為替相場の企業業績への影響|証券用語解説集
企業活動の国際化が盛んになっている現在、為替相場の動向は、企業業績に大きな影響を与えている。
経済全般に対する為替相場の影響が、プラスに作用するのか、マイナスに作用するのかは、一概にはいえない。しかし個別の企業にとっては、その企業が輸出型企業なのか、輸入型企業なのかにより、直接、業績に影響を及ぼす。
たとえば、ある自動車メーカーが、ある車を、米国に1台1万ドルで輸出していたとする。1ドル=100円の時にこの車が売れると100万円の売上になる。ところが、円高が進み、1ドル=90円になると、この車の売上は90万円になってしまう。自動車メーカーは何もしていないのに、売上が約10%も落ち込んだことになる。売上が落ち込むので、当然、利益も減少する。ドル建て(=ドルで取引すること)で輸出をしている輸出企業にとって円高は、直接、収益に影響する。
また、円高を享受するということで、海外旅行を考えてみる。空港で1万円をドルに交換する際、1ドル=100円なら100ドルであったものが、1ドル=90円なら110ドル以上となる。海外で使えるお金が1割以上増えるわけである。このことは、海外旅行に行く人が増加することにつながり、旅行会社や航空会社の業績が上向く方向に作用する。また、海外から原料を輸入している企業や、海外の製品を買い付けている商社なども、それまでより安く買うことができるので、コストを抑えたり、もっと他のものを買って、売上を伸ばすことができるので、業績は上向くと考えられている。
このように、円高ドル安は、輸入型企業の業績を向上させ、輸出型企業の業績を悪化させると考えられ、反対に、円安ドル高は、輸出型企業の業績を向上させ、輸入型企業の業績を悪化させると考えられる。
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