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2026.04.21 NEW

日銀4月利上げ観測後退、6月も見送りなら中長期金利は一段高へ 野村證券・宍戸知暁

日銀4月利上げ観測後退、6月も見送りなら中長期金利は一段高へ 野村證券・宍戸知暁のイメージ

撮影/タナカヨシトモ(人物)

米中東情勢を巡る市場の不安心理は後退しています。ただ、市場の反応は「戦闘開始前」への単純な回帰にはなっていません。日経平均株価が史上最高値を更新する一方、JGB(日本国債)10年は2.4%台に高止まりしています。野村證券シニア金利ストラテジストの宍戸知暁は、2026年4月の金融政策決定会合で日本銀行は利上げできないとの見方が市場で急速に広がったことで、ビハインド・ザ・カーブ(利上げが後手に回ること)への懸念が生じ、中長期金利を押し上げている可能性があるとしています。以下で詳しく解説します。

日銀4月利上げ観測後退、6月も見送りなら中長期金利は一段高へ 野村證券・宍戸知暁のイメージ

イラン情勢は年後半の日本経済に大きく影響するほどには長期化しない想定

野村證券では、イラン情勢とそれに伴う原油価格高騰は、目先では円金利の上昇要因、イールドカーブ(利回り曲線)のスティープ化(短い年限の国債利回りが低下し、長い年限の利回りが上昇する)要因になるものの、2026年後半以降の日本経済・物価見通しを大きく変えるほどには長期化しないとみています。したがって、金融政策見通しや長期金利見通しにも有意な影響は与えないと想定してきました。

株価やボラティリティーは急速に「平時」モードへ回帰も、円金利は反落せず

株式市場やボラティリティー市場が「危機」モードをほぼ完全に脱しつつある一方、各国で債券相場の戻りは鈍く、金利低下も限定的です。なかでもJGBは、停戦合意後に利回りが上昇する場面もみられるなど、相場の弱さが際立っています。

2026年4月利上げは市場であきらめムード漂う

2026年3月の日銀会合や同会合の「主な意見」を受けて高まった日銀の4月利上げ期待は、急速にしぼんでいます。同会合での利上げに否定的な観測報道に加え、利上げが景気に悪影響を及ぼす可能性に言及した片山さつき財務相の発言、景気ウォッチャー調査など景気マインド系指標の下振れも、日銀が4月に利上げへ踏み切るのは難しいとの見方を市場で強めたとみられます。16日には、OIS(翌日物金利スワップ)市場が織り込む4月の利上げ確率は2割未満に低下しました。

ビハインドザカーブ懸念が金利高止まりの背景か

4月に入って以降、4月の日銀会合での利上げ織り込みと、2年5年や5年10年の長短金利スプレッド(金利差)は明確な逆相関を示しています。ユーロ円など、いわゆるクロス円の為替レートも4月利上げ期待と逆相関(利上げ期待が低下するほどユーロ高・円安)となっています。こうした動きからは、4月利上げを見送れば、円安圧力などを通じてインフレ圧力が強まり、日銀は後になってより高い水準まで利上げを強いられるとの見方が、市場のコンセンサスになっていることがうかがえます。原油価格が低下しても中長期の円金利がほとんど低下していない背景としては、こうしたビハインドザカーブ懸念が指摘できそうです。

また、円金利市場では、米金利市場と比べて金利のインプライド・ボラティリティー(市場が織り込む予想変動率)が高めの水準にとどまっていることも、イールドカーブ(利回り曲線)のスティープ(急勾配)さが維持される要因になっているとみられます。

4月利上げ見送りの場合は6月利上げ期待をつなぎとめられるかが焦点に

野村證券では、日銀が6月の金融政策決定会合で政策金利を1.0%へ引き上げるとの予想を維持しています。4月見送りの可能性が高まっている点では、野村證券の見通し通りの展開になっていると言えますが、その場合の焦点は、日銀が同会合後のコミュニケーションを通じて市場の6月利上げ期待を維持できるかどうかです。6月の利上げもできないとの見方が市場で広がるようなら、円安圧力が高まるほか、ビハインドザカーブ懸念からイールドカーブが一段とスティープ化する可能性が高いとみられます。

目先は金利上振れリスクが大きい

野村證券では、イランへの攻撃とイランからの反撃が終息した後、比較的早い段階で原油価格が低下し、それに伴って原油高の影響で上昇した金利もいったん元に戻ると想定してきました。しかし、停戦合意後の展開はこの想定と異なっています。まず、原油価格は一応低下したものの、短期間でイラン攻撃前の水準へ戻る見通しは立っていません。次に、原油価格が低下しても、円金利はほとんど低下していません。こうした状況を踏まえると、目先は中長期金利を中心に、下振れリスクよりも上振れリスクの方が大きいと判断されます。

日銀4月利上げ観測後退、6月も見送りなら中長期金利は一段高へ 野村證券・宍戸知暁のイメージ
野村證券 市場戦略リサーチ部 シニア金利ストラテジスト
宍戸 知暁
2000年野村総合研究所入社。2003年からニューヨークの野村総研アメリカおよび米国野村證券で米国マクロ経済の分析に従事。2006年からマクロ経済分析を基礎とした米国債券市場の分析・予測を担当し、その後は米株式市場の分析およびマルチアセット・ストラテジーを担当。2022年から2年間、財務省理財局国債業務課で市場分析官として勤務し、海外市場および円金利市場の分析に従事した。2023年6月から円金利ストラテジー担当。 ファンダメンタルズ分析および中銀ウォッチを基本に、投資家の売買動向を含む市場需給見込みも加味した予測作成およびストラテジー構築を心掛けている。

※本記事は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としており、投資勧誘を目的として作成したものではございません。また、将来の投資成果を示唆または保証するものでもございません。銘柄の選択、投資の最終決定はご自身のご判断で行ってください。

 
   
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