Wealth Management野村ウェルス・マネジメントのチーム

橋本 依里香 ウェルス・マネジメント課 課長

私にしかできないことは何か
お客様の本当の思いに気づき、最善を尽くす

会話のなかでいただくヒントは、自分の考えを変えるチャンス

橋本 依里香 ウェルス・マネジメント課 課長

  • 2011年に入社。複数の支店での営業経験を経て、2019年に本社人事部でキャリアサポーターとして勤務。産休・育休を経て2021年10月に現在在籍の支店で復職。

丁寧なコミュニケーションでお客様との信頼を築き、はっきりと意見を言う率直さが持ち味。支店に所属するパートナーである橋本依里香は、お客様の思いや価値観を深く伺い、時にはお客様が驚かれる提案をして、信頼を得てきた。お客様と対話し、じっくり信頼関係をつくるスタイルを通じて、ウェルス・マネジメントの本質を紐解く。

  • 野村では、「お客様から最も信頼される相手として選ばれたい」という思いから、営業担当者を「パートナー」と呼んでいます。

対話と手紙で価値観をすり合わせ、築いた信頼関係

支店や本社での経験を経て、産休・育休を取得後、2021年から現在在籍している支店にパートナーとして復職しました。5年前に課長を務めることになり、現在は課員のマネジメントも担っています。

私が所属する支店には、代々その土地に根差してきた上場企業を含めた優良企業の創業家の方が多く、その地域の特性や文化を理解することに努めています。

着任後、担当を引き継いだある企業オーナーのお客様は、M&Aを通じて事業拡大を続けてきた経験豊富な方でした。しかし、ご自身の資産に関しては運用経験がほとんどなく、投資をしたい気持ちもないとのことでしたので、最初は資産運用についてお伝えすることはせず、会社の経営方針やお客様ご自身の考え方を教えていただく事に徹しました。例えば金融機関のサービスに関わる手数料の考え方を議論するなど、お客様が話したい内容に私なりの考えでお答えするようにしていました。

ある日お客様が会社を売却して社長を退任されたと聞き、花束を持って訪問したところ、「部下に会社を売却して退職金を受け取り、まとまった資産ができた」とお話しされていました。そこで私は、「あらためて資産運用のお手伝いをさせていただけないか」と申し出て、お客様にご提案をさせていただく機会をいただきました。ご提案をする際には、すぐに方針を決めるのではなく、時間をかけて面談をして、お客様の価値観をじっくりと伺いました。

富裕層のお客様は、ご自身で確固とした価値観をお持ちの方が多いと感じることが多く、一般的な資産運用の方法だけでなく、その方の価値観に寄り添うことが重要だと思います。そのお客様は、「分散投資の意義などは大枠では理解しつつも、自分が投資する理由について本当に納得しない状況のままで、資産運用を始めることはできない」、という価値観をお持ちでした。具体的な投資商品の提案を急ぐのではなく、退職金という大きな資産を手にされてから、その後の人生をどう考えるか、といった視点で面談に臨みました。

そうした面談を重ねるうちに、様々な金融機関からのアプローチがある中で「野村にお願いすることにした」とおっしゃっていただきました。

なぜ、私を通じて野村證券を信頼してくださったのか。そのお客様と面談の回数を重ね、「橋本さんは面白い人だ」と言っていただけるような、1対1の深い信頼関係を築くことができたからではないかと思います。お客様とは、若者は今の時代をどう捉えているかなど、資産運用以外の幅広いテーマについても会話をしました。お客様のお話を伺って、私自身も自分なりの考えを持ち、自己開示することを常に意識しています。「橋本さんは無理難題を言っても、どうにかして応えたいと頑張る気持ちが見える」とおっしゃっていただいたときには非常にうれしく感じました。このような会話の積み重ねが、お客様のなかで、「自分の考え方をわかっている人からの提案を聞きたい」、といった思いに強くつながったのだと思います。

私は同僚には話をするのが得意だと思われることが多いのですが、実はとても口下手です。そのため、お客様にお手紙を書くことをコミュニケーションの一つとして大切にしてきました。初めてお取引をいただいたときの感謝の思いや、お客様と意見交換した内容を振り返ってあらためて考えたことについて、手紙にまとめてお送りしました。後日、お客様が手紙を喜んでくださり、周りの方にも見せたという話を聞き、とても励みになったことを今でも鮮明に覚えています。

お客様が今必要としていなくても、未来への想像を止めない

ある企業の株式のみに投資していたご家族を担当したことがあります。そのご家族はお父様からの相続で株式を受け継ぎ、保有されていました。お母様、お嬢様、ご子息様の3人は株式の配当金のみで堅実に生活するには問題ない状況でした。

一方で、私は、ご家族全員の資産が1社の株式に偏っていることで、リスクもあると考えていました。

しかしお手紙やお電話でご連絡を差し上げても、「現状のままで大丈夫です」と、なかなかアポイントをいただくことができませんでした。それでも、中長期の視点での資産運用についてお伝えしたいと考え、そのお客様のご子息様と短時間のアポイントをいただきました。

限られた時間の中で、どのように話したらお客様に伝わるか、事前にお客様の状況を想像しながら準備しました。お客様はお父様からの相続により今の株式を保有することになったため、投資に対しての一貫した考えや知識をお持ちではありませんでした。そこで「現在の資産状況が一点集中型であることのリスク」や「株式は急激に上昇することもあれば、急落することもある」という過去の金融危機のポイントなどをまとめてお伝えしました。そして、難しい言葉ではなく、「私だったらこんな夢もかなえてみたい」という、景色の見え方が変わるような話し方を意識しました。すると、ご子息様から「もう少し話を聞きたい」とおっしゃっていただき、次のアポイントにつながりました。

その後、ご家族全員ともお話しさせていただく機会をいただき、お客様ご家族の関心事であるお孫様の教育について、現在の資産を活用することでどんな選択肢が広がるかをお話ししました。お客様の教育に対するお考えを伺いながら、私自身も子どもを持つ親として、「私だったら教育を目的に選択肢のひとつとして、海外移住も考える」というお話もしました。そのようなディスカッションを繰り返しながら資産の活用方法についてのシミュレーションをお見せし、お客様の夢や希望をかなえるためには、どうしたらよいかをお客様とともに真剣に考えました。

1社に偏った資産を分散させることについて、お母様とお嬢様は当初抵抗があるようでした。ご家族が保有されてから株価が右肩上がりに上昇しており、株価の急落により危機感を覚えたご経験がなく、他の株式や資産に振り分けるイメージがつかなかったのだと思います。しかし、もっと安定的に資産を運用できるかもしれないという選択肢を知って、お考えが徐々に変わってきたようでした。

最終的には、ご家族全員が納得され、お持ちの株式を一部売却されることになりました。お客様にとって良いタイミングや方法で売却できるよう、本社の複数の部署と連携して、綿密に売却に際しての打ち合わせを行いました。その結果、株式の売却後も配当収入は変わらず、さらに安定的に資産を守れるように、複数の資産への分散投資をスタートしていただきました。その後は、当初お持ちの株式の株価上昇幅以上に、分散投資された資産全体が増え、分散投資の意義を実感していただけました。さらに、お客様の関心事であった、お孫様の教育資金の実現に向けた資産の有効活用のご提案など、ご家族様の人生をより豊かにするためのお手伝いができたことを大変嬉しく思います。

「今は資産運用を必要としていない」と考えているお客様の言葉の先にどのような未来があるのかを想像し、お客様が一緒に想像できるように言葉を組み立ててお話をすることを常に心掛けています。時にはストレートに「このままでは将来的に大きなリスクがあります」とお伝えすることもあります。後々お客様が振り返った際に「あのとき、率直に意見を言ってもらえてよかった」と思っていただけたら、これほどうれしいと感じられることはありません。

ウェルス・マネジメントにおける対話の重要性

私は、AIやデジタルでは代替できないことは何か、についてよく考えています。お客様との対話やご提案では私という人間的な部分を大切にしています。単なる数字やデータの提供のみではなく、対話の中で楽しさを感じ、共感してもらえるように心掛けています。

私は子育てをするひとりの母親でもあり、家庭と仕事の両立に日々奮闘していますが、それがお客様との会話のなかで共感していただけることもよくあります。出産や子育てといったお客様の転機を想像し、資産の見直しをご提案する際は、例えば「お子様が新しいことに興味を持ったとき、どのように応援したいと思いますか? 私なら…」と自分の話をすることもあります。また、後輩にパートナーとしての仕事を教えるときも、すべて言語化して伝えるわけではありません。「あなたがお客様の立場だったらどう考えると思う?」と問いかけながら、私も一緒に考えていきます。

目指しているのは、お客様に「この人のおかげで、良い資産運用を行うことができ、人生がより豊かになった」、また、同僚に「この人と一緒に働けて良かった」と思ってもらえる存在になること。日々を大切に、お客様との関わりや人材の育成に力を尽くしていきます。

  • 記事の中で個別の商品やサービスに言及することがありますが、本稿はNOMURA WEALTH MANAGEMENTの目指す姿についてのご理解を深めていただくためのもので、個別の商品やサービスの勧誘を目的としたものではありません。
野村のソリューション・サービスのご紹介 自社株・出資持分ソリューション

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野村のソリューション・サービスのご紹介 事業資金ソリューション

企業が永続的に成長を続け、存続していくためには、既存事業の磨き上げだけでなく、新規事業への進出など、時代の変化に応じた新たな投資が非常に重要です。一方で、不測の事態が発生することを想定し、備えることも必要です。事業資金の把握・確保は法人の持続的な運営や成長において不可欠な要素です。
野村證券では、単にデータを分析するだけでなく、お客様との対話を通じてご本業や業界の状況を理解した上で、長年培った定量分析の知見をもとに財務コンサルティングサービスをご提供いたします。