Wealth Management野村ウェルス・マネジメントのチーム

野村だからこそ可能なイノベーティブな金融商品を世に出すために
新たな時代のニーズをとらえて次の商品開発に活かす仕組み
西川 祐輔 商品企画部長
- 2001年入社。複数の支店にてパートナーを経験した後、2支店にて支店長を務めた。2023年商品企画部長に就任。
野村で扱う金融商品やサービスの開発を担う商品企画部。2023年、旧商品企画部、投資顧問事業部、信託銀行・保険事業部を商品企画部に統合し、包括的にサービスを提供できる体制が整った。統合時に商品企画部長に就任し、新しい体制を率いてきた西川祐輔は「商品ありきではなく、お客様起点でニーズに合ったソリューションを提供すること」を掲げてきた。
多様化するお客様のニーズに寄り添うのは部店のパートナーだけではない。本社の商品企画部が、お客様と接するパートナーと密接にやり取りし、時代を先取りした商品・サービスを生み出す役割を担うからこそ、本当の意味でお客様のニーズに応えることができる。野村の総合力を活かし、ウェルス・マネジメント(以下WM)の未来をイノベーティブに切り拓く商品企画部の挑戦と使命を聞いた。
- 野村では、「お客様から最も信頼される相手として選ばれたい」という思いから、営業担当者を「パートナー」と呼んでいます。

アクセルとブレーキの役割を同時に果たす商品企画部
商品企画部は、2023年4月に旧商品企画部、投資顧問事業部、信託銀行・保険事業部の3つの部が統合する形でスタートしました。現在は多様な商品・サービスの企画、開発、及びパートナーへのサポートを行っています。担当領域が広がり、株式や債券、投資信託に加え、投資一任や保険、信託業務など、野村が取り扱う商品の大半をカバーする組織となりました。私は統合が行われた時に部長に就任し、新しい商品企画部としてのミッションを規定し、推進する役割を担っています。
特に意識しているのは、バランス感覚です。商品企画部は「アクセル」と「ブレーキ」の両方の機能を担っています。
商品企画部は多様な商品を組成してお客様にお届けする役割があります。ポートフォリオとして組み入れて良い効果が期待できる商品を導入・進化させ続けるアクセルの機能があります。しかしながら、ポートフォリオに組み込まれるにあたり、期待する効果が目指せない、お客様が取られるリスク以上の不利益が想定されるような商品が組成されてしまうことを防ぐ牽制機能、いわゆるブレーキの機能も重要です。この両方を考慮しながら、お客様本位の商品の企画や提案を検討することが商品企画部の使命だと考えています。
統合される以前は、保険に関しては保険専門の部署など、それぞれの商品・サービスを扱う部署ごとにサポートを担当していました。しかし、例えば、相続ひとつ取り上げてみても、保険、遺言信託、ラップ信託など多岐にわたる商品・サービスが関連します。そこで、野村ではひとりのお客様に関わる商品やサービスを横断的にサポートするために、商品企画部においてワンストップで対応することができる体制を整えました。
加えて、サポートの内容そのものも進化させました。商品開発をする時には、商品ありきで物事を考えてしまいがちですが、常にお客様のニーズに合ったソリューションを提供しようとする意識へと変化することが重要です。自分が担当する商品を起点に考えるのではなく、「包括的な資産管理サービスとは何か」という基本スタンスに立脚して、パートナーや部店と同様、お客様起点で考え、寄り添うスタンスで行動すべきだと繰り返し部員に伝えています。
私自身は過去に商品企画部の勤務経験があったわけではなく、全国の複数の支店でパートナー、そして支店長を経験し、商品企画部長を務めることになりました。私のミッションは、異なる部門から集まったメンバー間でのシナジーを生み出し、野村の総合力を発揮することです。専門性については商品・サービスに詳しい部員が主に担う一方で、パートナーの考えを商品企画にどうやって反映させるかを決めるのが、私の役割だと思っています。

商品を作り込む、イノベーティブなプロセス
新しい商品・サービスを作り込む過程では、まずパートナーや部店のお客様のニーズを把握することが重要です。そのために、様々なお客様と日々向き合っている部店のパートナーや本社の関連部署と連携して、商品を形づくっていきます。
その過程では、ホールセール部門と協力します。国内外の事業会社、金融機関などのお客様に株式・債券の引受やM&Aアドバイザアリーなど様々な投資銀行サービスを提供するインベストメント・バンキング(以下、IB)や、国内外の機関投資家などのお客様に商品やソリューションの提供を行うグローバル・マーケッツ(以下、GM)など各分野のプロフェッショナルがそれぞれの立場から豊富な知識と経験を活かして議論を重ね、最適な商品設計を行います。
商品の設計においてはコンプライアンスの視点も欠かせません。パートナーが自信を持って提案でき、お客様に信頼を寄せていただける商品を提供することを目指しています。社内には、あらゆる金融のプロフェッショナルが集結しており、それぞれのメンバーがお客様自身もまだお気づきになっていない潜在的な課題やニーズまで洗い出し、解決策を見出せるよう徹底的に向き合い続けます。
例えば、2023年11月に野村が国内で初めて手がけた上場社債型種類株式は、株式の権利の内容が異なる複数の種類の株式を発行する「種類株式」という制度を活用した新しい商品です。発行会社は普通株式の価値の希薄化やROEなど財務指標への影響を抑えながら、資本を拡充することができます。購入するお客様にとっては、定められた期間の配当収入が固定されているなどのメリットがあります。
お客様から「種類株式が欲しい」というような具体的なニーズが明示的に上がってくることはなかなかありません。お客様が金融商品に求める利回り、相場環境や経済状況を踏まえた考え方がパートナーから吸い上げられてきて、それに加えてIBやGMから寄せられる発行体側のニーズも把握できる野村だからこそ、イノベーティブな商品を開発できる流れがあるのです。
実際に商品の提供を行ってみて、仕組みや特徴、リスクなどを十分にご説明する必要がある商品をお客様に提案するためには、パートナーが商品性を的確にご説明できるだけでなく、発行体が持つ企業の成長ストーリーを理解してお伝えできる質の高い提案力が求められることを実感しました。パートナーは新しい商品の知識を得る努力を日々続け、本社はその知識習得をバックアップするために資料を作成したり、勉強会を企画する。この両方があってこそ成り立つ商品であり、潜在的なお客様のニーズに対応することができるのです。

厳選された投資信託のラインアップができるまで
身近な金融商品である投資信託についても、プロフェッショナルの知見が隅々まで行き届いた商品ラインアップを揃えています。
投資信託には、株式や債券などのような、公開(パブリック)市場にて取引が可能な資産を組み入れたパブリック・アセットと、不動産、非上場株式、インフラなど一般に市場では取引がされていない資産を組み入れたプライベート・アセットがあります。パブリック・アセットに関しては、国内外の運用会社から寄せられる数多くの提案の中から、野村フィデューシャリー・リサーチ&コンサルティング株式会社(中立的な資産運用サービスを提供する野村グループ会社)による調査と分析および評価を経て厳選した商品を提供しています。
私たちは、取り扱う投資信託の数を増やすことはあまり重視していません。厳選した商品を通じて多様なニーズに応えることこそが、お客様にとってのメリットになると考えているからです。私たちのお客様の多くは、どこでも買える商品にはあまり魅力を感じず、野村だからこそ提供できる提案を期待されているのだと考えています。こうした期待に応えることが、私たちの使命です。
取り扱う投資信託を増やす際には、従前から取り扱っている投資信託と同じような性質のものを増やすより、これまで扱っていなかった新たな投資機会を提供できることに重点を置いています。例えば、主に世界株式を投資対象とする商品が充実していると考えた場合、同じような新商品を増やすことはせず、新興国の中小型株といったラインアップの中で必ずしも十分ではないと考える資産を補う形で商品を取り入れることがあります。結果として、お客様が長期的な観点で資産形成を行うための選択肢が広がることにつながると考えているからです。
プライベート・アセットの投資信託は、上場株式・債券等の伝統的資産とは異なり、流動性が低く、購入・売却の頻度が限られる反面、価格が市場の需給の影響を受けにくい特徴があります。金融リテラシーが高く、保有資産等が十分にあるお客様にとっては、パブリック・アセットだけでは実現できないような投資効果が期待できるという特徴があり、株式や債券等の伝統的資産とは異なる値動きをするという意味で、リスクを分散させる効果もあります。
パブリック・アセットだけでなくプライベート・アセットについて、野村には海外の運用会社から商品提供に関する非常に多くの提案が持ち込まれています。私たちは社内外のグローバルネットワークから情報を集め、厳選された商品だけをお客様にお届けしています。プライベート・アセットの商品は、パブリック・アセットだけで資産運用ニーズを満たすことができないお客様にとって、付加価値の高い存在であると考えています。
こうして選び抜いた投資信託のラインアップから、パートナーはお客様にとって最適と考えられる商品を選び、オーダーメイドのポートフォリオを提案しています。野村では、独自の資産管理システムを活用してお客様の資産全体のバランスを可視化し、リスクとリターンを論理的にお示しすることができます。そのため、ただ現在のポートフォリオを管理するのではなく、未来志向でお客様の資産全体を見据えた提案をすることが可能となるのです。こういったツールも、商品企画部がパートナーの声を取り入れながら開発しています。
多岐に渡る遺産相続ソリューションを包括的に提供
お客様が抱える複雑な課題にワンストップで対応するための組織改革として、特に力を入れている代表的な事例が、相続を包括的にサポートする仕組みです。
資産承継についてお悩みのお客様には、まず部店のパートナーがご要望を汲み取ります。その場でご対応が可能なこともありますが、お客様の資産規模が大きく複雑になるほど、提供できるソリューションは多岐にわたります。そうしたお客様に専門的な知識を持って対応するために、商品企画部には相続コンサルタントが在籍しています。彼らは、部店のパートナーと連携し、時にはお客様との面談にも同席しながら必要なソリューションを考え、本社内の多様な専門家と連携します。
私もパートナーとしてお客様に接した経験のなかで、企業経営者のお客様とのやり取りが印象に残っています。そのお客様は多くの金融機関とのお付き合いがありましたが、相続に関する考え方は非常に慎重で、ご家族、金融機関担当者の誰にも打ち明けていませんでした。その中で、野村は、資産運用・不動産・保険・遺言信託といった多岐にわたるソリューションに対応できるのが強みでした。パートナーや相続コンサルタントとチームを組み、お客様の秘密をお守りしながらお悩みのご相談をいただくまでに至り、最適なソリューションを追求して課題を解決することができたのです。
その経験をもとに、商品企画部に移ってからは、ワンストップでの課題解決をよりスムーズに行える組織づくりに力を注ぎました。以前は複数の部署に分かれていた相続関連サービスの組織を統合して、一つの部署で包括的に対応できる体制を試行錯誤しながら構築しています。
その過程で感じたことは、各部署のメンバーがプロフェッショナルとして自分の仕事に誇りを持ち、豊富な専門知識を有していること、そして、パートナーがお客様一人ひとりに伴走できるよう、専門性をもった人材が全力でサポートする仕組みは野村ならではの強みだと思います。
この仕組みを一層進化させ、長期的な視点でのお客様のサポートをさらに推進していきたいと考えています。野村は、相続の際に有価証券を売却する選択肢だけではなく、資産運用を継続しながら親から子へと引き継ぐ選択肢もご提供しています。生前から相続に関わるお子様とのリレーションを構築しておくことで、スムーズな資産承継が可能になります。資産と思いを次世代に引き継ぐことを通じて、多くのお客様から「野村で良かった」とのお声をいただいており、私たちのやりがいにもつながっています。

グローバルなネットワークを活かし、時代に先駆けた商品開発に挑戦する志
野村グループは、2025年12月に創立100周年という節目を迎えます。その歴史を紐解くと、時代に合わせて変化し続けてきた会社であることがわかります。商品の内容やそれを開発する体制において、常に日本をリードし、その時代のニーズに合った最適なサービスの提供を追求し続けてきました。
今、私たちはグローバルなネットワークを活用し、欧米をはじめ世界のトレンドや事例について最新の情報を収集しています。これらの情報をもとに未来を描き、日本のお客様にどのように最適な形で商品・サービスを提供するかを議論し、新たなWMのモデルを構築しています。
さらに、野村の最大の強みとして、お客様に接する最前線が非常に重視されることが挙げられます。私自身、パートナーとしてお客様と実際に接してきたことで得られた経験を、今の仕事に存分に活かしています。野村では、お客様のニーズがパートナーを通じ、新しい商品・サービス開発に迅速に反映されます。商品開発に携わるプロフェッショナルが、パートナーと連携してお客様に直接ご説明する機会も多いからこそ、新たな時代のニーズを肌で感じ、次の商品開発に活かすことができます。
「野村にはWMの全ての機能が揃っている」という信頼感を持っていただけるよう、進化を続けていきます。パートナーだけでなく本社社員も既存の商品・サービス・ソリューションに満足せず、常に先を読み、新しい挑戦を続けようという志を持っています。
- 記事の中で個別の商品やサービスに言及することがありますが、本稿はNOMURA WEALTH MANAGEMENTの目指す姿についてのご理解を深めていただくためのもので、個別の商品やサービスの勧誘を目的としたものではありません。
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野村のソリューション・サービスのご紹介 金融資産ソリューション
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ポートフォリオ運用とは、機関投資家等が採用している運用手法で、投資資金を複数の資産クラスや市場に分散させることでリスクを低減し、安定した収益を目指す投資戦略のことです。野村證券では「世界経済の成長」をご自身の「資産の成長」とするための「長期視点でのポートフォリオ運用」をご提案します。ご提案は、「CIO(Chief Investment Office)」による資産配分やファンド選定に基づき行います。