NEW

#調査

好きなことを「学び」で極める贅沢時間――没頭できるライフワークで充実した人生に

2022年07月27日

人生100年時代、より多くの自由な時間を手に入れることができるようになった。セカンドライフを有意義に過ごすために、自分の興味のあった分野を「学び」で極めるという贅沢はいかがだろうか。

「学び」の選択肢は多い。たとえば、現役時代に業務を通して培ってきた知識やスキルを体系立てて整理してみるのもいいだろうし、旅行や史跡巡りをより楽しむために、歴史や自然を学んでみるなど、興味があった分野について掘り下げて、じっくりと勉強や研究をする時間に費やすこともできるだろう。

そこで今回は「学び」をテーマに、50代以上の人が何をどのように学んでいるのか、その様子を見てみよう。

学びは人生を豊かにしてくれる

内閣府の世論調査の結果によると、「この1年間(2018年の調査時を起点にした1年間)に学習したことがある」と回答した人の割合は、50代で60.5%、60代で55%、70代以上で42.5%を占めた。学習をした理由で最も多かったのは、50代が「現在の、または当時就いていた仕事において必要性を感じたため」(45.9%)だったのに対して、60代は「人生を豊かにするため」(51.4%)、70代以上は「健康の維持・増進のため」(53.1%)となり、年代による違いも見られた(図1)。

図1:この1年間(2018年の調査時を起点にした1年間)に学習をした理由(複数回答・50代以上の回答を一部抜粋)

図1:この1年間(2018年の調査時を起点にした1年間)に学習をした理由(複数回答・50代以上の回答を一部抜粋)

出典:内閣府「生涯学習に関する世論調査」(https://survey.gov-online.go.jp/h30/h30-gakushu/index.html)をもとに編集部作成

全国の18歳以上の日本国籍を有する3,000名を対象とした調査(有効回答数1,710名)。2018年6月28日~7月8日に実施。

n数=この1年間くらい(2018年の調査時を起点にした1年間)の間に「学習したことがある」と回答した人。

さらに、学習したことがある人の9割が学んだことを「生かしている(生かせる)」(50代95.3%・60代89.8%・70代以上95.4%)と回答。その内容として5割以上が「自分の人生を豊かにしている」(50代51.2%・60代59.9%・70代以上60.3%)と感じていた。

具体的な活用方法では、60代以上になると「健康の維持・増進に役立っている」(60代42.4%・70代以上55.7%)が多くなり、「学ぶこと」が生活を豊かにするだけでなく、健康的に暮らす上でも有益だと感じている人が多いことが分かる(図2)。

図2:学習成果の活用状況(複数回答・50代以上の回答を一部抜粋)

図2:学習成果の活用状況(複数回答・50代以上の回答を一部抜粋)

出典:内閣府「生涯学習に関する世論調査」(https://survey.gov-online.go.jp/h30/h30-gakushu/index.html)をもとに編集部作成

全国の18歳以上の日本国籍を有する3,000名を対象とした調査(有効回答数1,710名)。2018年6月28日~7月8日に実施。

n数=この1年間くらい(2018年の調査時を起点にした1年間)の間に「学習したことがある」と回答した人。

また、今後学習したい内容については、どの年代においても「趣味的なもの」や「健康・スポーツ」などが多いが、「教養的なもの」といった、趣味よりもう一歩踏み込んだものへの意欲もうかがえる(図3)。

図3:今後学習したい内容(複数回答・50代以上の回答を一部抜粋)

図3:今後学習したい内容(複数回答・50代以上の回答を一部抜粋)

出典:内閣府「生涯学習に関する世論調査」(https://survey.gov-online.go.jp/h30/h30-gakushu/index.html)をもとに編集部作成

全国の18歳以上の日本国籍を有する3,000名を対象とした調査(有効回答数1,710名)。2018年6月28日~7月8日に実施。

n数=回答者数。

趣味や教養など、自分の興味のあることに取り組むことが生きがいにつながり、さらに、その生きがいが健康の保持・増進や介護予防になると期待されている。つまり、生涯を通して学ぶことの意義は大きいと言えるだろう。

シニアの半数が「若者に負けない知識がある」と回答。スキルの活用法はさまざま

学んだ知識やスキルはどのように活用できるのだろうか。65歳以上を対象にした、「スキルの活用」に関するアンケート調査では、49.3%が仕事や趣味で培った技術や経験・知識で「これは若者にも負けない」というものがあると回答した。具体的なスキルは、「プログラミング」(60代後半・男性)や「健康・美容に関する経験と知識」(60代後半・女性)、「グラフィックデザイン」(60代後半・男性)、「英語、ドイツ語」(60代後半・女性)など多岐にわたる。

また、スキルを活用できている人にその方法を聞くと、「会社・組織に所属して収入を得ている」(45%)や、「個人で収入を得ている」(20%)のほか、「ボランティアとして活動している」(15%)という人もいた(図4)。

図4:技術や経験・知識をどのように活用していますか?

図4:技術や経験・知識をどのように活用していますか?

出典:みんなのマーケット株式会社「『スキルの活用』に関するアンケート調査」をもとに編集部作成

「くらしのマーケット」の会員883名を対象にしたインターネット調査。2021年1月8日~1月15日に実施。

n数=20は、「スキルを活用できている」と回答した65歳以上の人。

身につけたスキルが活用できると、さらにその先の学びに対する意欲や生きがいにつながり、好循環が生まれてくるのではないだろうか。

学びの内容はさまざま。どこで学べばいい?

では、学びの場にはどのようなものがあるのだろうか。先の内閣府の世論調査では、50代は「職場の教育、研修」(29.2%)、60代は「インターネット」(16.5%)、70代以上は「公民館や生涯学習センターなど公的な機関における講座や教室」(16.2%)が最も多かった(図5)。

図5:この1年間(2018年の調査時を起点にした1年間)の学習の形式(複数回答・50代以上の回答を一部抜粋)

図5:この1年間(2018年の調査時を起点にした1年間)の学習の形式(複数回答・50代以上の回答を一部抜粋)

出典:内閣府「生涯学習に関する世論調査」(https://survey.gov-online.go.jp/h30/h30-gakushu/index.html)をもとに編集部作成

全国の18歳以上の日本国籍を有する3,000名を対象とした調査(有効回答数1,710名)。2018年6月28日~7月8日に実施。

n数=回答者数。

学びの場についても幅広い選択肢が用意されており、内容だけでなく、年齢や、自分の体力とも相談し、通学型なのか、在宅型なのか、自分に合った学びの場を選ぶことができそうだ。

ここからは、実際の講座内容について、いくつか見ていきたい。

専門的な知識やスキルを身につけることができる、大学のオープンカレッジ
オープンカレッジは大学や研究機関が一般向けに公開している講座のことで、年齢・学歴を問わず、誰でも受講できる。語学や民俗学、各種認定資格取得に向けた講座や、税金・家計管理の基本的知識など、多岐にわたる。

50歳以上を対象に創設された私立大学
1年間在学して、用意された必修科目と選択科目の中から単位を修得することができる。科目の中には、心理学や食、健康など、セカンドライフを見据えた人生設計のヒントになるものや、SDGsや環境保全など社会貢献を意識したものもある。さらに、現役の大学生とともに受講したり、大学生の授業にコメンテーターとして参加したりと、世代を超えてともに学ぶ機会もあるようだ。

自宅で学ぶなら通信制大学やオンライン講座
近くに希望する大学がない場合や、大学に通う時間がないという人は、インターネットなどで学べる通信制大学や、オンライン講座などがいいだろう。通信制大学で学べる分野は、教育や福祉、心理学、建築、金融などさまざまで、卒業と同時に資格や受験資格を取得できるものもある。学生の約5割が50代以上という通信制大学もあり、始めやすいのではないだろうか。

また、オンライン講座には一般教養を学べるものから、投資や法律のように知っていれば実生活で役立つ専門的な内容まで、さまざまな講座が用意されている。

ハードルが高いと感じる人は生涯学習センターやカルチャースクールから始めてみるのも
「まずは、何か始めてみたい!」と考えている場合には、生涯学習センターやカルチャースクールから始めてみるのもいいだろう。内容はさまざまだが、パソコン教室やおもてなしのための英会話、歴史や古典の講座など学びの初心者にも取り組みやすいテーマが多く用意されている。受講回数は1回のものから数回の参加で修了する講座もあるので、気軽に参加できそうだ。試しに、カルチャースクールなどに参加してみて、興味の広がるテーマを見つけたら、よりステップアップをしてオンライン講座やオープンカレッジに進むきっかけとしてもいいかもしれない。

学びは知識やスキルの習得にとどまらない。若い世代と共に学んだり、知識やスキルを活かして社会貢献したりする機会に恵まれれば、人生がさらに豊かなものになるのではないか。まずは興味がある分野から、「学ぶ」きっかけを探してみるといいだろう。