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NISAについて知っておきたい5つのこと Part2

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2024年から「NISA」が大幅に拡充されます。野村證券(株) 田中 桃子、巽 勇人の2名によるトークセッション形式で、NISAについてわかりやすく解説します。【Part1から読む】

 

田中 桃子
巽 勇人

新NISAの使い方

:2023年までのNISAと2024年からのNISAの違いがよく分かりました。NISAのつみたて投資枠・成長投資枠それぞれの使い方について教えてください。

田中:事例を挙げて説明します。まず「将来のためにコツコツと」資産運用していこうと考えている方の活用例です。NISAの生涯限度額1,800万円を全てつみたて投資枠での利用を前提にした場合、月5万円ずつ、年間60万円の積立投資を30年間継続すると、最大限利用することが可能です。

:非課税で30年間、積立投資ができるようになるのは、NISAの魅力ですね。

田中:1,000円など少ない金額からコツコツ投資したい人や、ライフプランを見据え、長期で積立投資を考えている人は、つみたて投資枠を中心に活用してはいかがでしょうか。

次は「自分のタイミングでまとまった投資をしたい」と考えている方の活用例です。生涯限度額1,800万円のうち、成長投資枠は最大1,200万円まで利用可能です。例えば、年間240万円ずつ5年間投資を続けると、合計1,200万円の成長投資枠を利用することになります。この例は、成長投資枠の限度額1,200万円を使い切るので、投資した商品を売却しない限り、成長投資枠をこれ以上利用することはできません。

田中:その場合、生涯限度額1,800万円から成長投資枠の限度額1,200万円を引いた、残りの限度額600万円をつみたて投資枠で利用することは可能です。但し、つみたて投資枠年間120万円の限度額があるので注意が必要です。

:株式の一括投資を中心に考えている人などは、意識しておきたいですね。

田中:成長投資枠は株式やREIT(不動産投資信託)などのETF(上場投資信託)、投資信託など幅広い投資の選択肢があります。多くの商品から個別銘柄を選択したい人、投資タイミングを自分で決めたい人は、成長投資枠を中心にNISAを活用していく方法もよいのではないでしょうか。

最後は「積立投資を継続しつつ、ボーナスが出たら成長投資枠で運用したい」と考えている方の活用例です。つみたて投資枠と成長投資枠は同じ年に併用でき、双方の投資限度額合わせて生涯限度額1,800万円まで利用可能です。

仮に、月5万円ずつ、年間60万円、20年間積立投資で、つみたて投資枠を1,200万円利用する場合、生涯限度額の残りは600万円です。投資タイミングを見ながら成長投資枠を利用して株式の個別銘柄などに一括投資することが可能です。但し、成長投資枠年間240万円の限度額があるので注意が必要です。

:2023年までのNISAは、同じ年に両方利用できないので便利になりますね。

田中:当面の間は積立投資を学んでから株式投資に挑戦したい方や、積立投資を続けながらタイミングを見て一括投資したい方は、つみたて投資枠と成長投資枠を併用する活用方法がおすすめです。

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NISAを使った投資とは?

:これからはじめて投資にチャレンジする人のために、NISAを使ってどのような投資ができるのか、教えてください。

田中:まず株式投資から説明します。株式投資で期待できるものは、主に3つあります。

(1)キャピタルゲインと呼ばれる値上がり益
(2)インカムゲインと呼ばれる配当金
(3)株主優待

田中:(1)は株価が上がったときに得られる利益で、売却時の株価により損益の振れ幅が大きくなります。

:価格変動が大きい分、注意が必要ですね。

田中:(2)は定期的に得ることができる利益のことで、企業の業績や経営方針によっては出ない場合もあります。

(3)は、自社製品や割引券、優待品などを定期的に受け取ることができます。株主優待制度を実施していない企業もありますので、(2)と同じくあらかじめ確認しておくことが重要です。

:株主優待も、株式投資の楽しみな魅力といえますね。

田中:個別の銘柄を選んで株式投資をする場合は、2024年以降は成長投資枠を利用することができます。成長投資枠を利用して買付した株式の配当金を受け取る場合、NISAで買付した株数に応じた配当金が非課税となります。

田中:配当利回り(配当金を比較するための考え方で、配当金額÷株価)をみると、2023年5月時点で日本の東証プライム市場に上場している銘柄の半分以上が年間2.5%以上の配当利回りとなっています。但し、株価の変動リスクを考えると、配当利回りだけに着目することは注意も必要ですね。

:株価の動きも考慮しながら、銘柄を選んでいきたいと思います。

田中:次は投資信託です。投資信託は、多くの投資家から資金を集め、投資家に代わり専門家が、何に投資するかを選択して運用する仕組みです。専門家に投資対象の分散投資をお任せできます。

:分散投資とは?

田中:資産、地域、銘柄の分散、投資時期を分散して投資することです。例えば、株式と債券の価格は各々違う要因で変動するため、値動きが異なる資産を組み合わせて保有することで、価格変動リスクの分散が可能になります。

田中:投資対象を考える時間がない方などのために、投資信託を有効活用できるとよいと思います。また、投資信託は、つみたて投資枠・成長投資枠どちらでも購入することが可能ですが、つみたて投資枠は条件を満たし、厳選されたラインナップから選択します。一部除外商品もありますので注意が必要です。では、積立投資について説明します。これは、一定期間ごとに一定の金額ずつ同じ銘柄を購入する方法で、投資タイミングに悩まずに投資可能な方法です。

田中:同じ銘柄を毎月同じ金額で買付する時間分散により、価格変動リスクを軽減する効果が期待できます。例えば、投信積立を活用して、資産・地域・銘柄の分散に加えて投資時期の分散を実現、つみたて投資枠でも成長投資枠でも利用することができます。

:積立投資はどのくらい効果があるのですか?

田中:下記のグラフは、2012年から10年間、日経平均株価と同じ動きをする商品に毎月1万円ずつ積立投資を行った場合のシミュレーションです。

10年間の累積投資額は約120万円、2023年3月末時点の評価額は約167万円となっています。日経平均株価はこの間大きく下落したタイミングもありますが、高い時も安い時も継続して積立投資を続けた結果、利益となることがわかります。加えて、NISAで積立投資を行う場合は、税金がかからないのも大きなメリットです。

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NISAの利用数は?

:将来の資産形成に向けて、どのくらいの人がNISA口座を保有しているのでしょうか?

田中:2014年から開始した一般NISAは、2022年9月時点で1,069万人が口座を保有しています。2018年から開始したつみたてNISAは、4年間で口座数が約6.6倍まで増加、2022年9月時点で684万口座あり、約1,700万人が一般NISA口座または、つみたてNISA口座のどちらかを保有している計算です。Part1で説明した資産所得倍増プランでは、NISA口座を1,700万口座から3,400万口座まで倍増させることを目標としています。

:2024年以降はNISAの使い勝手が良くなり、NISA口座を持つ人が更に増えそうですね。

田中:一般NISA口座の残高は、2014年から2021年の7年で約3.6倍、つみたてNISA口座の残高は2018年から2021年の3年で約19.5倍に増加していることから、NISAの非課税枠を利用して投資する人が増えていることが分かります。また、つみたてNISAの世代別口座数と残高推移をみると、30代~50代の利用が増えていることがわかります。

:20代・30代の若い世代の人の利用数が増えているのは意外でした。

田中:若い世代の方々も将来のお金について考えて、NISA制度を有効活用しているということですね。

:投資はお金が貯まってから行うもの、という考え方が大きく変化していることがよく分かりました。

田中:NISAの非課税制度を理解し、より多くの方々が将来のお金の準備を始められるとよいと思います。

:NISAをきっかけに、将来のお金の計画について真剣に考えていきたいです。

【Part1から読む】

  • この記事は、2023年7月時点の情報に基づくものです。2024年の制度改正を踏まえ、内容を一部修正しています。

文責・野村ホールディングス株式会社 ファイナンシャル・ウェルビーイング室

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