。

日銀の大規模緩和の出口が意識され始めた22年後半以降、短期間で5円以上の円高進行が生じる頻度が増えていることには注意が必要です。ただし、24年7月のような「(低金利の円を借りて高金利のドルを買う)円キャリートレード」の蓄積は見られません。この点は、市場の急変リスクを抑える要因と考えられます。

為替に対する株価・業績の感応度

過去1年間のTOPIXの為替感応度は1円の円安で+0.3%前後となっており、日銀のコミュニケーションミスが生じた24年7-9月の+0.7%よりも低下しています。1円の円安が業績を0.2~0.3%押し上げるファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)の関係に近づきつつあると言えます。

米景気が減速・悪化する懸念が強まる中で円高が進展すると、業績に対する下押し圧力を通じて、日本株にマイナスの影響を与える可能性がありますが、米景気が緩やかに軟着陸する期待が揺るがない状況での円高では、大きなマイナス影響は意識されにくいでしょう。

直近の円高にもかかわらず、為替前提の「保守派対楽観派」の株価の差異もさほど大きくありません。これは円安の局面で関連株に円安メリットがあまり反映されてこなかったこと、さらに足元の円高が米景気変調への懸念を伴っていないためと解釈しています。

主要17セクターの為替感応度を見ると、円高時には自動車・輸送機が業績・株価ともにマイナスの影響を受けやすいと言えます。次いで機械、エネルギー資源もマイナスの影響を受けやすくなっています。一方で、小売、情報通信・サービス・その他、銀行などはマイナスの影響が限られるか、わずかにプラスの影響を受けるケースも存在します。電機・精密は、ITサービス業の比重が高まっている影響で、以前よりマイナスの影響が小さくなっています。

トップダウンのセクター判断においては、変動の大きい為替にベットすることを避け、内外需をバランスよく分散させることが適切と考えています。具体的には、電機・精密、機械、銀行、情報通信・サービス、建設を選好し、自動車、食品、小売は回避する方針としています。

(編集:野村證券投資情報部 デジタル・コンテンツ課)

編集元アナリストレポート

日本株メモ:米好景気&円高は心配無用 – 日本株の株価・業績の感応度を整理(2025年2月25日配信)

(注)各種データや見通しは、編集元アナリストレポートの配信日時点に基づいています。

※この記事は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としており、投資勧誘を目的として作成したものではございません。また、将来の投資成果を示唆または保証するものでもございません。銘柄の選択、投資の最終決定はご自身のご判断で行ってください。

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