NEW

#調査

80代で2割以上が発症する「認知症」。見逃してはならない“兆候”は?

2022年08月10日

年齢を重ねるごとに気になるのが自身の健康だろう。ある調査結果によると、最もなりたくない病気は、がんを抑え、「認知症」がトップとなった。認知症は加齢とともに発症割合が高くなる病気のため、懸念している人が多いようだ。

また、認知症は発症したからといって、日常生活すべてに支障が出ることはないものの、症状はゆっくり進行することもあれば、急速に進むこともあり、症状が出始めてから気づくケースも多い。そのため、早期発見・早期治療によって症状の進行を遅らせることが大切で、時には認知症と向き合いながら暮らすことも考えておかなければならない。

そこで今回は、認知症にはどんな兆候があるのか、どのようなことを意識して暮らしていけばいいのかなど、調査結果などを踏まえながら見てみよう。

なりたくない病気のトップは「認知症」

以下のアンケート調査によると、すでにかかっている病気を含め、最もなりたくない病気は「認知症」が42.6%とトップで、2位の「がん」(28.7%)を大きく上回った。認知症と答えた人の割合は年齢が上がるにつれて高くなり、70代男性、50代・60代女性では、およそ半数を占めた(図1)。

図1:自身が最もなりたくない病気は?(単一回答、年代・性別は50代以上のデータを抜粋)

図1:自身が最もなりたくない病気は?(単一回答、年代・性別は50代以上のデータを抜粋)

出典:太陽生命保険株式会社「認知症の予防に関する意識調査」をもとに編集部作成

全国の20代~70代の2,472名を対象にしたインターネット調査。2021年7月9日~7月10日に実施。

日本における65歳以上の認知症の人数は約600万人(注1)と推計され、2025年には約700万人、つまり、高齢者の約5人に1人が認知症になると予測されている。
年齢別では、80歳を超えると認知症有病率が2割を超え、90歳以上の男性では42.4%、女性では71.8%に達する(図2)。認知症は誰でもなりうる病気だけに、気になる人が多いのだろう。

(注1)出典:厚生労働省「みんなのメンタルヘルス総合サイト」※600万人は2020年の数値

図2:年齢階級別の認知症有病率

図2:年齢階級別の認知症有病率

出典:厚生労働省「認知症施策の総合的な推進について(参考資料)令和元年6月20日」をもとに編集部作成

また、認知症について関心があることについては、「予防に効果的な方法」(61.6%)や「兆候を早期に発見する方法」(47.2%)など、予防や発見に関する項目を挙げる人が多く、さらに、認知症を予防するための取り組みが重要だと考えている人は95.8%(とても重要60.6%・やや重要35.2%)に達した。
しかし、実際に予防に向けた取り組みを始めている人は少なく、70代女性では41.7%に達したものの、早期予防対策といえる年齢層である50代では、男性は12.1%、女性は15.0%にとどまった(図3)。

先述のように、認知症は80歳代では2割以上が発症するため、いまから自分にできる認知症対策に取り組んでおくといいだろう。

図3:認知症を予防するために対策をしていますか(単一回答、年代・性別は50代以上のデータを抜粋)

図3:認知症を予防するために対策をしていますか(単一回答、年代・性別は50代以上のデータを抜粋)

出典:太陽生命保険株式会社「認知症の予防に関する意識調査」をもとに編集部作成

全国の20代~70代の2,472名を対象にしたインターネット調査。2021年7月9日~7月10日に実施。

まずは認知症を正しく理解することから

まずは認知症の症状について確認しておこう。
認知症とは、老いに伴う病気のひとつで、さまざまな要因で脳細胞の働きが悪くなり、記憶や判断力の障害で生活に支障をきたしてしまう状態のことだ。症状が軽い段階で適切な治療を受ければ、薬で症状の進行を遅らせることができる。まずは、認知症の兆候を見逃さないようにすることが重要だ。

認知症の症状は、脳の神経細胞が死んでいくことによって発生する「中核症状」と、本人がもともと持っている性格や環境、人間関係などの要因による「行動・心理症状」に分類される。意識障害はないものの、社会生活や対人関係に支障が出ている状態がおよそ6カ月以上続いたり、次のような症状やサインが見られたりしたら、認知症を疑う必要があるだろう(図4)。

図4:認知症の症状・サイン

図4:認知症の症状・サイン

出典:厚生労働省「みんなのメンタルヘルス総合サイト」
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_recog.html)をもとに編集部作成

ただ、人は加齢により、新しくものを覚えることが苦手になったり、もの忘れが多くなったりする傾向もあるので、認知症を正しく理解するためには、「加齢によるもの忘れ」と「認知症によるもの忘れ」の違いも理解しておこう。

図5:「加齢によるもの忘れ」と「認知症によるもの忘れ」の違い

図5:「加齢によるもの忘れ」と「認知症によるもの忘れ」の違い

出典:政府広報オンライン「もし、家族や自分が認知症になったら知っておきたい認知症のキホン」をもとに編集部作成

認知症対策に向けて、みんなは何をしている?

認知症にはその原因などにより、いくつか種類があるが、最も発症数の多いアルツハイマー型認知症は、高血圧や糖尿病、高脂血症などの「生活習慣病」と関連があるといわれている。つまり、生活習慣病の予防を心がけていれば、認知症の予防にもつながる可能性がありそうだ。
「かたよった食生活を避け、野菜・果物・魚介類の豊富な食事を心がける」「運動習慣を身につける」「過度の飲酒は避ける」「喫煙習慣を見直す」といったことを、普段から心がけるといいだろう。

最後に、認知症対策のため、周りの人がどのようなことを心がけているか見てみよう。先述の調査で、認知症の対策に取り組んでいる人に心がけていることを聞くと、「読み書きや計算など頭を使うようにしている」「バランスの良い食事をとっている」「適度な運動(有酸素運動)を行っている」といった回答が多かった(図6)。

認知症対策を考えている人は、これらの意見を参考に、取り組みやすくて楽しめるものから始めてみるといいのではないか。家族や友人と楽しみながら取り組めば、コミュニケーションを通して有意義な時間を過ごすことができるだろう。

図6:認知症予防のために心がけていること(複数回答・50代以上の回答を抜粋)

図6:認知症予防のために心がけていること(複数回答・50代以上の回答を抜粋)

出典:太陽生命保険株式会社「認知症の予防に関する意識調査」をもとに編集部作成

全国の20代~70代の2,472名を対象にしたインターネット調査。2021年7月9日~7月10日に実施。

認知症は早期発見・早期治療が大切だ。先述の症状におけるサインを参考に、自分自身だけでなく、家族など周りの人に認知症が疑われる様子が見られたら、早めに病院に相談しよう。また、認知症が進むとさまざまな問題が懸念される。特に、お金や資産をどう管理したらいいのか、気にかけている人は多いのではないだろうか。次回は、大切な資産を守るためのポイントを紹介するので、ぜひ参考にしてほしい。

大事なご資産を大切なご家族に引き継ぐために 

まだ先のことだから…そう思っていても、いつ起こるかわからないのが相続です。
みんなが満足できる相続を実現するためには、少し、時間や手間がかかることもあります。
野村證券では、お客様の大事なご資産だけでなく、ご家族への想いも一緒につなげていくことが大切だと考えています。まずは、ご自身の理想のイメージについて、お話をしてみませんか?