お金を貯める~将来の幸せにつながる貯金の習慣づくり~—親子で学ぶお金の話(7)
お金を貯めることは大切です。しかし生活を切り詰め、我慢をして節約をすることが必ずしも良いというわけではありません。本コラムでは、将来の幸せにつながる貯金の習慣づくりのコツをお伝えします。
なぜ貯める必要があるのか
現在の収入で生活できているなら、わざわざお金を貯める必要はないと思うかもしれません。しかし、人生には普段の生活以外にもお金が必要になる場面があります。
まず、人生には三大支出と呼ばれる大きな出費があります。「教育資金」「住宅資金」「老後資金」です。これらは費用が多額になることが多く、備えるためには、計画的な資産形成が欠かせません。
また、病気や事故など、予想外の出費が発生する場面もあります。そのような不測の事態に対応するためのお金を貯めておくことで、安心した暮らしを送ることができます。
それ以外にも旅行やイベントなど、日常とは別のシーンで出費がかさむこともあるでしょう。つまりお金を貯めるということは、将来に備えることと考えてみましょう。そして貯金は闇雲にするのではなく、きちんとステップを踏んでいくことが成功の鍵となります。
貯めるまでの4つのステップ
STEP1:目標設定
お金を貯める第一歩は、明確な目標を設定することです。何のためにお金を貯めるのか、具体的なイメージを持ちましょう。「1か月後に掃除機を買い替える」といった短期的な目標はもちろん、ライフプランを作成して中長期の目標を立てることも重要です。例えば「5年後に家を購入する」「10年後の大学進学資金を準備する」「65歳まで働く」といった具合です。人生は予想通りにいかないこともありますが、前もって備えることで、より安定した将来を築くことができます。
子どもの場合は、年齢によっては遠い将来の目標はイメージしにくいかもしれません。そのため、まずは短期目標を立てて、少しずつ目標を達成していく経験を積むことが大切です。例えば、「来月新しいおもちゃを買う」「3ヶ月後に欲しい本を購入する」といった具体的で身近な目標から始めましょう。目標を設定することで、貯金をする意味が明確になり、モチベーションを維持しやすくなります。小さな成功体験が、自信を育む土台となります。
STEP2:収入と支出の把握
次に重要なのは、自分の収入と支出を把握することです。収入も支出も人それぞれ異なります。特に支出は年齢、家族構成、ライフスタイルなどによって大きく変わりますので、定期的に見直しをする必要があります。
おこづかいの管理から始めましょう。おこづかい帳をつけることで、収入(おこづかい)と支出(使ったお金)を視覚的に把握することができます。おこづかい帳をつけることは、将来の家計管理の基礎となります。このプロセスを通じて、子どもたちはお金の流れを理解し、管理する力を養うことができます。
STEP3:無駄遣い(浪費)を減らす
お金を効率よく貯めるためには、無駄な支出を減らしましょう。まずは支出を毎月の家賃や光熱費などの「固定費」と、食費や娯楽費などの「変動費」に分けて考えましょう。固定費を見直して、無駄を削減するところから始めるのがおすすめです。
支出の管理は固定費の見直しから始めるのが原則です。理由は、変動費の削減は一時的にはできても長続きしにくいからです。定期的な支出で減らせるところはないか、確認しましょう。
子どもの年齢が上がれば、家庭の支出の一部を教えることも検討してみましょう。例えば、子どもが直接関係する習い事やサブスクリプションサービスなどです。年に1度は話し合いの機会を持ち、「この1年はどうだったか?」「次の1年も続けるべきか?」などと話すことで、家族全員で価値観や今後の方向性を共有することができます。
また子どもにとっても、自分自身の支出を見直す習慣をつけるきっかけになります。無駄な支出がないかどうかを定期的にチェックすることで、価値のあるお金の使い方ができるようになり、結果として無駄遣いを減らすことに繋がります。おこづかい帳の適宜見直しをし、次に活かせるように伝えましょう。
STEP4:貯金の仕組化
貯金の基本は「先取り貯金」です。つまり、収入からあらかじめ決まった額を貯金に回し、残りを生活費に充てるという方法です。毎月の収入が20万円なら、例えばそのうちの2万円(10%)を先に貯金に回してみましょう。
給与振込口座とは別に貯金専用の口座を作り、自動的に一定額を貯金専用口座に振り分けると便利です。
子どもの場合は、貯金箱で仕組み作りをします。最低でも「使う」「貯める」の2つ、貯金箱を準備しましょう。そして「おこづかいが入ったら10%は”貯める”貯金箱に入れる」などのルールを決め、習慣化していきましょう。
さらに付け加えるならば「あげる」貯金箱もあると、なおよいです。「あげる」貯金箱では、誰かへのプレゼントや寄付のために貯めましょう。誰かのためにお金を使って喜ばれる経験は、より人生を豊かにします。米国では、さらに「増やす」を加え、4つの目的別にお金を使う考えがあります。幼いころからお金の使い先を意識することで、「自分のお金はこうやって社会に流れていくんだ」「自分たちが暮らす社会にこんなふうに役立っているんだ」ということがわかり、自然に金融知識が身についていきます。
親が子どもに教える際のポイント
・コミュニケーションが大切
親子で一緒におこづかい帳を見直す時間を設けるなど、コミュニケーションの場を積極的にとりましょう。そうすることで、お金の管理について自然と会話が生まれます。お金の話を家族でオープンにすることは、金銭トラブルを未然に防ぐ助けになります。
・成功体験を積み上げる
小さな目標の達成、例えば、欲しいものを買うためのお金を貯めるなどの成功体験を積むことが自信を育みます。こういった体験の積み重ねは、単なる貯金目標の達成にとどまらず、人生全般においてもポジティブな影響をもたらすことでしょう。
・失敗も許容する
「失敗は成功のもと」というように、失敗もお金の管理においては重要な貴重な学びの機会となります。例えば、計画通りに貯金ができなかった場合や、無駄遣いをしてしまった時など、お金に関する失敗は誰にでもあります。そういった時は子どもを責めるのではなく、一緒にその失敗から何を学べるかを考えてみましょう。そして次回はどうすれば上手くやれるか、一緒に解決策を見つけることで、より良いお金の管理ができるようになります。
貯金をすることは将来の幸せにつながる
長い人生、目先の幸せだけではなく将来の幸せにも目を向けることが大切です。貯金の習慣をつけることは、単にお金を増やすだけでなく、人生の選択肢を増やし幸福度を上げていくことにもつながります。親子で貯金を習慣化し、より豊かで充実した人生にしていきましょう。
編集協力:内田優帆 AFP
編集/文責:野村ホールディングス株式会社 ファイナンシャル・ウェルビーイング室