野村ウェルス・マネジメントのチーム
日本経済をリードする方々の「社外」秘書になる
上場企業の役員ならではの課題を解決するソリューションを開発
神谷 尋峰
プライベート・バンキング部
プライベート・バンキング課 課長
- 2009年入社。複数の支店にてパートナー経験を経て、コーポレート・ファイナンス部へ。2018年よりプライベート・バンキング部にてオーナー対応バンカーとして勤務。2020年から上場企業役員向けサービスに専念し、現在はチームリーダーとしてメンバーを率いる。
近年、大きく資産構成が変化している日本の上場企業役員。実は日本においては上場企業役員に特化したウェルス・マネジメントは、発展途上ともいえる。株式報酬制度の普及と株価の上昇によって資産額が数億円規模に達する方が増える一方で、仕事が最も忙しい時期に適切な資産管理を考えるのは難しく、それを支える仕組みも十分に整っていない。
こうした未開拓の領域に着目し、野村は上場企業役員向けの専門チームを本格的に立ち上げ、上場企業役員が大きな資産を得る機会が拡大する時代の変化を読み、役員特有の課題に応えるソリューションを開発してきた。
上場企業役員に特化し、金融の枠を超えたソリューションを提供している神谷尋峰。野村グループの総合力を活かし、日本の経済をリードする役員たちの人生に寄り添う神谷に、具体的なエピソードや仕事への思いを聞いた。
- 野村では、「お客様から最も信頼される相手として選ばれたい」という思いから、営業担当者を「パートナー」と呼んでいます。
新たな領域との出会いが、天職に
私がプライベート・バンキング部で上場企業役員向けのサービスを担当するようになったきっかけは、入社10年目の2019年に遡ります。野村が事務を受託する株式報酬制度の拡がりに合わせて、上場企業役員の方を中心に対応するチームが発足しました。その際、「新たなソリューションを提供するため、役員の方を中心に対応するバンカーを担当してほしい」という話がありました。正直なところ戸惑いもありました。当時、どの金融機関も上場企業役員の資産管理への本格的な取り組みは少なく、前例のない領域を担当できるのだろうか、これまでの経験を活かせるのだろうか、という思いがあったからです。
しかし、実際に始めてみるとすぐにやりがいを感じました。日本経済をリードするような企業の意思決定を担う方々と直接会話ができて、人生の様々な選択をサポートできる。多忙を極める方々だからこそアクセスが難しく、ソリューションが行き届いていない。我々のバリューを示すことができれば、そのような方々に頼りにしていただけるのではないか。この仕事の本質的な面白さが見えてきて、この領域を極めていきたいという思いに変わっていきました。
役員特有の課題を集約し、ソリューションを開発する
私たちの仕事の特徴は、お客様一人ひとりに対して丁寧に向き合うだけではなく、より多くのお客様の課題を解決するためのソリューションを開発する企画機能も持つことです。
上場企業の役員の方々については、有価証券報告書など、外部に公表されている情報が豊富にあります。これらをもとに、お客様がどのような課題を抱えているかを整理・分析します。
一人の役員の方が抱えている課題は、同じ会社の近い立場の方や、他社の同じ立場の方にも共通していることが多く、その解決方法や生じる障壁、手続きなどについても応用できることが多々あります。そのため、先行して手掛けた個別事例から得たナレッジを整理し、より多くのお客様に最短ルートで役員特有の課題を解決していただけるようなソリューションを開発しています。こうした機能を持つことで、より効果的にお客様の課題解決ができるようになりました。ナレッジの集約やソリューション開発といった機能は、野村のプライベート・バンキング部ならではの特徴だと思います。
バランスシートで可視化し、数字で課題を伝える
野村は上場企業の主幹事シェアが約40%(※1)、持株会の事務受託シェアが会員数ベースで55%(※2)であり、多くの企業との繋がりがあります。
ある企業では、野村が従業員持株会の事務を受託していましたが、役員持株会については受託していませんでした。そのような状況の中、役員の皆様から「役員持株会での保有株式を含む資産管理について相談したい」というお話があり、野村で役員持株会も受託させていただくことになりました。当時の役員持株会の受託企業からは投資信託などの商品提案が行われているものの、ご自身の金融資産全体を考えた場合に、その商品が最適なのか、また、資産のバランスに問題がないかなどが判断できず、お困りの役員の方が多いようでした。
事務サービスや商品情報を提供するだけでは、結局同じ悩みが生まれてしまいます。そこで私たちは「バランスシート・アプローチ」という手法をご提案しました。役員一人ひとりの保有株式を中心とした資産状況を、公開情報などから推測して、バランスシート形式で可視化した資料を作成したのです。役員の皆様は、商品ありきの提案とは全く違う、一人ひとりに特化したアプローチに、新鮮さを感じてくださいました。
個人資産を可視化すると課題が浮かび上がります。例えば役員の方は役員持株会や株式報酬といった保有を実感しづらい形で数億円単位の資産をお持ちの方が多く、将来多額の相続税が発生する可能性があることを認識できていないといったケースがあります。
加えて役員の方々には共通の制約があります。在任中は基本的に保有する自社株式を売却することが難しいという点です。将来的に相続税の問題が発生する可能性があるとわかっていても、今は自社株式を売却して備えることができないのです。その状況で、さらなる金融商品の購入を勧められても、適切かどうか判断しづらかったのだと思います。
役員の方々は、自社株式を保有することで株主の目線に立ち、自社株式の価値を向上させるために日々会社経営と向き合われています。結果的にご自身の資産規模は拡大する一方で、個人資産における課題も生まれてしまう。そのような状況において、私は応援団となり、役員の方々が自社株式の価値向上や継続保有を図りながらも、並行して課題解決ができるようなサポートが重要だと考えました。その観点で、今あるリスクと、何をしたらリスクを下げられるのかを数字で明快に示しました。役員の方々は、会社経営において日々、様々な判断を迫られ、リスクを見比べながら意思決定をされる立場です。個人資産についてもリスク要因や課題をしっかり数字で示すことで、合理的かつ迅速に決断される傾向にあるように感じています。本事例でも、具体的に数字を可視化したことで、多くの役員の皆様に高い評価をいただけたと実感しています。
お客様のためなら、あえて自社で取り扱う商品を勧めないことも
ある企業の当時専務の方との出来事が、今でも印象に残っています。その方とは、将来を見据えて贈与を活用し、野村で取り扱う生命保険に加入しようという話になったのですが、審査の途中で、想定よりメリットが薄いことが判明しました。お客様の貴重な時間を割いて審査まで進んでくださったのに、良い条件で加入できない状態になってしまったことに、私は非常に悩みました。
私たちは、一時的に野村の利益になる商品を販売することよりも、お客様のお役に立ちたいという思いが一番にあります。提案したスキーム自体はお客様のためになると自信を持っていたため、そこから幅広く調べました。その結果、お客様の会社の関連会社に保険商品の取り扱いがあり、そちらで加入されたほうが有利であることがわかりました。そこで、お客様にはその関連会社で取り扱う保険の加入をご検討いただくことにしました。
お客様は関連会社での保険加入をされたのですが、ありがたいことに「コンサルティングフィーはどう払ったらいいの?」とおっしゃってくださいました。私は「もし今後、私たちの提案で良いと思われることがあれば、そのときにお取引をしていただければ」とお伝えしました。そのようなお言葉をいただけたことがとてもうれしく、その後に続く信頼関係を築くことができたと考えております。
その後、お客様は社長に昇格されてさらにお忙しくなられましたが、今でも定期的に会ってくださいます。役員報酬も増加し、それに伴い課題や悩みが増え、現在も状況に応じて幅広くサポートさせていただいております。
弊社の役員と表敬訪問すると、社長は「野村さんに資産はすべて任せてますから」とおっしゃってくださいます。実際に、弊社経由でご紹介した税理士の先生と協業しながら、全資産の管理をさせていただいております。お客様が実現したいことがあったら、まず野村にご相談いただくという関係性ができたことをうれしく思っています。社長のためにこれからもお役に立てることをやっていこうと、改めて身が引き締まる思いです。
泥臭く、お客様の人生に寄り添い、信頼いただく
ある社長との出来事も印象的です。
法人としては、野村のインベストメント・バンキングと非常に良好な関係を築いていましたが、社長個人とは接点がない状態からのスタートでした。株式報酬の事務受託を他社が行っていたためです。
そこでインベストメント・バンキングを通じて、何度か面談の依頼をした結果、半年ほど先の予定をいただくことができました。
社長は世界中を飛び回り、各国の要人にもお会いになる、非常にお忙しい方です。初めてのアポイントをいただくだけでも一苦労ですから、その面談のお時間を無駄にはできません。面談に向けて、潜在的な課題と解決策を徹底的に考えて資料を用意しました。
初めての面談は、役員帯同の表敬として和やかに始まりました。そして、準備した資料をご覧いただくうちに、社長の表情が真剣になっていったことを覚えています。
「課題があることはわかってはいたけれど、ここまでだとは。時間もなくて資産についてなかなか考えてこれなかった」。
しっかりと課題の共有ができたことで、次回の面談のアポイントもいただくことができ、その後も継続的にお時間をいただけることになりました。
定期的にお時間をいただく中で、まずはご自宅の住み替えが検討事項として浮かび上がりました。野村には不動産業務部を介して、野村グループのみならずお客様に適した不動産会社と連携できるネットワークがあります。諸条件をお伺いして、物件を探しました。
しばらくすると社長のご希望に合った物件が見つかりましたが、当時からすると非常に高額な物件でした。ご家族を含め社長のご意向にはマッチするものの、価格がネックでした。そのため私たちはこの物件をこの価格でも買うべきなのかを徹底的に検討しました。商業施設との位置関係、周辺地域の眺望、当該不動産周辺の登記情報から将来の開発可能性などを調査し、ご家族のご意向に加え経済的にも希少性や将来的な価値を考えて今買うのが得策であるという分析結果をお伝えしました。それらにご納得いただき、購入を決断されました。
ところが、実は同日にその物件に別の方も買付意向を示されていたことがわかりました。このままではせっかくご決断いただいたのに買えないかもしれない。正直に社長にご一報を入れました。すると社長は少しの間を置いて、当初の満額を上回る金額での購入を決断され、無事成約となりました。様々な情報を踏まえてすぐに判断された社長の決断力には、これが経営者の胆力かと、本当に感銘を受けました。
旧宅の売却もお手伝いすることになり、奥様も交えてご相談しながら、部屋の清掃や駐車場の検討なども対応しました。これらは通常の証券会社の業務ではないかもしれませんが、そうしたお付き合いを経て社長やご家族との関係を深めることができたと感じております。先日、「何かあれば野村さんに相談しなさいと妻が言ってました」と、社長からお聞きしました。そのようなお言葉は何よりの励みとなっています。
社長は他の役員の方々にも私たち野村のことを紹介してくださり、接点のなかった方々とご面談の機会をいただけるようになりました。さらに野村に報酬として受け取った株式を移管される役員の方々が増えた結果、会社の株式報酬の事務受託自体も野村に移管していただくことができたのです。お客様と野村の関係が深まる貴重な機会となりました。
日本経済をリードする方々の、人生の選択に関わる喜び
私は入社時、地方の支店に配属となりました。毎朝地方紙を読み、お客様の名前や会社名が出てくるとうれしくなり、会話に役立てていました。
現在もその感覚で、全国紙である日本経済新聞を読んでいます。日経新聞に毎日のようにお客様の会社名や名前が載っており、そのたびに日本経済をリードする方と接しているんだなあと実感します。そういう方々から「ありがとう」と言っていただけることは、本当に貴重なことだと思います。
私たちは日本経済をリードするような方に、判断される立場だと思っています。お忙しい中、貴重な時間を割いてくださるわけですから、お客様も何かを期待をしていらっしゃいます。お客様との面談は、30分程度が中心ですが、30分では説明しきれないほどの量の資料を用意することもあります。網羅的に作成して、話の流れに合わせて必要な箇所を見てもらえるようにしたり、あるいはお客様が「ここだけ見たい」という部分を重点的にご説明したり。用意した資料を一切使わないこともよくあります。それでも限られた面談時間を有効に使っていただくために、時間をかけて準備をしています。
「お客様がご要望された情報をお持ちしました」では十分ではありません。発言の背景や真意を読む、あるいは何もおっしゃらなくても、お考えを察し、潜在的な課題の発見とその解決方法をつぶさに提案することが非常に大事だと思います。会社経営を担う立場の方々ですから、多忙であり、今さら聞けないこともおありだと思います。そんな方々にとって、こっそりとなんでも相談できる、お客様自身の「社外」にいる秘書のような存在になることを目指しています。
上場企業役員に対する包括的なサポートは、グローバルで見ても、まだまだ発展途上だと感じています。私たちは、株式報酬制度の拡がりと、株価の上昇、それに伴うお客様のご資産規模の拡大という変化を先読みし、対応してきました。そしてこの流れは今後も加速し、役員のみならず従業員にも広く派生していくと思います。この点においても、私たちがこの領域を開拓し、お客様にとって本当に価値のあるサービスを開発・提供していくことが、日本経済にとっても意義のあることだと信じています。
- 記事の中で個別の商品やサービスに言及することがありますが、本稿はNOMURA WEALTH MANAGEMENTの目指す姿についてのご理解を深めていただくためのもので、個別の商品やサービスの勧誘を目的としたものではありません。
- 出所:東洋経済 会社四季報(2023年3集 夏)より、当社集計
- 2023年3月末時点/出所:東京証券取引所『2022年度従業員持株会状況調査結果の概要について』より、当社作成
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野村のソリューション・サービスのご紹介 金融資産ソリューション
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ポートフォリオ運用とは、機関投資家等が採用している運用手法で、投資資金を複数の資産クラスや市場に分散させることでリスクを低減し、安定した収益を目指す投資戦略のことです。野村證券では「世界経済の成長」をご自身の「資産の成長」とするための「長期視点でのポートフォリオ運用」をご提案します。ご提案は、「CIO(Chief Investment Office)」による資産配分やファンド選定に基づき行います。
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野村のソリューション・サービスのご紹介 資産承継ソリューション
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専門知識が求められる不動産の承継も含めて、資産承継に対して伴走します。
遺言信託、生命保険、ラップ信託等、多くのソリューション活用を含め、税負担の軽減や納税資金の効率的な準備をサポートいたします。
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野村のソリューション・サービスのご紹介 不動産ソリューション
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不動産は、生活や家族の未来に大きな影響を与える重要な資産です。野村證券では、専門の部署を設け、幅広い不動産ニーズにお応えしています。私たちは、自宅の購入やリフォーム、さまざまな不動産の売買、土地活用など、多岐にわたるサービスを提供しています。また、多くの実績を持つ提携不動産会社やハウスメーカーと連携し、より高品質なサービスの提供に努めています。
野村證券が長年培ってきた資産運用の知識と、提携各社の専門性を組み合わせることで、あなたの大切な資産を共に守ります。