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体脂肪低減、生活習慣病予防、脳活性化。お茶の成分に秘められた力とは?

2023年04月19日

朝飲む一杯のお茶は意識を目覚めさせ、休憩時には気持ちをリフレッシュさせてくれる。実は、この効果、気分的なものだけではない。お茶に含まれる成分には、心身にさまざまな良い作用があると長年にわたる研究報告からも分かってきている。

具体的には、肥満の防止や予防、生活習慣病にかかわる動脈硬化への対策、脳機能の活性化といった、ミドルエイジ以降の人が気になる健康維持への効果が期待されているのだ。その他にもアレルギー症状の軽減など、お茶に見込まれる力は幅広い。

今回は、お茶の成分による効果や、お茶をおいしく健康的に飲むコツを紹介しよう。春から初夏にかけては、おいしい新茶の季節。飲めば一年間、無病息災で過ごせるといわれてきた八十八夜の一番茶を楽しんではいかがだろうか。

中高年にうれしいお茶の主な成分

近年、お茶に含まれる成分の分析と、日常的にお茶を飲んでいる人の健康状態を統計的に調査することで、心身の健康をサポートするさまざまな効果があることが見えてきた。

まずは、お茶の味のもとにもなっているカテキンやテアニン、カフェインの3つの効果について見ていこう(図1)。

図1:お茶の主な成分

図1:お茶の主な成分

出典:日本カテキン学会HP「カテキンのいろは」、日本茶業体制強化推進協議会「茶の健康効果20選」、農林水産省「緑茶の美味しさと機能性を両立する『水出し緑茶』」をもとに編集部作成

カテキンは植物の色素であるポリフェノールの一種で、お茶特有の渋味のもととなる成分だ。お茶にはカテキンが多く含まれるため、お茶の作用の主役ともいえる。

カテキンが渋味をもたらすのに対し、テアニンはうま味をもたらす。テアニンが特に多く含まれているのは、新芽を遮光して作るてん茶や玉露で、新茶にも多いといわれている。他のお茶と比べ、うま味が強いのが特徴だ。

眠気覚ましとして有名なカフェインは、玉露や抹茶に多く含まれている。お茶が古くから世界中で飲まれてきたのは、このカフェインの効果ゆえという面も強い。(注1)

(注1)出典:日本カテキン学会HP「カテキンのいろは」、農林水産省「緑茶の美味しさと機能性を両立する『水出し緑茶』」および「カフェインの過剰摂取について」、日本茶業体制強化推進協議会「茶の健康効果20選」

体脂肪の減少や認知症予防。期待されるお茶の力

より詳しい研究や調査が進められている段階ではあるが、ダイエット、生活習慣病、認知症予防という気になる3つのポイントについて、どんな研究結果が得られているかを見ていこう。

(1)体脂肪低減への期待
ヒトと動物を対象とした試験において、緑茶に含まれるカテキンを継続摂取することで、体脂肪(内臓脂肪)を低減させる効果があることが示されている。血圧や悪玉コレステロールが高めの人に対する有効性も示唆されており、メタボリックシンドロームなどの対策として、さらなる研究が待たれる。

(2)生活習慣病予防への期待
緑茶に含まれるカテキンには、抗酸化作用などさまざまなメカニズムで血管を保護する効果があるという報告もある。生活習慣病の呼び水である動脈硬化による疾患を予防する効果が多数報告されている。
ほかにも、人間ドックを受けた2,318人を対象とした研究で、緑茶を飲む回数が多い人ほど、高血圧者が少ないことが報告されている。

(3)脳のアンチエイジングへの期待
これまでの研究で、毎日緑茶を飲んでいた人は、飲まなかった人に比べ、認知症や軽度認知症の人が少なかったことが報告されている。どのような成分がどう脳に作用しているのかは十分に明らかになっていないが、カテキンの一つ「エピガロカテキンガレート(EGCG)」が、脳の神経細胞の活性化を促すのではないかと考えられている。(注2)

(注2)出典:日本茶業体制強化推進協議会「茶の健康効果20選」

まだある! お茶の成分の意外な効果

このようにお茶を飲む習慣で、ミドルエイジには嬉しい効果を期待できる研究成果が出ているようだが、さらに、日々の体調管理に役立つ研究報告も発表されている。代表的なものを見ていこう。

●アレルギー症状の緩和
緑茶には「メチル化カテキン」など抗アレルギー物質が含まれている。なかでも「べにふうき」という品種には「メチル化カテキン」が多く含まれ、アレルギー性鼻炎の症状を和らげることが判明。さらに、ショウガエキスを添加することで、その効果が増強されるとの報告もある。また、「べにふうき」はスギ花粉による鼻や目の症状を和らげることも分かってきている。

●肝疾患の予防
肝疾患の原因の一つに、肝臓の炎症(肝炎)がある。緑茶に含まれるカテキンは肝炎ウイルスの感染を予防し、ウイルスの複製を抑えることが報告されている。また、カテキンには脂肪肝の原因である糖質・脂質代謝異常を改善する効果も見込まれる。

●ストレスを和らげる
緑茶の摂取がストレスによる弊害を軽減できることが判明しており、カテキンやテアニン、カフェインが複合的に関係していると考えられている。テアニンにはストレス軽減、リラックス作用、睡眠改善作用、カフェインによる興奮作用を抑える働きがあるといった報告があり、うつ病などこころの病気への対策も期待されている。

●インフルエンザ予防
緑茶の主要成分であるカテキンには、インフルエンザの感染を阻害する効果があることが分かっているが、お茶を飲むことで直接インフルエンザの予防効果になるという研究成果は少ないため、今後の研究が期待されるところ。

なお、緑茶の成分には抗がん作用や抗糖尿病作用があるのではないかといわれ、研究が進められているが、緑茶とがん・糖尿病に関する研究は十分でなく、結果にもバラつきがあり、まだ評価できる段階にはない。(注3)

(注3)出典:日本茶業体制強化推進協議会「茶の健康効果20選」

飲み方を工夫、カフェインの摂り過ぎに注意

健康作用が広く期待できるお茶だが、だからといってたくさん飲めば良いというわけではない。気を付けたいのがカフェインの過剰摂取だ。カフェインは摂取し過ぎると、心拍数の増加、興奮、めまい、震え、不眠、下痢、吐き気などが引き起こされることがあるので注意が必要だ。ただ、お茶は比較的カフェインが少ないため、極端にたくさん飲まない限り問題はない。とはいえ、コーヒーなど、お茶以外のものでカフェインを摂取している場合もありえる。飲み物の種類によってカフェインの含有量は異なるため、その他の飲料と合わせて調整することが必要だ(図2)。

図2:飲み物に含まれるカフェインの量

図2:飲み物に含まれるカフェインの量

出典:農林水産省「カフェインの過剰摂取について」をもとに編集部作成

日本はカフェインの摂取量に関する明確な基準を設けていないが、例えばカナダでは健康な大人で1日400mg(コーヒーをマグカップで約3杯)という指標が2010年に発表されている(注4)
他の飲み物とのバランスを考え、例えば、コーヒーを2杯以上飲んだ後であれば、カフェインの多い玉露や抹茶ではなく、カフェインが少ないせん茶にするなど、飲み方を工夫するといいだろう。

また、カフェインの眠気覚ましの作用を考えると、夜に良質な睡眠をとるための飲み方も意識しておきたい。夕方以降にお茶を飲む場合にはカフェインが少なめの玄米茶や、カフェインの量を減らすことのできる水出し緑茶を飲むのがおすすめだ。

(注4)出典:農林水産省「カフェインの過剰摂取について」、厚生労働省「食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A」

初夏に最適! “水出し緑茶”で健康作用とうま味がアップ

これからの季節におすすめしたいのが、カフェインの低減効果が見込める「水出し緑茶」だ。飲めるまでに時間はかかるものの、お湯でいれたお茶と比べ、うま味が強くなるという魅力もある(図3)。

図3:お湯でいれたお茶と比較した水出し緑茶の成分・特徴

図3:お湯でいれたお茶と比較した水出し緑茶の成分・特徴

出典:農林水産省「緑茶の美味しさと機能性を両立する『水出し緑茶』」をもとに編集部作成。80度の湯に2分間でいれたお茶の成分が溶け出す量と、10度の冷蔵庫温度で1時間かけて作った水出し緑茶との比較

うま味をもたらす「テアニン」の量は、冷水でお茶を出した場合も、お湯でいれた場合もほぼ変わらない。また、お茶に含まれる「カテキン」のうち、渋味が少なく免疫力を高めるといわれている「エピガロカテキン(EGC)」も、お湯でいれたお茶と比べ多少は減るがある程度残る。

一方で、苦味のある「カフェイン」の量は約半分に、渋味のある「エピガロカテキンガレート(EGCG)」の量は5分の1程度に減る。つまり、緑茶を水出しにすることで苦味や渋味が抑えられ、うま味を感じやすいお茶になるということだ。水出し緑茶であれば、就寝時間が近いときや、リラックスしたいとき、夏場にたくさん飲みたいときなど、カフェインの摂取量を抑えながら健康作用を得ることが期待できる。

冷茶は、熱いお湯でいれたお茶に氷を入れてもできるが、じっくりと時間をかけて、冷たい水でいれる「水出し緑茶」もぜひ試してみたい。

今回、お茶の存在を見直したという人もいるのではないだろうか? 水出し緑茶をはじめ、楽しみ方もいろいろ。自分の好みに合った味や飲み方を見つけ、お茶でほっとひと息、リラックスするも良し、おいしいお茶をいれ、大切な人との語らいの時間をとってみるのも良いかもしれない。

資産計画のご相談は野村證券へ

毎日何気なく飲んでいる緑茶ですが、改めて見てみると、生活のいろいろな部分で潤滑油の役割を果たしてくれているのかもしれませんね。人生100年時代、いつもの習慣をちょっと見直して、より豊かな時間を楽しみたいものです。
野村證券では、皆様の大切な資産の見直しをお手伝いさせていただいています。ふと、立ち止まって見てみると、新たな気づきがあるかもしれません。