効率的市場仮説|証券用語解説集
Efficient-market hypothesis の訳語であり、現時点での株式市場には利用可能なすべての新たな情報が直ちに織り込まれており、超過リターン(投資家が取るリスクに見合うリターンを超すリターン)を得ることはできず、株価の予測は不可能であるという学説である。将来の株価の値動きは過去の株価の値動きとは関係なくランダム(不規則)に変動するという、ランダム・ウォークを説明する考え方になるが、科学的に証明はされてはおらず、確からしいという仮説の域を出ていない。
効率的市場仮説によると、特定の手法によって儲かるような機会が放置されることはなく、価格変動の予測が困難である以上、たとえ専門的な知識や技術をもつファンドマネージャーが銘柄を独自選別するアクティブ運用型のファンドであっても、市場平均に勝つのは難しいということになる。効率的市場仮説の下、株価指数連動型インデックスファンドとETF(上場投資信託)が誕生し、目覚ましく普及してきた。
これに対し、効率的市場仮説では実体経済からみて株価が割高になるバブルの発生やその崩壊が説明できないとする批判が、特に行動ファイナンスの観点から根強くある。行動ファイナンス理論では、投資家は必ずしも合理的ではなく感情や心理状況に左右されるため、バブルの発生のように誤ったコンセンサスの均衡状態が続くことで企業業績などファンダメンタルズからの大幅乖離(かいり)も一定期間続く可能性があるとする。効率的市場仮説に反する事象をアノマリーと呼び、
低ボラティリティ運用の中長期のリターンがより価格変動リスクの高い市場平均を上回ったとする実証研究結果もある。
2013年のノーベル経済学賞は「株式や債券市場の短期的な動きを予測するのは無理だが、中長期的には予測可能性の余地がある」という見方のもと、効率的市場仮説を1960年代から中心的に提唱してきたユージン・ファーマ(Eugene Fama)氏と、効率的市場仮説に批判的立場の行動ファイナンス派ロバート・シラー(Robert Shiller)氏の米学者双方に与えられ、反響を呼んだ。
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