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#調査

定年後にやりたいこと1位は「社会貢献活動」。その魅力とやりがいは?

2022年06月22日

人生100年時代の今、平均寿命と健康寿命は年々伸びており、定年後は、自由に使える時間も多くなる。セカンドライフをより充実した毎日にするためには、“やりがい”や“生きがい”を見つけることが重要だ。

調査結果によると、定年後は趣味やスポーツ、旅行に加えて、ボランティアなどの社会貢献活動に取り組もうと考えている人が多かった。定年後にどのような社会貢献活動をしているのか、その様子や理由を見てみよう。

定年退職後に取り組みたい活動は「社会貢献活動」

定年退職後に取り組みたい活動として、50代以上の回答を見ると、「地域活動、社会貢献のための活動(ボランティア)」「趣味・スポーツ活動」「旅行や遊び」を挙げる人が多く、特に、70代以上では7割以上が「地域活動、社会貢献のための活動(ボランティア)」と回答。世代が上がるごとに回答比率もあがる傾向にあり、セカンドライフを通して長期的に取り組みたい活動と考えている人が多いようだ(図1)。

図1:定年退職後に取り組みたい活動(3つまで回答、50代以上の回答を各上位3位まで抜粋)

図1:定年退職後に取り組みたい活動(3つまで回答、50代以上の回答を各上位3位まで抜粋)

出典:東京都福祉保健局「高齢期における地域活動等の意向」をもとに編集部作成

18歳以上の都民のモニター500名(有効回答数は371名)を対象にしたインターネット調査。2020年11月20日~12月4日に実施。

また、実際に、50~74歳までの年代では、男女ともに3割前後の人がボランティア活動に取り組んでいるようだ(図2)。

図2:「ボランティア活動」の男女・年齢階級別行動者率

「ボランティア活動」の男女・年齢階級別行動者率

出典:総務省統計局「平成28年社会生活基本調査結果」(https://www.stat.go.jp/data/shakai/2016/kekka.html)をもとに編集部作成

全国の10歳以上の約20万人を対象に2016年10月20日に実施。

具体的に取り組んでいる内容としては、「まちづくりのための活動」(11.3%)が最も多く、次いで「子供を対象とした活動」(8.4%)となった(図3)。「まちづくりのための活動」は、道路や公園などの清掃、地域に花を植える活動、まちおこしなどが該当する。住んでいる地域をより良くするための活動は、身近ではじめやすいのかもしれない。

図3:「ボランティア活動」の種類

「ボランティア活動」の種類

出典:総務省統計局「平成28年社会生活基本調査結果」(https://www.stat.go.jp/data/shakai/2016/kekka.html)をもとに編集部作成

全国の10歳以上の約20万人を対象に2016年10月20日に実施。

また、これまで培ってきた経験や専門知識を活かして社会貢献活動を行う「プロボノ活動」もある。プロボノとは「公共善のために」を意味するラテン語「Pro Bono Publico」を語源とした言葉で、仕事で得たスキルや知識を活かして社会貢献することだ。

活動内容はさまざまで、企業との協業を目指すNPO法人のための資料作成や、行政とともに町内会・自治会などの魅力を発信するPR活動などがある。定年後も自身のスキルを活かして積極的に活動したいと考えている人は、プロボノ活動に参加してみるのもいいだろう。

社会貢献活動が、自分のためにもなる!?

社会貢献活動は“世の中のためになりたい”と活動するものではあるが、参加することで充実感が得られるなど、自分自身のためにもなるようだ。

社会的活動(貢献活動)をしている人を対象にした調査では、活動をしていてよかったことについて「新しい友人を得ることができた」(56.8%)、「地域に安心して生活するためのつながりができた」(50.6%)、「社会に貢献していることで充実感が得られている」(38.2%)、「健康維持や身だしなみにより留意するようになった」(32.8%)などの回答が多かった(図4)。

図4:社会的活動(貢献活動)をしていてよかったこと(複数回答)

図4:社会的活動(貢献活動)をしていてよかったこと(複数回答)

出典:内閣府「平成28年 高齢者の経済・生活環境に関する調査」(https://www8.cao.go.jp/kourei/ishiki/h28/sougou/zentai/index.html)をもとに編集部作成

全国の60歳以上の男女3,000名を対象にした調査。2016年6月4日~6月26日に実施。

n=595は、社会的活動をしていると回答した人。

合わせて注目したいのが、社会貢献活動を通して、健康維持に留意するようになったと感じている人が多い点だ。ボランティア活動に向けて、自身の健康にも目を向けるようになったということだろう。こうした社会とのつながりは介護や認知症予防にもなるといわれている。活動に参加することで、外出する機会が増えたり、多くの人と会話をする機会を作ることができるからだ。健康面でもメリットを期待できそうだ。

社会貢献活動には“寄付”や“投資”という選択肢も

社会貢献をしたい思いはあっても、そのための時間を作れない人や、体力面に自信がない人もいるだろう。そのような場合には、寄付や募金、投資といった活動を通じて、社会に貢献するという手段もある。

「市民の社会貢献に関する実態調査」によると、50代以上では約半数が2018年の1年間に寄付の経験があり、寄付をした相手は「共同募金会(赤い羽根)」「日本赤十字社」「町内会・自治会」「公益社団法人、公益財団法人」などが多かった(図5)。また、1年間の寄付金額は5,000円未満が約6割となったものの、5万円を超える寄付も1割程度を占めている。

図5:寄付経験者が寄付をした相手(複数回答)

図5:寄付経験者が寄付をした相手(複数回答)

出典:内閣府「令和元年度 市民の社会貢献に関する実態調査」(https://www.npo-homepage.go.jp/toukei/shiminkouken-chousa/2019shiminkouken-chousa)をもとに編集部作成

全国の20歳以上の男女8,000名を対象にした郵送調査とオンライン調査の併用。2019年11月28日~12月31日に実施。

2018年の1年間で「寄付をしたことがある」と回答した人を対象とした設問で、n数=回答者数。

寄付の方法はさまざまで、お金の他にも、使わなくなったアクセサリーやブランド品、読み終わった書籍などを寄付することで、買い取り額を子供たちの教育や自然保護の支援にあてる活動などもある。終活を通して、自分には不要となったものを活用する方法を探るのも、立派な社会貢献活動につながるようだ。

寄付や募金以外にも「投資」を通じて社会貢献することもできる。近年注目されているのがESG投資だ。ESG投資は、環境・社会・ガバナンスを考慮した投資先に資金を提供するための投資だ。たとえば脱炭素の実現に向けて貢献する企業や、革新的な医療を提供する先進医療分野で活躍する企業などを投資対象としている。さまざまな環境問題、社会課題に取り組む企業を応援することが、地球環境の保護につながり、次世代への一助となるため、投資を通じての社会貢献ができる。同時に投資としてのリターンも追求する点が、寄付や募金との違いだ。

社会貢献活動は、これまで培った経験や知識を活かすこともでき、定年退職後の暮らしに生きがいを与えてくれる。長く続けるためにも、自分自身が無理なく、興味を持って参加できる活動を探してみてはいかがだろうか。時間を作れない場合や、体力に自信がない場合でも、寄付や投資といった形で社会貢献をし、世の中のために生かすことも、生活を充実させる上で十分な選択肢となる。まずは、自分のできることは何か、探してみるところからはじめよう。

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