最良執行方針(弊社グローバル・マーケッツに口座を開設されている法人のお客様向け)

2023年1月

1.対象となる有価証券

株券、投資信託(いずれも国内の金融商品取引所に上場されているもの)等、金融商品取引法施行令第16条の6に規定される「上場株券等」。なお、弊社におきましてはフェニックス銘柄である株券、新株予約権付社債券等、金融商品取引法第67条の18第4号に規定される「取扱有価証券」は原則としてお取扱いしておりません。

2.用語の定義

この最良執行方針における各用語の定義は次のとおりです。

  • 「PTS」とは、金融商品取引法施行令第26条の2の2第7項に規定される「私設取引システム」をいいます。
  • 「取引施設」とは、金融商品取引所及びPTSを総称していいます。
  • 「主要市場」とは、弊社が流動性の観点から定めた主たる金融商品取引所をいいます。
  • 「SOR」とは、「Smart Order Router」の略で、複数の取引施設の気配情報を比較し、執行価格が最良となるよう売買注文の発注を制御する情報システムをいいます。
  • 「ダークプール」とは、金融商品取引業等に関する内閣府令第70条の2第7項に規定される「社内取引システム」をいい、弊社のダークプールはお客様の売買注文を取引施設に発注する前にマッチングし、主要市場の最良気配の範囲内で注文条件が合致する注文については、売り方及び買い方の注文を金融商品取引所の立会外取引に1:1の対当売買として発注し、約定を成立させる仕組みです。
  • 「レイテンシーアービトラージ」とは、SORによって複数の取引施設に回送される注文の到達時間(レイテンシー)の差を利用して、先行して到達した取引施設の気配及び約定情報を高速な通信設備を利用して取得し、これを用いて他の取引施設で先回りして売買することにより利ザヤを稼ごうとする投資戦略及び行為のことをいいます。
  • 「IOC」とは、「Immediate Or Cancel」の略で、注文が取引施設の売買システムに到達した時点で即時に約定できなければ取り消す条件が付された注文をいいます。
  • 「ストレート注文」とは、お客様から受注した注文の全量を直ちにダークプールまたは取引施設に発注する種類の注文をいいます。ただし、SORを使用する場合は、受注数量をSORにて分割して各取引施設に発注するものを含みます。

3.最良の取引の条件で執行するための方法

  1. 弊社が採用する最良の取引の条件で執行するための方法

    弊社では、お客様からいただいた上場株券等の売買に係る委託注文は、特にご指定のない限り、次に掲げる方法により執行いたします。

    • 東京証券取引所に上場している上場株券等に係る売買注文の内、東京証券取引所の売買立会の時間外に受注したストレート注文及び、所謂計らい注文の執行に際して、寄付きの板寄せに向けて発注する部分及び引け指定条件で発注する部分についてはすべて東京証券取引所に発注します。ただし、東京証券取引所の注文受付時間外に受注した注文については、東京証券取引所が売買立会の注文受付を開始した後に発注します。
    • 東京証券取引所に上場していない銘柄につきましては、上場している金融商品取引所に取り次ぎます。複数の東京証券取引所以外の金融商品取引所に上場している場合は、主要市場に取次ぎます。
    • 東京証券取引所の立会時間内に受注した注文及び計らい注文の内、立会時間内に発注する部分につきましては、特にご指定のない限り、お客様が指定された価格条件にしたがって、弊社のダークプール及びSORを用いて、執行結果が最良となるよう次に掲げる手順にしたがって執行します。
      • まずダークプールで売買注文のマッチングを行い、マッチングした数量を東京証券取引所のToSTNeT市場で執行します。
      • マッチングできなかった数量につきましては、弊社のSORで各取引施設の気配情報を比較し、執行結果が最良となるように発注します。注文数量が複数単位で、単一の取引施設の最良気配数量では不足する場合は、全体で最良の約定価格となるよう注文を分割して複数の取引施設に同時に発注します。最良となる気配が複数の取引施設で表示されている場合は、東京証券取引所に優先して発注します。また、PTS間ではCboeジャパンを優先とします。
      • SORによる発注の結果、約定が成立しなかった残数量については、東京証券取引所の売買立会にお客様が指定された価格条件で発注します。
      • 即時に約定することのない、対当方向の最良気配よりも有利な価格での指値注文については、全量を主要市場に発注します。
    • 弊社のダークプール及びSORを利用可能な銘柄は、東京証券取引所に上場されている上場株券等とします。ただし、新株予約権付社債券、新株予約権証券及び新投資口予約権証券ならびに外国株券等の金融商品取引法第2条第1項第17号の証券は除きます。
    • 弊社のSORが気配の取得及び発注の対象とする取引施設は、東京証券取引所の売買立会で行われる各市場ならびにPTSであるジャパンネクスト証券のJ-Market(東京証券取引所の立会時間中に限る。)及びCboeジャパンのCboe Alpha(東京証券取引所の立会時間中に限る。)です。
    • お客様から予めダークプールの利用を行わない旨の指定をいただいている場合は、ダークプールでのマッチングを行わずSORを用いて発注します。
    • お客様から予め特定のPTSの利用を行わない旨の指定をいただいている場合は、指定されたPTSを除いてSORを用いて発注します。
    • 東京証券取引所に上場している銘柄で、特定のPTSが取り扱っていない銘柄については、当該PTSを除いてSORを用いて発注します。各PTSとも取り扱っていない銘柄については東京証券取引所に発注します。
    • お客様が取引施設を指定して発注された場合は、ご指定の取引施設に取次ぎます。
    • 弊社店頭における取引所外売買(弊社との相対取引または弊社の媒介)での執行は、お客様との間で取引所外売買で行う旨を確認した場合に限って行います。
  2. レイテンシーアービトラージへの対応

    弊社はお客様の注文をSORを用いて執行するにあたっては、レイテンシーアービトラージの対象となることを極力防止するために、次に掲げる方法で行います。

    • SORから各取引施設への分割発注は、一斉に行います。
    • PTSに対する発注はすべてIOCで行います。

4.当該方法を選択する理由

弊社グローバル・マーケッツに口座を開設している法人のお客様の注文を執行するにあたっては、マーケットインパクトを抑制するために、極力気配情報に反映しない様、ダークプールを優先させることが合理的であると考えます。また、ダークプールでマッチングできない注文については、複数の十分な流動性のある取引施設の気配を比較し、極力お客様に有利な価格で約定できる機会を探すことが最良の執行結果を得るために合理的と判断するからです。このため、弊社が流動性が十分ではないと判断するPTS及び東京証券取引所と重複上場している銘柄の他の金融商品取引所の気配については比較の対象から除外しています。
また、即時に約定することのない、対当方向の最良気配よりも有利な価格での指値注文については、約定可能性及び取引のスピードの面から、最も多くの投資家の需要が集中し、最も流動性の高い取引所金融商品市場に発注することがお客様にとって執行結果を最良のものとする合理的な方法であると判断しているためです。
最良となる気配が複数の取引施設で表示されている場合の取引施設間の優先順位については、約定可能性を高めるとともに、レイテンシーアービトラージを抑制する観点から、市場全体の流動性の高さと、市場参加者からの独立性の両方を重視して設定しています。
なお、東京証券取引所に上場せず、他の金融商品取引所に上場している銘柄については、全体として継続的な流動性が限定的であり、また各PTSが取り扱っていないことから、注文をすべて上場する金融商品取引所に取り次ぐことが合理的と判断しています。同様に、新株予約権付社債券、新株予約権証券及び新投資口予約権証券ならびに外国株券等の金融商品取引法第2条第1項第17号の証券については、継続的な流動性が限定的であり、また各PTSが取り扱っていないことから、注文をすべて上場する金融商品取引所に取り次ぐことが合理的と判断しています。
レイテンシーアービトラージへの対応については、各取引施設に向けて分割された注文が到達するタイミングが異なることがレイテンシーアービトラージの機会を生じさせるため、弊社のSORでの各取引施設への発注を一度に一斉に行うことで回避可能となると判断しているためです。

5.システム障害時の対応

システム障害等が生じた場合の取扱いは次の場合において、それぞれ次に掲げる方法により執行いたします。

  1. SOR対象銘柄
    • 東京証券取引所又は通信回線業者若しくは弊社のシステムの障害により、東京証券取引所への発注が行えない場合又は東京証券取引所の気配情報が取得できない場合
      基準となる気配情報が得られなくなるため、東証への発注及びPTSへの発注ならびにダークプールでのマッチングを停止します。
    • PTS又は通信回線業者若しくは弊社のシステムの障害により、特定のPTSへの発注が行えない場合
      基準となる東京証券取引所及び他のPTSの気配情報は引き続き得られるため、ダークプールでのマッチング及び当該PTSを除いたSORの利用を継続します。
  2. SOR非対象銘柄

    SOR非対象銘柄が上場する金融商品取引所又は通信回線業者若しくは弊社のシステムの障害により、当該金融商品取引所への発注が行えない場合
    流動性のある市場が利用できなくなるため、発注を停止します。

6.その他

次に掲げる取引は、上記3.に掲げる方法によらず、それぞれ次に掲げる方法により執行いたします。

  1. お客様から予め又は受注の都度、執行方法に関するご指示(弊社が自己で直接の相手方となる売買のご希望、執行する金融商品取引所、PTS等の取引場所のご希望、ダークプール利用の有無、お取引の時間帯のご希望等)があった取引
    当該ご指示いただいた執行方法(ただし、弊社が応じることのできる方法に限ります。)
  2. 単元未満株及び端株の取引
    単元未満株の売買については、単元未満株を取扱っている金融商品取引業者に取次ぐ方法(発行会社への買取請求をご希望の場合は、買取請求のお取扱いといたします。)

2022年12月30日以前に執行方法に関する予めのご指示をいただいている場合につきましては、2023年1月4日以降も同じ執行方法を継続いたします。また、執行方法の予めのご指定をいただいていないお客様につきましては、2023年12月29日までの間は、執行方法についての予めのご指定があるまで、改正前の最良執行方針にしたがって、受注した銘柄の一定期間における売買高等に基づき、主要市場に取次ぎます。

この最良執行方針は、金融商品取引法の規定にしたがい、お客様にとって最良の取引の条件でご注文を執行するための方針及び方法を定めたものです。最良執行義務とは、価格のみならず、例えば、コスト、スピード、執行の確実性等さまざまな要素を総合的に勘案して執行する義務となります。したがって、価格のみに着目すれば最良でなかったとしても、それのみをもって最良執行義務に違反することにはならないものとされております。