2026.02.26 NEW
日経平均株価が一時59,000円台に上昇、背景に3つの買い材料 野村證券・岡崎康平
撮影/タナカヨシトモ(人物)
2月26日の東京株式市場で日経平均株価は続伸し、取引時間中としては初めて59,000円台に乗せる場面がありました。野村證券チーフ・マーケット・エコノミストの岡崎康平は足元の株価上昇について、日銀審議委員の国会同意人事などを踏まえ「『高市カラー』が再び色濃くなり、リフレ政策の持続性が意識されている」と指摘。米国株高や日米の協力関係の強化なども含め、3つの買い材料が株式市場を押し上げている、と分析しています。詳しく解説します。

高まるリフレ政策への期待
- 26日は日経平均株価が一時59,000円台に上昇しました。
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最も大きな要因は、リフレ政策への期待の高まりでしょう。ある大手メディアは24日、高市早苗首相と日本銀行の植田和男総裁による2月16日の会談の内容について「高市首相が追加利上げに難色を示した」と報じました。また、25日には日銀審議委員の候補として2人の経済学者を充てる同意人事を国会に提示しました。2人はいずれも「リフレ派」とされる人物です。
日銀審議委員を巡ってはリフレ派に偏らない人選でバランスをとる、という見方もあっただけに、高市首相が緩和的な金融政策を志向し、積極的な財政政策によって経済成長を図るという姿勢が一連の動きによって改めて意識され、株価の上昇につながったと考えています。
エヌビディアの好決算も日本株式に波及
- 米国株高も追い風になったのでしょうか。
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このところ、米国株市場は米アンソロピックのAIモデル「Claude(クロード)」の発表をきっかけに、SaaS企業が打撃を受けるという見方から低調でしたが、ここ数日はその見方が和らいで株高となっていました。また、米国時間25日に米半導体大手のエヌビディアが2025年11月~2026年1月期の決算を発表しました。市場では良好な決算内容との受け止めが多く、日本株に波及した面もあるでしょう。ただし、AI需要の先行き不安を巡り、エヌビディアの業績見通しには不透明感もあるようです。実際、26日の東京株式市場では半導体関連株の一角が値下がりしています。
とはいえ、過度に悲観視する必要はないかもしれません。アンソロピックのClaudeは、AI産業全体の実用性を一段と高める可能性があります。それによって、AIの基盤となる部分であるハードウェアや電力、インフラなどの需要も増えるとみられます。一部のソフトウェア企業は影響を受けるかもしれませんが、AI業界全体にとっても日本の半導体関連株にとっても、長期的にネガティブな影響を与えるものではないでしょう。
株価を支える日米協力関係の強化
- 2月20日には米最高裁がトランプ関税に違憲判決を下しました。
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IEEPA(国際緊急経済権限法)への違憲判決の後、トランプ大統領は「通商法122条」を根拠として、10%の新たな関税を課す大統領令に署名しました。そして、その後すぐに15%に引き上げる方針を示しました。日本企業への影響については現時点では判断が難しいですが、日本と米国は18日に「戦略的投資イニシアティブ」の第1陣プロジェクトの概要を発表し、日米の協力関係が前進するタイミングでもあります。日本に対する追加関税措置など、日米関係を悪化させるような事態に発展する可能性は高くなく、「株価を大きく下押しするリスクが小さい」という意味で、通奏低音的に株価の下支え効果につながっているのではないでしょうか。
「リフレ派」審議委員の増加が金融政策に及ぼす影響
- 「リフレ派」の日銀審議委員が増えることで、金融政策にはどのような影響があるのでしょうか。
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日銀の金融政策スタンスに対する市場の見方を映す指標として「OIS(オーバーナイト・インデックス・スワップ)市場」があります。OISとは変動金利と固定金利を交換する取引の1つで、この市場の動向を見ることで「市場が予想する日銀の利上げタイミング」を確認できます。
OIS市場の動向に注目すると、日銀の利上げスタンスについて、市場での認識は大きく変わっていません。大手メディアに26日に掲載された植田総裁のインタビュー記事では、春闘の状況次第で早期利上げに踏み切る可能性が示唆され、早期利上げへの思惑が改めて強まったのかもしれません。つまり、短期的な金融政策に与える影響は限られるのではないでしょうか。
一方で、長期的な視点に立つと、見方はやや異なります。2月の衆院選での大勝を受けて、市場の一部では高市首相が長期政権を築くとの見方も出ています。植田総裁は2028年4月に任期が終わり、利上げに積極的な2人の審議委員は2027年7月にそれぞれ任期が終わります。高市政権の下、後任として新たな「リフレ派」が加われば、金融政策は長い目で見て緩和バイアスが働きやすくなります。
- 日本の株式市場は急ピッチで上昇し、過熱感も意識されています。今後、どうなるでしょうか。
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2026年は米国で中間選挙が控えています。日本でも積極財政を掲げる高市政権が今秋にかけて成長戦略、骨太の方針を策定する予定です。補正予算が編成される可能性もあります。株式市場を大きく下押しするような悪材料があまり見当たらないのが現状です。プライベート・クレジット市場のリスクにはもちろん目を向ける必要があるものの、世界的な金融危機に発展するような状況にはないと考えています。過熱感による調整を挟みながらも、緩やかな上昇トレンドが続くのではないでしょうか。
- チーフ・マーケット・エコノミスト
岡崎康平 - 2009年に野村證券入社。シカゴ大学ハリス公共政策大学院に留学し、Master of Public Policyの学位を取得(2016年)。日本経済担当エコノミスト、内閣府出向、日本経済調査グループ・グループリーダーなどを経て、2024年8月から、市場戦略リサーチ部マクロ・ストラテジーグループにて、チーフ・マーケット・エコノミスト(現職)を務める。日本株投資への含意を念頭に置きながら、日本経済・世界経済の分析を幅広く担当。共著書に『EBPM エビデンスに基づく政策形成の導入と実践』(日本経済新聞社)がある。
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