投資情報部長直伝 資産運用力を上げたいと思っている方に知っておいていただきたいこと

2024月2月22日

2024年1月より、NISAの非課税投資枠が大幅に拡大され、投資への関心が非常に高まってきている。そうした環境の変化はあるものの、目に見えない、株式や投資信託への投資には、不安を感じてしまうという声も未だ多く聞かれる。ただ、昨今の物価上昇や、日本の少子高齢化の現状を踏まえると、何もしないでお金を置いておく、「投資しないリスク」も皆無ではなさそうだ。では、どうしたら多くの不安を感じることなく、前向きに投資について考えることができるようになるのだろうか?

野村證券には、投資をする上で有益な情報や経済を取り巻く環境について、よりわかりやすくお客様にお届けするための専門部署として投資情報部がある。どのような情報を、どのようなタイミングでお客様にお届けしたらよいのか、検討を続ける毎日だ。今回は、東投資情報部長に、どうしたら自信をもって資産運用に向き合うようになれるのかを聞いた。

20年後、1万円札で、現在と同じ量のモノが買えなくなるかもしれません

物価が上がるのに給料・年金は増えない…どうすれば良いのでしょうか?

コロナ禍が明け、日本でも本格的な物価高騰がはじまりました。少し落ち着いてきたとは言え、依然、前年同月比3%を挟んだ動きで上昇しており、長きにわたってデフレが続いてきた日本でも、他国同様インフレの波が本格的に押し寄せてきています。ただ、古く昭和の時代においては、預貯金金利が物価上昇ペースを上回り、貯金さえしていれば、老後も安泰という時代が続いてきたため、日本では、長らく、投資や資産運用をしなくてはいけないという教育や知識が根付くことがありませんでした。そうした中、時代は刻々と変化してきているのです。

図1:日本の消費者物価指数の推移

図1:日本の消費者物価指数の推移

グラフは消費者物価総合指数の前年同月比。直近値は2023年12月。

出所:総務省より、野村證券ファイナンシャル・ウェルビーイング室作成

図1は、野村證券投資情報部がお客様向けに発行しているレポートからの抜粋です。3%のインフレの状態が、今後20年間続いたら、現在の1,000万円は、一体いくらの価値になると思いますか? 残念ながら553万円の価値に目減りしてしまうのです。今使えば1,000万円分のものが買えるのに、20年後には今買えるものの約半分しか買えなくなってしまうということです。この結果が現実になったとしても、コツコツ貯金だけして20年後の未来に備えたい! と思えますか? この現実をしっかりと知った上で、お金の置き場を検討していくべき時代がきているのです。よくマーケティングの例えで、靴を履く文化のない人々の国に靴を売り込みにいった営業マンの話が使われることがありますが、現在の日本は靴なんか履かなくても幸せに生きていけるじゃないか! と、お思いの方が多い状態だと言えるかもしれません。ただ、その日ごろ歩いている道に、クギ等が落ちて危険になってきてしまう可能性があったり、一度、靴を履いた心地よさを体験したらどうなるでしょうか? その時、はじめて靴の必要性に気がつくのではないでしょうか? 私たち投資情報部では、今、時代が変わりつつあり、投資が必要な時代になってきているのだということや、投資を続けていくとこれだけ豊かになれる可能性があるんだ。という情報を、広くお客様に知っていただくために、しっかり動いていかなくてはいけないと考えています。

投資で損するぐらいなら、「お金を預貯金で保有し続けた方がいい」と考えてしまう方へ

投資は失敗するのではないかと、二の足を踏んでしまうのですが怖くないのですか?

日本では、未だ投資に対してアレルギーを持つ人が多いですが、世界の先進国の資産状況を見てみると(図2)、日本ほど現金・預金で置いてあるお金の割合が高いという国はありません。アメリカにおいて、現金・預金率は13%弱、欧州においても36%弱となっていて、日本のように資産の半分以上(54%)が現金・預金というのは先進国の中でも稀な状態であると言えます。世界に視野を広げると、多くの人々が現金・預金でないお金の置き場を確保している状況と言えます。そうした中で、投資なんて怖くてできない! と言い続けていていいのでしょうか? もちろん、全部の資産を投資してくださいといっているわけではありません。資産をしっかり分散させ、投資に回すべきお金は投資にまわして運用していくことこそが重要だと思っています。

図2:世界主要国・地域の「家計の金融資産構成」

図2:世界主要国・地域の「家計の金融資産構成」

2023年3月末現在

「その他計」は、金融資産合計から、「現金・預金」、「債務証券」、「投資信託」、「株式等」、「保険・年金・定型保証」を控除した残差。

出所:2023年8月25日 日本銀行調査統計局発表資料より、野村證券作成

日本に暮らしていれば、ほぼ大多数の方は外貨を持とうという気持ちにはならないとは思うのですが、これだけ自国の通貨しかもたない国民性というのも、実は、世界の先進国の中でみると、基軸通貨を利用するアメリカと、日本ぐらいと言われています。なんでみんな外貨を積極的に持っているのかというと、例えば英国では1992年にポンドの為替レートが急落するという「ポンド危機」を経験しているんですね。まだ今から30年ほど前の話です。日本でも2023年には大きく円安が進みました。コロナ前は1ドル110円を挟む動きだったものが、2023年は、150円台を当たり前につけていく状況になりました。色々なものを輸入に頼っている日本にとって、この円安は、海外に行く、行かないに限らず、すべての人に関係があることなんです。例えば、コロナ前に500万円で買えていたアメリカからの輸入車が、今や為替の影響だけを考えたとしても700万円近く払わないと買えない状況になってしまっています。ましてやアメリカでは日本以上にインフレが続いていますので、実際には、それ以上を出さないと買えない状況でしょう。大きな金額の例として車を出しましたが、スマホや、牛肉といった食品に至るまで、輸入品については、全てこのような計算になってくるわけです。こんな現状を体験しても、日本円だけもっていれば生涯安泰だ! と思えますか?

図3:米ドル/円 チャート(月足)

図3:米ドル/円 チャート(月足)

貿易収支の値は原値。

直近値は2024年1月29日。

出所:財務省発表資料等より野村證券ファイナンシャル・ウェルビーイング室作成

このような情報は普段何気なく暮らしていると、気がつくことなく過ごしてしまうものです。今、日本の置かれている現状をひとりでも多くの方に知っていただき、10年、20年後、あのとき資産運用をはじめてよかったと思っていただける日がくればと思い日々情報を発信しています。

お金の就職活動を行う気持ちで投資先を探そう

NISAの成長投資枠を使って、個別銘柄にも挑戦してみたいが、どうやって銘柄を選んだら良いのでしょうか?

この1月から、NISAは、非課税投資枠が拡大され、売却すると翌年以降に、その非課税投資枠が復活するなどの制度変更もあり、個別銘柄の売買にも利用しやすくなりました。これを機に個別銘柄への投資にも挑戦してみたいと思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。ただ、個別銘柄に興味はあるが、買いたい銘柄を選べないというお声も多く聞かれます。私は、銘柄選びは、「当たるも八卦、当たらぬも八卦ではなく」、「お金の就職先をしっかり探してあげること」だと思うんです。ご自身や、身内が会社に就職する際には、色々な角度からその会社について調べると思います。また、一般的に、一度就職すると、突然、コロナが起きて社会の機能が弱まったなどの理由や、〇〇で紛争が起きて株価が調整したなどの要因があったとしても、すぐに、じゃあ会社を辞める! とはならないと思います。ですから投資をする場合、株式を買う前に銘柄選定に必要な情報や、万が一、世界で危機が起こった際には、冷静な判断をしていただくための情報を仕入れていただくことがとても重要だと思っています。その、判断材料となる情報を提供するのが、野村證券、まさに私が所属する投資情報部の役割なのです。現在は、こうしたスピード感が重要な市況動向についても、オンラインサービスや、NOMURAアプリといった便利なツールをご利用いただき、野村證券のお客様であればタイムリーに情報を取っていただけるようになっています。長期的な視点で投資する銘柄を探す際にも、また、直近のニュースのマーケットに与える影響をしっかり把握したい際にも、是非オンラインサービスやアプリにログインしていただき、情報を取っていただけたらと思います。

ひと昔前は、こうした情報というのは、機関投資家といった運用を専門に行う人や、運用会社・証券会社でないと集めにくいという時代でしたが、今は個人投資家でも、いくらでも欲しい情報を入手できる環境が整いつつあります。是非便利なツールを利用して、野村證券がお届けしている厳選した情報を手に入れ、資産運用に自信をもって臨んでいただけたらと思っています。

NOMURAアプリで投資に有益な情報を手に入れませんか?

野村證券では、対面でお客様に向き合う中、今、どのような情報をお客様が欲しいのか、日々ニーズを伺いながら、その中でも、より多数のお客様から「知りたい」とのお声をいただいた情報を、スマートフォンアプリ『NOMURAアプリ』を通じて、お客様にタイムリーに発信しています。いわば厳選した情報が、NOMURAアプリを通じて、お客様の元に届くという仕組みです。わかりやすい動画での説明コンテンツなどもご用意しています。便利なアプリ等を活用して、最新の情報を入手していただき資産運用にお役立てください。


プロフィール
東 英憲(ひがし ひでのり)

野村證券 投資情報部長
1990年、野村證券入社。池袋支店配属から国内5支店でリテール営業に従事。その後4支店で支店長を務め、本社勤務を経て、2022年4月より現職。日本証券アナリスト協会認定アナリスト、CFP(日本FP協会認定)。