ご自宅から遠い不動産でもOK!
家族のためにも知りたい「不動産活用」のポイント

2021年04月14日

「子どもが独り立ちしたから、夫婦で憧れの田舎暮らしをしてみたい」「将来に備えて自宅をリフォームしたい」など、ライフスタイルの変化に合わせて、住環境を変えていきたいと考える人は決して少なくない。また「相続対策を考える上で、不動産をどうするか?」は、家族にも影響する要素でもある。

とはいえ、自宅のリフォームにしても、不動産の売買にしても、その決断は一生のうちで数少ない大きな選択だ。どこに相談したらよいのかわからず、一歩を踏み出せずにいる人もいるだろう。

そこで今回は、野村證券 不動産業務部の石川隆行(いしかわ たかゆき)に、「不動産活用」のメリットや注意点などについてたずねた。

多彩なご要望に応える野村の不動産活用

野村證券には不動産活用に関するさまざまなサービスがあるそうですが、なぜそういったサービスを提供しているのでしょうか?

日本人の相続財産の内訳を見ると、主に預貯金や株式、保険商品などの金融資産が4~5割、残りの半分近くは自宅を含めた不動産資産です。あまりそういったイメージはないかもしれませんが、不動産活用は野村證券のお客様からのご関心がとても高いテーマです。

そのため野村證券では、お客様のご資産状況や将来のビジョンに合わせて総合的なご提案ができるように、国内不動産の「売買仲介」や、「有効活用、リフォーム」に関するご相談をはじめ、「海外不動産」のご相談など、幅広いサービスを行っています。特に「不動産を含めた資産をいかに次世代にバトンタッチするか」は、多くのお客様にとって身近な問題だといえます。

野村不動産をはじめとして、数多くの不動産関連会社とも提携していますね。

ひと口に不動産活用といっても、「将来の介護に備えて自宅をリフォームしたい」「賃貸物件に建て替えたい」など、お客様のご要望はさまざまです。1社だけで、そのすべてのご要望に応えられればよいのですが、中には難しいケースもあります。

取材に応じた野村證券 不動産業務部の石川

また、複数社からの提案を比較した上で、いちばん条件のよいサービスを吟味することは、お客様の利益にもつながるはずです。だからこそ、野村不動産グループをはじめ、提携している大手不動産関連会社の話をワンストップで聞くことができ、もっともご要望に合致する会社に任せられる仕組みは、お客様の安心感や効率の面でとても有効だと考えています。

実際に不動産活用について相談にこられるお客様は、相続対策の一環として相談されるケースが多いのでしょうか?

平成27年より相続税の基礎控除額が引き下げられたことで、課税対象となる被相続人が大幅に増加しました。加えて、昨今は不動産価格も上昇傾向にありますので、実際にお客様からのご相談が増えてきております。

ただ、不動産に関する相談は、相続対策ばかりとは限りません。実際は、「自宅のリフォームはどのように検討すればよいか」や「所有する不動産をどう活用したらよいか」などの内容も、意外に多いです。

たとえば、ご両親が他界されて実家を相続したものの、ご自身もすでに持ち家があるというケース。こうした場合、ただ所有しているだけでは固定資産税がかかるばかりでもったいないので、「アパートや駐車場など、何か有効活用できる手立てはないだろうか」というご相談が寄せられることも多いです。

なるほど……。ご実家が遠方の場合などは、どこに相談したらよいか迷ってしまいそうです。

そうですね。「なかなか近くに相談できるところがない」とお悩みのお客様も少なくありません。野村證券は全国に店舗があり、全国展開している不動産関連会社と提携していますので、お近くの野村證券の店舗にご相談いただければ、ご実家の地域に精通した提携会社をご紹介することができます。

東京の支店で手続きをしていただき、ご実家の近くの不動産関連会社とオンラインでつないで提案を受けるといったことも可能なので、「何度も支店と地元を往復しなくてもよい」とご好評をいただいています。

不動産の相続は、「家族全員」の総意のもとに

不動産活用が「相続対策に有効である」と言われるのはなぜですか?

不動産は、実際に売買されるときの「時価」と、相続税を算出するときの「評価額」に差があります。一般的には、不動産評価額は自用の場合は時価の約7~8割ほど、賃貸にしている場合はさらに評価額が下がって、時価の約半分ほどになるケースもあります。

図1:不動産の相続税評価額のイメージ

図1:不動産の相続税評価額のイメージ

同じ土地や建物でも、用途によって評価額は異なる

現金や金融商品で持っているよりも、不動産として資産を持っていたほうが相続税評価額は下がるというわけですね。

そうですね。ただ、「相続税評価額が下がる」という理由だけで、資産の大半を不動産にするのはおすすめできません。金融資産がほとんどないのに、個人で何棟ものビルやマンションを所有していても実際に納税資金が不足するケースもありますし、すぐに現金化できないケースも考えられます。

ですから、資産はバランスよく分配するのがいちばん。預貯金、金融商品、不動産と、ご自身の資産を総合的に把握した上で、どのくらいの額を不動産として持つのがよいかを考えることが重要です。

相続・贈与対策として不動産を活用するときに、注意するべきポイントはなんでしょうか?

「実家を兄弟3人で相続する」といった共有名義による相続は、相続後にトラブルになる可能性があります。家を3つに割ることはできませんし、全員が賛同しなければ将来的に売却もできません。また、不動産は分割するほど、一般的に価値が下がる可能性があります。子どもが3人いるなら、長男には自宅を譲り、次男、三男にはマンションを購入するといったように、不動産ごとに名義を決めることもおすすめです。

たとえ相続税評価額が下がったとしても、将来、家族にわだかまりが残ってしまうとしたら……悲しいことです。

だからこそ、家族でしっかり相談することが大切です。不動産は、被相続人だけではなく、相続人も取引に関わる可能性が高い資産。親が「よかれ」と思って購入した不動産なのに、将来相続する予定の子どものほうは「不動産を所有するには抵抗がある」と考えるケースもあり得ます。

また、杓子定規に「実家は長男」と決めるより、「地元にUターンする予定のある長女や次男に遺したほうがよい」ということもあるでしょう。さらには、実家を取り壊して、賃貸マンションにしてから相続するという方法もあります。

家族ごとにベストな形は違うので、まずはお客様にとっていちばんよい形を一緒に探していきましょう。私たちも積極的にご家族のみなさんの声を聞きながら、しっかりとご要望に沿う提案ができるように心がけてまいります。

そうなると、ある程度時間をかけて、家族全員の意向をくんだプランを作っていく必要がありますね。

不動産の売買や有効活用、リフォームなどは、一生に何度もあることではありません。となれば、簡単には決断できません。これは目安でしかありませんが、あらかじめ税理士さんと相談した上で窓口にお越しになる方なら1~2カ月。「まずは話だけでも聞いてみたい」とおっしゃる方なら3カ月~半年程度、じっくり時間をかけてプランを練ってまいります。

大きな決断になるからこそ、信頼できるパートナーとともに

たとえば、不動産を活用して相続対策を検討する場合、どのようなやりとりで進んでいくのでしょうか?

まずは店頭かオンラインで、相続についてのご要望やお悩みをお伺いし、担当者がお客様のご資産内容を伺った上で、将来のライフプランの作成をお手伝いいたします。

そして、不動産だけではなく、保険や金融商品なども視野に入れながら、相続対策がどの程度必要なのか、お客様と考え方を共有しながらご提案をさせていただきます。

図2:ご相談の流れ

図2:ご相談の流れ

野村證券の担当者とライフプランについてじっくりお話をし、包括的に計画を立てていく

そして不動産を購入、もしくは有効活用をする必要があるとなれば、そこではじめて提携不動産会社を紹介。お客様は提携不動産会社を通じて、物件を探したり、プランを立てていくことになります。

野村證券で不動産活用について相談をするメリットは、どこにあるとお考えですか?

野村證券では、お客様のご要望やお悩みをしっかりとヒアリングしてから、提携不動産会社をご案内いたします。そのため、不動産会社に飛び込みで相談をするよりも効率よく、ご要望に沿った提案が受けられるのではないかと考えています。

また、野村證券と提携会社がこれまで築き上げてきた信頼関係も、お客様の満足度に繋がっていると自負しています。各社ともに「野村證券のお客様」を担当する専任を配しておりますので、ご家族にも関わる大切な決断だからこそ、安心して任せられるパートナーの存在は大きいのではないでしょうか。

大きな決断だからこそ、パートナーといえる存在は心強いですね。ご相談を受ける際、あるいはプランを作成する際に心がけていることを教えてください。

いちばん大切にしているのは、お客様のお考えやお悩みを深く掘り下げることです。なかには、お応えできないご要望もありますが、そんなときは現実的なプランの限界をきちんとお話しすることも大事であり、それもまた、お客様から信頼されるパートナーとして必要な姿勢だと思います。

私たちの使命は、お客様はもちろん、関係するご家族の意見を幅広く反映したプランを作成することだと思います。ご家族から「よい物件が見つかってよかった、ありがとう!」など、感謝の言葉をいただくと、本当にうれしく思います。

最後に、これから不動産活用を考えている読者の方へメッセージをお願いします。

野村證券は、相続対策、事業承継といった金融資産以外のご相談に関しても、最適なソリューションを提供できるようお客様と一緒に考えて参ります。ぜひお近くの野村證券へご相談ください。

私たちが目指すのは、お客様のベストパートナー。ご夫婦、お子様、お孫様、全ての皆様にご満足いただき、「また野村證券に頼みたい」と思っていただけるよう、これからも心掛けていきたいと考えています。


プロフィール

石川 隆行(いしかわ たかゆき)

野村證券 不動産業務部にて、不動産の売買仲介や紹介業務などに携わる。1992年に野村證券に入社。営業職として新宿支店、横須賀支店、宇都宮支店などに勤務ののち、営業企画部、商品企画部にて投資信託の商品開発に従事。2015年より現職。