天候デリバティブ|証券用語解説集
冷夏、暖冬などの気候変動による企業の減収を補償する金融派生商品。一般的には、事前に、一定のオプション料を支払うことにより、異常気象が発生した場合に、補償金を受け取ることができる仕組みのもの。
損害保険では、風水害など、実際に損害額が確定しないと保険金が支払われないが、天候デリバティブでは、設定された異常気象が発生すれば、補償金が支払われる。
食品・飲料メーカーや電気・ガス会社は暖冬・冷夏、穀物メジャーは冷夏、百貨店・小売りは長雨、レジャーは長雨・強風といった具合に、日本企業の約7~8割がこうした異常気象によって、減収や損害などの天候リスクを抱えているといわれている。これまでは、天候リスクを回避する手段は、ほとんどなかったといえるが、天候デリバティブは、指標に基づいた契約によって、気温や降水量等が予め決められた条件になった場合に、設定された補償金を受け取ることができるものである。複雑で時間のかかる損害額の査定や手続きは不要で、比較的簡便に、所定の補償金を受け取ることができる。気候変動に左右されずに収益の安定化が図れるという点で、導入する企業側には、大きなメリットがあると考えられる。
地球温暖化やエルニーニョ現象などに起因して異常気象が多発する今日、欧米では、既に天候リスクは、天候デリバティブを使って回避するという考えが浸透しつつある。天候デリバティブは、1997年に米国のエンロン社が開発、その後、店頭取引を中心に市場規模が拡大し、1999年9月には、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)で先物が上場、2001年にはロンドン金融先物取引所(LIFFE)で欧州初の天候指数の試験表示が始まった。日本でも、欧米のこうした動向や、潜在的なニーズの高まりに対応して、金融機関を中心に天候デリバティブを提供する会社が増加してきた。商品としては、保険型の機能のものが好まれる傾向にあり、多くの会社は、個別企業にあわせてオーダーメイド的な設計・提供を行っている。
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