外国為替取引に関する基本方針

2022年5月23日

野村證券株式会社(以下、「当社」といいます)は、外国為替市場におけるディーラーおよび市場価格を形成するマーケットメーカーとして、外国為替取引に係る金融サービスを総合的に提供しております。本方針は、外貨建有価証券取引等に係る付随業務としての為替取引を除く、外国為替ホールセール市場において、お客様との外国為替取引に関し、当社の役割と標準的な取り扱い方法等についてご説明するものです。当社は、お客様への外国為替取引のご提供にあたっては、国内外で適用される法令、グローバル外為行動規範に則した適切な取引慣行を遵守します。

1.当社の役割

当社は、お客様との外国為替取引において、原則、取引の当事者(以下、「プリンシパル」といいます)として自己勘定で取引いたします。そのため、プリンシパルとして、取引に伴うマーケットリスクや信用リスク等のリスクを引き受けて行動し、価格提示、オーダー受諾、執行、その他の関連するサービスを提供します。一方、お客様の代理人、受託者、フィナンシャルアドバイザー、その他取引の当事者以外の役割を担うものではありません。

2.当社からの情報提供

当社が提供する相場状況や見通しに関する情報、レポート等は、お客様自身のための情報であり、投資勧誘を目的としたものではなく、信頼できると判断されるものの独自の確認は行っていない情報源に基づいております。これらは、お客様にとって投資判断を下す際の諸要素のうちの一つにすぎず、直接・間接を問わず、投資判断に伴う全てのリスクについて検証あるいは提示しているのではありません。
自己勘定での取引では、これらの相場の見通しとは異なる相場観に基づいて取引を行う場合があります。

3.取引依頼

お客様との取引は、価格提示の依頼を受け、当社がそれに応じる価格を提示し、お客様の合意により成立する方法とオーダーとして当社の裁量で取引の執行を依頼する方法があります。オーダーにおいては、お客様は、「指値」、「ストップロス」等の一定の条件を付けることができます。
当社は取引について、オーダーを受諾した時点、或いは、成立した時点で、時刻等を含め速やかに記録するように努めます。
当社のリスク許容度を超える取引依頼やマーケット形成を歪める可能性等がある取引依頼はお断りすることがあります。

4.オーダーの取り扱い

当社がお客様からお預かりしたオーダーについては、その一部または全部を執行することをお約束するものではありません。当社はお客様よりお預かりしたオーダーを合理的判断に基づき成立させない場合があります。オーダーの一部または全部を執行できなかった場合は、可能な限り速やかにお客様にお伝えします。
合理的な事由がない限り、当社の裁量で、オーダーの執行の優先度、執行時点、価格、全額執行または一部執行等を決定いたします。その際、当社は、その時点における流動性や市場の状況、当社のリスク許容度等の様々な要因を考慮し複合的に判断いたします。その判断の理由について、当社は開示する義務を負いません。

当社はお客様のオーダーに基づき、第三者が算出する参照価格(WMR、BFIX等)で取引を締結することがあります。参照価格の利用にあたっては、その定義等、適切なコミュニケーションをとるように努めます。

5.オールインプライス

別段の合意がない限り、当社が提示する価格や約定する最終価格は、市場価格を基準にビッド・オファー・スプレッドを含む価格に「マークアップ」を加えた価格(以下、「オールインプライス」といいます)です。
マークアップは、マーケットリスク、流動性リスク、信用リスク、取引執行コスト、決済手数料、お客様の取引状況、当社が頂くサービスへの対価等を要素として、お客様毎、取引依頼毎に当社の総合的な判断に基づいて決定しています。同じまたは類似した取引に対しても異なる価格を当社の裁量で提示することがあります。当社は取引から得る当社の収益額や、オールインプライスの内訳を開示する義務を負いません。

6.マーケットメイク

当社はマーケットメーカーとして、市場価格を形成するために売値、買値の双方を提示する役割を担っております。そのため、お客様の取引依頼に応じると同時に、他のお客様からの取引依頼に応じることや、当社のリスク管理等を目的に同一取引または関連商品等で競合する取引をすることがあります。当社は、お客様の取引依頼に対して、それを成立するための裁量を有しており、執行時点における他の取引に関する情報を開示する義務を負いません。

当社はプリンシパルとして、取引毎ではなく多角的な視点から統合的にリスク管理しております。単一、または複数のお客様から見込まれる取引依頼に対してリスク管理を目的としたヘッジ取引(以下、「プリヘッジ」といいます)を行うことがあります。これはお客様の不利益を生じさせたりマーケットを混乱させたりするために行うものではありません。しかし、プリヘッジにより、市場の流動性等への影響を与える場合もあります。
また、複数の取引依頼を執行、リスク管理するなかで、ストップロスオーダー、バリアー、ノックアウト、ノックイン等の条件を誘発し、特定のイベントまたは参照価格に影響を与える可能性もあります。
当社は、マーケットメイク業務から想定される利益相反を適切に管理いたします。

7.電子取引

当社は、独自のシングルディーラー型電子取引プラットフォーム、及び、他社が提供する電子取引プラットフォームにインディケーション価格を配信します。お客様は電子取引プラットフォームを通じて、インディケーション価格を参照し、取引依頼を出すことができます。この方法で取引依頼を受けたときは、「ラストルック」と呼ばれる手続きによって、応諾の可否を確認します。ラストルックはリスク管理上、お客様の信用リスク枠の状況、オーダーの有効性や価格の妥当性等を検証するものです。取引依頼を受けた価格が判定処理をするラストルックウインドウの期間内に閾値を超えた場合は取引依頼を受諾しないことができます。
電子取引の利用においては、当社および第三者が提供するシステムや回線等の影響より、取引依頼の受諾や取引の成立、不成立の通知等に係る応答時間に差異が生じることがあります。

8.情報保護

当社はお客様の機密情報を厳重に管理し、関連する法令、当社の情報の取扱方針に基づき、守秘義務を遵守いたします。
ただし、当社はお客様の機密情報を以下のような特定の場合に限り、必要な範囲で外部に開示することがあります。

  1. 取引の執行、処理、清算、更改、決済に必要な場合
  2. お客様の同意がある場合
  3. 関連法令または規則に応じて開示する必要がある場合、または関連規制当局、公的機関、省庁、中央清算機関の要請がある場合
  4. 政策上の目的の為に中央銀行の要請がある場合
  5. 機密情報を保護するという条件で、アドバイザーまたはコンサルタント等に開示する場合

お客様とのコミュニケーションについては、当社内で認められた手段によってのみで行うことによって、情報保護と監査する体制を設けています。

9.マーケットカラー

当社は、お客様の取引依頼等を匿名で集計したフロー情報を市場動向と共に分析し、マーケットカラーとして社内外で利用することがあります。

10.ガバナンス

当社は、法令遵守を徹底し、法令違反の疑いがある行為が発生しないよう、十分な管理体制を整備のうえ、業務運営を行っています。また、万一、問題が発生した場合には、経営レベルにまで迅速に伝達され、適切に対処する組織体制を構築・整備しています。コンプライアンスを単なる法令遵守にとどまらず、社会常識や社会からの期待に応えることであるという考えのもと、法令遵守を超えた高いレベルでのコンプライアンスおよびコンダクトリスク管理の実現に向け、その内部管理体制のさらなる深化・充実に取り組んでいます。
リスク管理については、①営業やトレーディング業務等を行う部署、②リスク管理を行う部署、③内部監査部署のそれぞれの部署の立場を定め三つの防衛線として、重層的な管理体制を設けております。