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セカンドライフの理想を、夫婦で共有していますか?――50代~70代夫婦の相談事情

2020年10月14日

定年を迎えて自宅で過ごす時間が増えると、おのずと夫婦で過ごす時間も増えることになる。これまで仕事や家事で時間を取られてきた50代~70代だからこそ、定年後くらいは有意義に夫婦の時間を過ごしたいもの。

「年に一度は二人で旅行に行きたい」「週末は美味しいものを食べに行きたい」など、夫や妻とどんなことをして過ごしたいかという計画を立てたり、お互いの仕事について考えたり。仕事をするのであればどのような生活を理想とし、どれくらいの収入を目指すのかなど、これからのセカンドライフに向けて夫婦で相談しておくべきことはたくさんある。

とはいえ、そうした理想像を2人で明確に共有できている夫婦は、意外と多くのないのかもしれない。

半数以上の夫婦が、セカンドライフの希望を共有していない?

株式会社マイスター60が50代の男女を対象に実施した調査によると、「定年退職後や老後の生活や仕事について、配偶者の方とあなたの希望に相違はないか?」という質問に対し、「相違は全くないと思う」「ほとんど相違はないと思う」と回答している人は合計で43%。

一方、「少し相違があると思う」「大いに相違があると思う」と回答している人は合計で31.8%。さらには「分からない(配偶者の希望を把握していない)」と回答した人が25.2%と、半数以上の夫婦がセカンドライフの希望を共有できていないことがわかった(図1)。

図1:あなたもしくは配偶者の定年退職後や老後の生活や仕事について、配偶者の方とあなたの希望に相違はありませんか?(単一回答)

図1:あなたもしくは配偶者の定年退職後や老後の生活や仕事について、配偶者の方とあなたの希望に相違はありませんか?(単一回答)

出典:株式会社マイスター60「50代夫婦1,000名に聞いた定年対策 実態調査」

妻と同居している全国の50代男性会社員、50代男性会社員を夫に持ち現在同居している全国の50代女性それぞれ500名を対象にしたインターネット調査。2019年3月22日~3月27日に実施。

ではなぜ、多くの夫婦が理想像を共有できていないのだろうか? 同じ調査では「定年退職後や老後の生活や仕事について、配偶者の方としっかり話し合っているか」という質問もあるが、「話し合ったことはない」「あまり話し合っていない」という回答の合計が58.1%にもなっている。対して、「しっかりと話し合っている」と回答した人はたったの5%(図2)。

長く一緒にいる夫婦だからこその結果なのかもしれないが、半数以上の人はパートナーと話し合う機会を設けていない。多くの夫婦が希望を共有できていない理由は単純に、そもそもお互いの希望を聞いたり、伝えたりしていないからだと言えそうだ。

図2:あなたもしくは配偶者の定年退職後や老後の生活や仕事について、配偶者の方としっかりと話し合われていますか?(単一回答)

図2:あなたもしくは配偶者の定年退職後や老後の生活や仕事について、配偶者の方としっかりと話し合われていますか?(単一回答)

出典:株式会社マイスター60「50代夫婦1,000名に聞いた定年対策 実態調査」

妻と同居している全国の50代男性会社員、50代男性会社員を夫に持ち現在同居している全国の50代女性それぞれ500名を対象にしたインターネット調査。2019年3月22日~3月27日に実施。

セカンドライフにどんな夢を見る?

セカンドライフについて、夫や妻に自分の希望を伝えていないという人のなかには、もしかすると「そもそも、やりたいことが特にない」という人もいるかもしれない。

同世代の人たちは、定年後の人生でどのような夢を持ち、どのようなことに挑戦したいと考えているのだろうか?

朝日新聞デジタルが運営する「Reライフ,net」で実施されている、「第2の人生」や「新たな仕事への挑戦」をテーマにした読者アンケートを見ると、

子どもたちへの本の読み聞かせをするような私設図書館を作りたい。準備としては、本オタクの自分ゆえ本を色々と集めてきており、毎日、お風呂にはいりながら早口言葉などの発声練習を欠かしません。(女性 60~64歳 神奈川県)

会社員を退職後、農業をやりたい。来年から農業系の学校に通うつもり。また農業技術検定試験に向け勉強中。(男性 60~64歳 東京都)

老人や身体障害者が使う電動カートを開発したい。新幹線や電車、バスで運べるか、全国でレンタル可能なカートだ。自分自身に身体障害があり、日常移動の自由を獲得したいから。(男性 80歳以上 神奈川県)

など、店舗の開業や農家への転身、社会への貢献まで、さまざまな声が寄せられている。

夫婦で将来のことを話し合っている人が少ない割には、具体的でお金が必要な夢や希望をお持ちの人が多いように見受けられる。これから多くの時間を共有する上で、じっくりと夫婦で話し合い、お互いが思い描くこれからの青写真を共有する時間は、ますます重要となるはずだ。

夫婦で充実したセカンドライフを送るために

セカンドライフに希望や夢を持てるのも、身心の健康に加えてそれなりの資金の余裕があってこそだろう。

株式会社マイスター60が、「再雇用制度」を使って働いている60~65歳男性を対象に実施した調査を見てみると、「定年前にもっとしておけば良かったと思うこと」という質問も回答で1位が「資産運用」で38.4%、次いで「健康・体力維持改善」が31.0%、「趣味づくり」が23.6%という結果となった(図3)。

図3:あなたは定年退職前に、もっとしておけば良かったと思うことはありますか?(複数回答可)

図3:あなたは定年退職前に、もっとしておけば良かったと思うことはありますか?(複数回答可)

出典:株式会社マイスター60「再雇用制度で働く会社員の意識調査」

勤めている会社で定年を迎え、現在会社の「再雇用制度」を使って働いている全国の60~65歳の男性500名を対象としたインターネット調査。2019年11月7日~11月11日に実施。

一方で、50代男女を対象にした調査を見ても、定年退職後の老後の暮らしに、8割以上の人が金銭面での不安を感じていることがわかる(図4)。

図4:あなたや配偶者が今の会社を退職した後の老後の暮らしにおいて、金銭面での不安はありますか?(単一回答)

図4:あなたや配偶者が今の会社を退職した後の老後の暮らしにおいて、金銭面での不安はありますか?(単一回答)

出典:株式会社マイスター60「50代夫婦1,000名に聞いた定年対策 実態調査」

妻と同居している全国の50代男性会社員、50代男性会社員を夫に持ち現在同居している全国の50代女性それぞれ500名を対象にしたインターネット調査。2019年3月22日~3月27日に実施。

50代でも60代でも、そして70代でも人生はまだまだこれから。「人生100年」といわれる時代だからこそ、せっかくなら自分の夢はもちろん夫婦で共有できるような夢も持ち、それらを叶えられるだけ叶えたい。

そんな充実したセカンドライフを過ごすためには、まずは夫婦でしっかりと叶えたい夢について話し合っておくことが大切。そしてある程度の計画が見えてきたら、それを実現するための具体的な資産形成プランを専門家に相談してみよう。

もし、まだ定年後の計画をしていなかったり、資産が少ないからといって「いまはまだ難しそうだ」と諦める必要はない。充実したセカンドライフを実現するために、目標から逆算して計画を立ててみるのはいかがだろうか。

その際に欠かせないキーワードが「資産寿命」。

定年後のライフプランを考える上で、あらかじめ「資産寿命」を延ばすことを念頭に置いておいて、なるべく早いうちから計画することが大切だ。