円安・物価高騰・サーチャージ高 withコロナ時代のハワイ旅行はどう変わった?

2022年10月26日

新型コロナウイルス感染症拡大の影響で長らく途絶えていた海外旅行も、ようやく復活の兆しが見えてきた。そうなると、最初の旅先として真っ先にハワイを思い浮かべる人も多いのではないか。

透明度の高い海に囲まれたビーチリゾートでありながら、日本語が通じる店やホテルも多く、安心して観光や買い物が楽しめるため、日本人の渡航先として人気だ。しかし、円安やアメリカの物価高騰、エネルギー価格の上昇など、コロナ禍前とではかなり状況が変わってきている。

ハワイの今はどうなっているのか? withコロナ時代のハワイの新しい楽しみ方は何か? 直近では今年のゴールデンウィークと、7月にもハワイを訪れたという、航空・旅行アナリストの鳥海高太朗氏にうかがった。

規制緩和でハードルが低くなってきたハワイ旅行

やっぱり、ハワイ。その魅力は?

ここ数年、新型コロナウイルスの感染拡大による自粛生活が続いて、国内はどこもかしこも閉塞感に満ちていました。そして、ようやく海外旅行ができるようになりました。旅行先を決める際、真っ先に思い浮かぶのが開放感に満ちた場所でしょう。それも、見ず知らずの新しい場所ではなく、ある程度は環境がイメージでき、日本語も通じ、安心・安全なストレスのない旅ができる場所。そうなるとハワイなんですね。

私もハワイの入国制限が解除され早々にハワイに行きました。ハワイの風に吹かれると、これまでの閉塞感から一気に解き放たれ、肩の荷がふっと下りたというか、心底自由を感じることができました。

これから年末年始にかけ、日本人観光客もどんどん増えることでしょう。
ハワイは3世代でも楽しめ、シニア世代にも優しい場所。withコロナ時代のファーストトリップ先として、「閑中忙あり」の読者の皆さんにとっても最適の旅先ではないでしょうか。

現在のハワイの観光事情は?

今、ハワイのホテルの稼働率は、かつての8割ほどまでに回復してきています。ただ、その多くがアメリカ本土からの観光客です。日本からの観光客はというと、全体の1~2割程度といった感じでしょうか。その原因のひとつは、日本からハワイへの飛行機の輸送量が、全盛期の4分の1程度であることがあげられます。

そうした中で、今、ハワイを訪れている日本人は圧倒的に高額所得者が多いようです。取材したところ、各航空会社ともハワイ便はビジネス、ファーストクラスから予約が埋まっているという状態のようです。

コロナ禍で飲食店などが相次いで閉店したようだが、現在は?

今年の7月にハワイを訪れた際には、日本人観光客に人気の高かったワイキキ中心部にある大型免税店など、日本人になじみの深いショッピングモールや店舗が、いまだ閉鎖したままの状態でした。しかし、新規にできた店舗やレストランも多く、かつてのにぎわいをかなり取り戻してきています。

ただ、先にもお話しした通り、日本人観光客が全盛期ほど戻っていないことから、以前よりも日本語が使えるところが少なくなった印象は若干あります。しかし、それも今だけのこと。日本人観光客が本格的に戻ってくれば、また元通りになるはずです。

現在、「ハワイに入国」または「日本へ帰国」するためには、どのような規制があるのか。

一時は厳しい規制が敷かれていましたが、だいぶ状況も変わり、ハワイに出かけるハードルはどんどん低くなっています。

現在ハワイへ入国する際に必要なものは、2回以上ワクチン接種を受けたという公的機関発行の証明書と、アメリカ政府へ提出する宣誓書およびアメリカ疾病対策予防センター(CDC)への情報提供書類です。それがあれば、入国後の隔離もありません。そしてまた、こちらはコロナ禍前から必要でしたが「ESTA(電子渡航承認システム)」も取得しておきましょう。

今年の9月6日までは、日本への帰国の際、現地でPCR検査し、陰性証明書を取得する必要がありましたが、現在では3回以上のワクチン接種証明書があればこれも不要となり、ハワイへの旅行のハードルが格段に下がった印象です。

物価やエネルギー価格の高騰と円安はどう影響する?

ハワイでは、具体的にどの程度物価が上がっている?

全体的にコロナ禍前の1.5~2倍くらいまで価格が上昇しているイメージです。ホテルだと、1泊300~350ドルくらいだった部屋が、今年のゴールデンウィーク以降は550~600ドルくらいまでに跳ね上がりました。ワイキキビーチ沿いの大手高級ホテルチェーンの5つ星クラスでは800~1,000ドルほどになっています。ひと昔前のように観光客が1泊1万円程度で泊まれるような宿は皆無といっていいでしょう。

飲食店のメニューも、物価高で2~3割、円安の影響で2~3割、あわせて以前より5割くらい値段が上がった感じです。ドル円の為替レートは、コロナ禍前の2019年8月には、1ドル=106円前後でしたが、今年9月には140円超まで円安が進んだタイミングもあるなど、どうしても為替の影響を受けざるを得ないですね。

エネルギー価格も高騰しているようですが、島内の移動手段などへの影響は?

現地での交通に関して言うと、レンタカーが足りなくて、なかなか借りることができませんでした。レンタカー代も、3年前は1日あたり100ドルくらいだったものが、今年の7月には210~220ドルくらいになっていました。個人配車サービスも、以前は6~7ドルくらいで行けた距離が、20ドルくらいが相場になっていました。

日本人観光客がよく利用していたバスツアーもほとんどがお休みとなっているため、郊外まで足を延ばすのであればタクシーを利用する必要があり、こちらもある程度の出費は必要となるでしょう。

飛行機代については、燃油サーチャージの上昇が影響しています。日本からハワイ便の燃油サーチャージは、日系の大手航空会社A社の場合、2019年10月時点における片道発券分は1人6,000円でした。しかし、2022年8月時点では3万500円にまで急騰しています。

仮に、家族4人で4~5泊のハワイ旅行をしたとしましょう。
まず航空券が1人15~25万円程度。宿泊費が1泊8~10万円程度とすると、現地での食費や観光費用などを含め、おおよそ200万円くらいは覚悟しておくといったイメージでしょうか。

図:コロナ禍前と比較 ハワイにおける価格の変化

図:コロナ禍前と比較 ハワイにおける価格の変化

鳥海高太朗氏のお話をもとに「ハワイにおける価格の変化」を編集部が作成

withコロナ時代の新しいハワイの楽しみ方

物価高と円安のダブルパンチの中、賢いハワイの楽しみ方は?

まず航空機に、燃油サーチャージがいらないLCC(格安航空会社)を活用するという手もあるのではないでしょうか。その場合だと、基本運賃だけであれば1人片道4万円前後で済みます。また、比較的長期の滞在を考えている場合には、ホテルの代わりに、リゾート物件を1週間単位から所有できるタイムシェアを利用するという方法もあります。

移動の足では、タクシーの貸し切りチャータープランだと、運転手付きで1時間50~100ドルくらいで利用できるものもあります。飲食に関しては、レストランでは必ず飲食代とは別にチップとして代金の2割程度を支払わなければなりません。ですので、チップのいらないセルフサービスやテイクアウト、フードコートなどがおすすめです。

今のハワイはこのような状況ですので、旅行中の予定をめいっぱい詰め込むよりも、遠出をせず、ワイキキのビーチやメインストリートなどを中心に、ハワイの風を感じながらのんびり過ごすのも良いかもしれません。withコロナ時代のファーストトリップでは、開放感を満喫するだけでも充分に楽しめる旅行になると思います。

この時期、ハワイに行く際に準備すべきことは?

まず、万一旅先で新型コロナウイルスに感染した場合、ハワイでは最低でも丸5日間はホテルなどで自己隔離が必要となります。隔離解除後であっても、検査を受けて陰性になるまで原則待機が必要です。その間はホテルに延泊しなければならなくなるのですが、そうしたホテルの延泊代や帰りの航空便の変更費用などをカバーできる保険に入っておいたほうがいいですね。

なお、出国時の検査は必須ではありませんが、日本を出る前に念のためPCR検査を受けておいたほうが安心でしょう。仮に、渡航前に陽性が判明しキャンセルすれば、渡航後に現地のホテルに缶詰め状態で滞在費だけが発生するという事態は避けられます。

そして、もうひとつ。ハワイでは日本以上にキャッシュレスが進んでいます。そのためクレジットカードは数枚持っておいたほうが安心です。逆にキャッシュは最小限におさえます。私の場合は100ドルもあれば充分です。

また、飲食店のメニューも二次元コードで読み取る方式が増えてきました。そのため、カメラでコードを読み取れ、海外ローミングサービスにも対応しているスマホを持っていたほうが何かと便利でしょう。シニア向けのスマホなどは海外に対応していないものもあるので要注意です。

最後に、ハワイ旅行を検討されている皆さんにメッセージをお願いします。

ここまでお話しした通り、物価の高騰や円安など、現在ハワイに行くにはいくつかのハードルはあります。しかし、少しでも「行きたいな」と思い立ったのであれば、そこは悩まず旅に出て欲しいですね。

現役時代は家族中心に生きてきた皆さんも、セカンドライフでは主役です。少しくらい贅沢しても良いのではないでしょうか。旅の想い出はお金に代えられないものなのですから。

こんな時代だからこそ、世界経済成長をあなたの資産の成長に取り入れてみませんか?

日本の物価も上昇していますが、ハワイ(アメリカ)は、さらなる物価高騰の影響が表れているようですね。とはいえ、『ハワイでの豪遊』を、夢では終わらせたくはない…。
では、どうすればいいのか? そうです、お金に働いてもらって、自由な時間を手にいれれば良いのです。
みなさん、コロナ禍の2年超、資産運用はしてきましたか? 日本だけでなく、グローバルに視点を移して投資していた場合、国内への投資に比べて、大きな運用益を得ていたケースも出てきています。
海外では、日本以上に、経済が大きく動いています。グローバル化が進んだ昨今、世界経済の成長に目を向けて資産運用を始めてみませんか?

プロフィール

鳥海 高太朗(とりうみ こうたろう)

航空・旅行アナリスト 帝京大学非常勤講師

1978年、千葉県生まれ。成城大学経済学部経営学科卒。食品会社、コンサルタント、城西国際大学観光学部助手を経て現職。航空会社のマーケティング戦略を主に研究し、各航空会社への取材およびリサーチを精力的に行う。利用者・専門家の双方の視点から、各社メディアを通じて航空・旅行についての情報を発信している。