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なぜ今、投資が重要なのか? インフレと人生100年時代における資産形成の必要性—親子で学ぶお金の話(8)

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〈マンガ〉福町家のお金の話『家族の未来を考える』

お金を貯めるための仕組み作りができたら、次は「増やす」ために投資を考えてみましょう。「貯めるだけでいいのでは?」と思う人もいるかもしれません。しかし現代社会では資産を増やす工夫が必要と言われています。本稿では、投資の意義についてお伝えします。

貯めつづけてもお金は増えない?

先取りで銀行に貯める仕組みを作り、コツコツと預金を続けてきたとします。最近、金利が少し上がってきたとはいえ、日本の銀行の金利はまだかなり低いです。つまり、貯めつづけたとしてもそれ以上にはほとんど増えないのが現状です。

お金の価値は一定ではない

次にお金の価値について考えてみましょう。具体例として野菜の価格で考えてみます。ほうれん草が1束100円の時もあれば、200円、300円の時もありますよね。同じ500円を持っていても、5束買える日と、1、2束しか買えない日があります。買えるものの量は日々変わるのです。野菜に限らず物の値段は需要や供給、経済状況によって日々変わるため、お金の価値も変化していると言えます 。

お金の価値は一定ではない

なぜ投資の必要性が高まっているのか

少し視点を広くして投資の必要性について考えてみましょう。日本では政府が「貯蓄から投資へ」というスローガンのもと、NISAやiDeCoなど、投資を促す政策が進められています。

なぜこのように投資の必要性が高まっているのか。その背景には主に2つの理由が考えられます。

1.インフレ(物価上昇)

モノやサービスの値段が上がることをインフレ(物価上昇)と言います。

日本の中央銀行である日銀では毎年2%ずつモノやサービスの値段を上げていきたいという「物価安定の目標」を掲げています。私たち消費者からすればモノやサービスの値段が上がることは、生活費が上がることになり望ましくないと感じるかもしれません。しかし本来、国の経済をよくするには、ほどよいインフレとそれに伴った賃金(給料)の上昇が良い経済の循環のために大切だと言われています。現状の日本はインフレに賃金の上げが追いついていないと感じる方もいるのではないでしょうか。そこで私たち国民としては、投資を知ることでインフレ対策の手段を増やし、自分たちの生活水準が維持できるようにしていくことも必要です。

インフレ(物価上昇)

2.人生100年時代

現代は「人生100年時代」とも言われています。医療の進歩に伴い寿命は延びていくと予想されています。寿命が延びることは素晴らしいことではありますが、長生きする分、生活費もかかることを忘れてはいけません。2019年に金融庁「市場ワーキング・グループ」の報告書より、「老後の30年間で約2000万円が不足する」と発表されましたが、今後は退職金や年金だけでは生活するのが難しくなることが推測されます。

平均寿命の推移と将来予測のグラフ。1950年は男性が58歳、女性が61.5歳。2023年は男性が81.09歳、女性が87.14歳。2070年の予測は男性が85.89歳、女性が91.94歳となっている。
出所:内閣府「令和5年版 高齢社会白書」、厚生労働省「第23回生命表(完全生命表)」「令和5年簡易生命表」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(令和5年推計)」より野村證券ファイナンシャル・ウェルビーイング室作成

1950年・2023年は厚生労働省「簡易生命表」、1960年から2020年までは厚生労働省「完全生命表」、2030年以降は、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(令和5年推計)」の死亡中位仮定による推計結果。

そのため私たちは老後に備えて自分で準備していくことが求められています。時間を味方につける長期投資は賢い選択と言えるでしょう。

まずは投資の知識を身につけていきましょう

これからの人生はインフレや長生きに備え、お金で困らないようにすることが大切になります。例えば結婚や育児、住宅購入など大きなイベントのための資金、旅行や趣味など人生を充実させるための資金、不慮の事項や病気に対応する資金は、準備しておいた方が良いです。さらに先ほど述べた老後資金も準備する必要があります。資金が足りないとなると、不安な将来しか見えません。「ファイナンシャル・ウェルビーイング」という言葉がありますが、「安心して健やかに生きていくために、お金についての不安をとりのぞき、お金との健全な向き合い方ができている状態」を指します。そのような状態を目指すために、投資の知識を身につけていきましょう。知識は自分を守ってくれる「資産」です。ぜひ親子でコミュニケーションをとる上でも知識の重要性を伝えていただけたらと思います。

投資は人生を豊かに生きていくためのツール

投資をすることが全員にとっての正解でないかもしれませんが、多くの人にとって投資は人生を豊かにするための必要な手段の一つだと言えます。投資をする意義を正しく理解し、自分事として考えてみましょう。また、幼少期から当たり前のように投資について考えることは、子どもの将来の糧となります。ぜひ親子の日常の中に投資について考え、触れる機会を作ってみてください。

編集協力:内田優帆 AFP
編集/文責:野村ホールディングス株式会社 ファイナンシャル・ウェルビーイング室

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