2026.04.14 NEW
中東情勢不透明でも、日経平均株価2026年末60,000円見通しを維持 米国景気3つの楽観シグナルあり 野村證券・池田雄之輔
撮影/タナカヨシトモ(人物)
中東情勢の不透明感は継続しており、株式市場は値動きの激しい展開が続いています。原油高によって物価上昇と景気悪化が同時に起きるスタグフレーションが懸念されていますが、米国景気については野村證券市場戦略リサーチ部長の池田雄之輔は「3つの楽観シグナルがある」と指摘します。米国経済の行方を展望した上で、今後の日本株の見通しを解説します。

米国経済はスタグフレーションとは程遠いと考える理由
- 中東情勢の悪化と原油高が懸念されていますが、市場の関心はどこに向かうのでしょうか。今後の注目点を教えてください。
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株式市場は中東情勢と原油価格の動向に一喜一憂する状態が続いていますが、今後、日本の企業決算が本格化する中で、市場の関心は徐々にファンダメンタルズの方に移っていくのではないかと考えています。そこで日本企業の業績に影響の大きい、米国景気の状況について見ていく上では、3つの楽観シグナルに注目しています。
米国の経済状況は原油高によって物価上昇と景気減速が同時に進行するスタグフレーションになるのではないかという懸念もありますが、参考となる経済指標を確認してみましょう。インフレ率と失業率を足し合わせた「悲惨指数」というものがあり、スタグフレーションの状況を示す参考指標と言われています。3月の悲惨指数は、インフレが3.3%、失業率が4.3%で、合計7.6%となります。今後はガソリン高の影響などによって、8.8%まで上昇すると見ていますが、その後はおそらく落ち着く見込みです。過去と比べても、悲惨なスタグフレーションの状況からは程遠いと見ています。
(出所)Bloombergより野村證券市場戦略リサーチ部作成
トランプ減税の効果も米景気の押し上げ材料に
- 2つ目の楽観シグナルについて、教えてください。
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2つ目は米国の主要な経済指標であるISM(サプライマネジメント協会)の景況感指数を見ておきたいと思います。3ヶ月移動平均のトレンドで見ると、2026年年初から製造業、サービス業のどちらも絶好調と言える強さを示しています。
(注)3ヶ月移動平均。
(出所)Bloombergより野村證券市場戦略リサーチ部作成
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その背景にあるのが、2025年7月に決まったトランプ減税です。その税還付が2026年2月~4月にかけて集中していることの好影響が表れていると見られます。この減税効果によって景気が押し上げられ、家計の可処分所得が増えている状況なので、ガソリン高のショックはうまく乗り切れる、というのがメインシナリオです。
クレジット市場は悪いシグナルを発信しているか
- 中東情勢の悪化や原油高以外にも、米国のプライベートクレジット市場を不安視する声もあります。
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たしかに、個人投資家がプライベートクレジットファンドの解約に動いているといったことが報じられています。そこで、センチメントの変化に敏感とされるハイイールド社債のスプレッドを見てみましょう。
(出所)Bloombergより野村證券市場戦略リサーチ部作成
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投資家の心理を反映している株式のVIX(恐怖)指数と比べても、大きな差はなく、特にクレジット市場が、米国経済について何か悪いシグナルを送っているというふうには見えません。どちらかというと楽観できる材料になるのではないかと考えています。
決算発表本格化を前に、今後の日本株の見通しは
- 米国景気の3つの楽観シグナルを踏まえ、今後の日本株の見通しについてはどのように見ているでしょうか。
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これまで説明してきた米国景気の強さにも支えられ、日本企業の2027年3月期の増益率は15%がメインシナリオとしています。このメインシナリオに沿った日経平均株価ターゲットは、2026年12月末に60,000円と予想しており、野村證券は中東情勢が悪化して以降もこの見通しを変更していません。
ただし決算発表シーズンには、企業が原油高を背景に慎重な利益予想を出し、株価が調整するといったことも想定できます。そのような場合にも中長期では悲観せず、押し目買いの機会とみていいのではないでしょうか。
| 2026年6月 | 2026年12月 | 2027年12月 | 2028年12月 | ||
|---|---|---|---|---|---|
| メインシナリオ | TOPIX | 3,850 | 4,000 | 4,200 | 4,400 |
| 日経平均株価 | 57,750 | 60,000 | 63,000 | 66,000 | |
| 上振れ | TOPIX | 4,350 | 4,500 | 4,800 | 5,000 |
| 日経平均株価 | 65,250 | 67,500 | 72,000 | 75,000 | |
| 下振れ | TOPIX | 3,350 | 3,500 | 3,600 | 3,800 |
| 日経平均株価 | 50,250 | 52,500 | 54,000 | 57,000 |
(出所)野村證券市場戦略リサーチ部作成
- 野村證券 市場戦略リサーチ部長
池田 雄之輔 - 1995年野村総合研究所入社、2008年に野村證券転籍。一貫してマクロ経済調査を担当し、為替、株式のチーフストラテジストを歴任、2024年より現職。5年間のロンドン駐在で築いた海外ヘッジファンドとの豊富なネットワークも武器。現在、テレビ東京「Newsモーニングサテライト」に出演中。
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