親子で学ぶ投資のキホン—親子で学ぶお金の話(9)
投資を知ることで、「お金を増やす力」を育てることができると同時に、経済の仕組みを知る良い機会にもなります。本記事では、親子で知っておくべき投資のキホンについて解説していきます。投資の本質的な意義を理解し、また実践に移せるように親子で学んでいきましょう。
投資をする本当の意味
あなたは素晴らしい商品やサービスを世の中に送り出したいと思ったことはありますか。しかし事業を立ち上げるためには、設備を整えたり人を雇ったりするお金が必要です。こうした場面で登場するのが「投資」です。企業は投資家からお金を集め、事業で出た利益を投資家に還元します。投資されたお金により、企業が成長し、投資家はリターンを得ることができるのです。投資は企業を応援、サポートする意味もあります。そして、経済が循環し、私たちの生活が豊かになるという大きな意義をもっています。
株式投資ってなに?
次に投資の代表として株式投資をみていきましょう。
株式投資とは、企業にお金を出資し「株主」として企業のオーナーの一人になることです。株主総会に参加できたり、株価の上昇による利益や配当、株主優待などの恩恵を受けることができます。しかし企業の業績が悪化すれば株価の下落の可能性あります。
そのため、どの企業に投資をするのかを分析し、選定することも大切です。
価格は需要と供給のバランスで決まります。人気が高まれば買う人が増え価格が上がり、人気がなくなると買う人は減るので価格は下がっていきます。株も同様に、企業の将来性に期待が持てるなどの理由により人気が出ると、株価は上昇します。逆に業績の悪化などで株を手放したい人が増えると株価は下落してしまいます。
投資をする上で知っておくべき「投資の三原則」
投資で心がけるべき3つの大切な原則があります
1.資産分散(卵は一つのカゴに盛るな)
「卵は一つのカゴに盛るな」という投資では非常に有名な格言があります。1つのカゴに卵を全部入れてしまうと、落とした時に全部割れてしまう可能性があります。しかしいくつかのカゴに分けて入れておくことで、どれかが落ちても他のカゴに入ったものは割れずに無事です。投資をする上でも、投資をする対象をいくつかに分散することが、リスクを減らす上で大切だと言われています。
2.積立(ドルコスト平均法)
次に積立です。投資は安く買って高く売りたいと皆が思いますが、安く買えるタイミングはプロでも予想が難しいと言われています。そのため毎月一定額を購入する「積立」を行うことで、価格が高いときは数量少なく、安いときは数量多く購入ができ、平均購入価格をならすことができます。そうすることで、高値掴みを避けつつ、リスクを分散できます。この投資手法を「ドルコスト平均法」と言います。
3.複利
投資をするには時間を味方につける、つまり長期で投資したほうが有利と言われています。その理由が「複利」の考え方です。世界的にも有名な物理学者アインシュタインは複利こそが人類最大の発明と言っています。複利効果を活かせば、得られた利益を再投資し、時間とともに資産が増える可能性が高まります。
複利の効果を知っていただくため、ここで2種類の金利計算、単利と複利それぞれの運用例を見てみましょう。
これは金利3%で運用した場合のシミュレーションです。複利は運用が長期になればなるほど効果を発揮します。単利で30年間運用した場合は190万円ですが、複利の場合は約240万円となり、このケースではおよそ50万円多く資産を増やすことができます。幼少期から金融教育を受けることが重要なのは、このように長期的に資産を運用することで大きなメリットが得られるからです。このことからも、早い段階から金融リテラシーを育むことの大切さが理解できると思います。
リスク=危険度ではない
投資をする際に必ず耳にする「リスク」について、危険性を表していると思われていることが多いですが、実は「値動きの大きさ(不確実性)」が本来の意味です。値動きが上にも下にも大きいものをリスクが高いと言い、値動きが小さいものをリスクが低いと言います。
そしてリスクとリターン(利益)は表裏一体です。大きなリターンを得ようとすると、ハイリスク・ハイリターンになりますし、リスクを低く抑えようとすると、ローリスク・ローリターンになるという関係にあります。
リスクが低いにも関わらずリターンが大きい(ローリスク・ハイリターン)商品は基本的にはありません。もしそのような話があれば詐欺を疑ったほうがいいかもしれません。
投資するためのお金はどこから出す?
投資を始める前に、まずは生活防衛費として給与の3~6か月分を目安に、生活費として現金で確保しましょう。また車の買い替え資金や住宅購入の一時金、旅行資金など今後出費がある程度予想される資金も手元に残します。その上でその他しばらく使う予定のない資金を、少しずつ将来への投資に回してみる方法を考えてみてください。
子どもと一緒に、応援したい企業を探してみるなど、投資を身近に感じられる工夫をしていきましょう。
経験することが一番の学び
いかがでしたでしょうか。投資は、単にお金を増やす手段ではなく、社会に貢献し経済を循環させる重要な役割を担っています。親子で投資のキホンを学ぶことで、お金の本質的な価値や社会との関わりを理解し、将来に向けた資産形成の基礎を築いていくことができます。ぜひ無理なく実践できることから始めてみましょう。
編集協力:内田優帆 AFP
編集/文責:野村ホールディングス株式会社 ファイナンシャル・ウェルビーイング室