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歴史から学ぶお金の役割—親子で学ぶお金の話(1)

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〈マンガ〉福町家のお金の話『信用って?』

近年、貯蓄から投資への流れや中学・高校での金融経済教育開始の影響を受け、お子さんに対する金融経済教育に関心を持つ保護者が増えています。しかし保護者自身が金融経済教育に苦手意識を持っていることも少なくありません。子どもは幼少期からお金に関心を持つため、学校だけではなく家庭での金融経済教育も大切です。

本シリーズでは親子で話せるお金の話をお伝えします。お金の歴史や役割について一緒に学ぶことができます。ぜひ金融経済教育の導入として、ご家族でお金について学ぶきっかけにしていただければ幸いです。

お金の歴史

私たちは日々当たり前のようにお金を使っています。何かが欲しい時、食べたい時、サービスを受けたい時など、どんな時もお金が必要になってきます。お金はいつ誕生し、どのように使われてきたのでしょうか。

物々交換時代

最初は物々交換から始まりました。例えば狩りをしてお肉を持っている人、魚を釣る人、農業をして作物を作る人など。それぞれが得意とするものを交換し合い、助け合いながら生活していました。

しかし、物々交換では不便な点がありました。まず、ニーズが合わないと交換が成立しません。自分が欲しいものを相手が持っていたとしても、自分の持っているものが、相手が欲しいものとは限りません。また、現在のように値段がついているわけではないので、交換する物の価値を測るのも非常に難しかったのです。

物品貨幣の登場

次に登場するのが物品貨幣です。貝、布、米、塩など保存が利いて価値が分かりやすいものを今のお金のように使っていました。物々交換をしなくても、これらの物品貨幣を介して様々なモノと交換できるようになりました。また「このお肉は貝5個分」「この魚は貝3個分」などのように、価値を示しやすくなったのも物品貨幣の利点です。

金属貨幣の時代

その後金属貨幣が登場しました。金や銀、銅などの金属を素材とした貨幣が利用され始めました。物品貨幣以上に価値がわかりやすく、保存も利くため、長らく人類は金属貨幣を利用しています。しかし、金属貨幣にもデメリットがありました。実際に金などの資源を使うため量に限りがあること、金額が大きくなると重くて持ち運びが大変になること、などです。これらの問題から、徐々に現在の「紙幣」へと変化していきました。

金本位制から管理通貨制度へ

1816年以降、世界各国で中央銀行が発行した紙幣を同額の金と交換できる「金本位制」が導入されていきました。金本位制では、国の中央銀行が紙幣を金と交換できるように保証していました。しかし、一国の経済発展に合わせて紙幣の発行量を増やすことができず、経済の成長が妨げられました。そこで、多くの国は中央銀行が自由に紙幣を発行できる管理通貨制度に移行しました。管理通貨制度では、紙幣の価値は金の保有量ではなく、国家の信用に基づいています。

現在の日本もこの管理通貨制度を使っています。しかし管理通貨制度にも課題は残っています。それは経済的な影響を受けやすいという点です。

数量限定のモノにはプレミアがつきますが、世にたくさん出回っているモノの値段は下がっていきます。お金も一緒で発行量が増えすぎると1枚あたりの価値が薄れてしまいます。そのため国は、政策によって出回っているお金の量を調整する重要な役割を担っているのです。

お金の3つの役割

お金には主に3つの役割があります。

1. 交換・流通手段

私たちは「お金に価値がある」という共通認識を持つことで、物々交換をせずともお金を通じてモノを交換したり流通させたりすることができるようになりました。お金の誕生により、取引方法が進化し、人々の経済活動は大幅に手軽かつ効率的になりました。

2. 価値の尺度

お金はモノやサービスの価値を測る尺度です。価値を数値化できたことで、人々は安心して取引ができるようになりました。また、相場よりも安いか高いかなど、比較することも容易になりました。

3. 価値の貯蔵

物々交換と違い、お金は腐ることがありません。将来のために使わずに価値を貯めることができます。これが現代でいう貯金の概念につながっています。価値の貯蔵をすることで、時間をかけて資産を形成し、より大きなモノや経験を獲得することが可能になりました。これは長期的な資産形成や投資の考え方の基礎となっています。

このようにお金は私たちの日々の生活をより豊かにし、経済活動をスムーズにするための道具としてここまで発展を遂げてきたのです。

お金は「信用」の上で成り立っている

お金は色々と形を変えてここまで進化してきました。時には金属そのものの価値を示し時には国家の信用を基盤として成り立ってきました。どの時代においても、人々がお金の価値を信じているということが、お金を利用した生活を支え、経済の循環を促してきました。

お金は長い歴史のなかで、人々の生活を支えてきました。当たり前にあると思われているお金の価値や、その役割について考えることは、日々の生活や経済についての理解を深めることにつながります。ぜひこの記事をきっかけに、お子さんと一緒にお金の話をしてみてください。

編集協力:内田優帆  AFP/編集・文責:野村ホールディングス株式会社 ファイナンシャル・ウェルビーイング室

→ 親子で学ぶお金の話(2)へ

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