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野村リサーチ

2026.06.05 NEW

中計目標達成で再評価される企業は? PER10倍割れに焦点 野村證券ストラテジストが解説

中計目標達成で再評価される企業は? PER10倍割れに焦点 野村證券ストラテジストが解説のイメージ

2025年度本決算に合わせて中期経営計画を公表する企業が多く見られました。しかし、依然として中期経営計画の発表は高リスク・低リターンのイベントと位置づけられています。

特に、2026年4月以降はAI・半導体関連銘柄の相場が注目を集める中で、中期経営計画のみで株価が評価されるケースは少数にとどまりました。以下では、高リスク・低リターンのイベントとなる背景と、スクリーニングのアイデアを整理します。

PBR1倍割れ企業、ROE10%以上の目標が好感されやすい

中期経営計画におけるROE(自己資本利益率)目標の平均値は10.8%、中央値は10.0%で、8%と10%に山が見られます。資本コストについては10%以上と高い企業もあれば、5%以下と低い企業も存在しますが、平均値は7.1%、中央値は7.0%です。2026年に入り、ROE下位20%分位の基点が8%に上昇しました。資本コストの平均値・中央値も8%弱まで上昇し、会社説明資料でも金利上昇の影響を指摘する企業が増えました。

中期経営計画発表前後の相対株価は、平均値で横ばい、中央値ではややアンダーパフォームする傾向がみられます。この傾向は2026年サンプルでも変わりません。また、±10%以上の超過リターンを記録する企業もあり、ハイリスク型のイベントと位置づけられます。特にPBR(株価純資産倍率)1倍割れの企業が10%以上のROE目標を掲げるとアウトパフォームが目立ちやすい一方、PBR1倍超の企業が8%以下のROE目標を示す場合はアンダーパフォームしやすい傾向にあります。

ROE高低別、ROE×PBR高低別の中計に対する株価反応(対TOPIX相対株価)

中計目標達成で再評価される企業は? PER10倍割れに焦点 野村證券ストラテジストが解説のイメージ

(注)対象は全上場企業で、2024年1月以降に公表された中期経営計画(2026年5月29日時点)。ROE目標を軸に、ROEの高低別及び発表前営業日時点のPBRの高低別でそれぞれの株価反応(対TOPIX相対株価)を算出(平均値)。2026年5月29日時点で50営業日未満しか経過していないケースは、2026年5月29日以降横ばいと仮定して算出。
(出所)JPX総研、QUICK、Bloombergより野村證券市場戦略リサーチ部作成

現預金水準の見直し、バランスシート改革、株価目標への言及が増加

直近の中期経営計画では、バランスシート効率化に踏み込む企業が増加しています。資産売却や事業再編に言及する動きが増えているのは、コーポレートガバナンス・コード(CGコード、企業統治指針)改訂を見据えた対応とみられます。株価目標についても、「PBR1倍」に限らず、「PBR1.5倍」「PBR2倍」「時価総額」などに言及する企業が増えています。

中期経営計画達成時のPERが10倍以下の企業が多い

中期経営計画達成時のPER(株価収益率)が10倍以下となる企業は多く、証券大手、信託銀行大手、生保大手、ITサービス大手、住宅大手、電力大手、海運大手などが該当します。これらの多くは足元の予想PERも10倍を下回っています。市場が将来の利益減少リスクを警戒しているともみられますが、今後の決算などを通じて中計並みの利益が見込めるようになれば、再評価されやすくなるでしょう。

2026年3月以降の中計において利益目標が示され、中計達成時のPERが10倍以下の企業
コード 企業名 時価総額
(10億円)
PBR(実績)
(倍)
PER(来期)
(倍)
ROE(実績)
(%)
1928 積水ハウス 2184.2 1.0 8.8 11.3
3391 ツルハホールディングス 895.8 1.0 17.9 7.4
3401 帝人 326.9 0.87 14.0 -22.1
4043 トクヤマ 368.2 1.3 12.2 8.2
4202 ダイセル 341.7 1.0 7.8 2.8
4204 積水化学工業 929.0 1.1 10.6 9.1
4902 コニカミノルタ 306.4 0.6 9.9 6.1
5019 出光興産 1710.7 0.9 10.4 9.4
5105 TOYO TIRE 584.2 1.1 7.7 12.8
6702 富士通 5859.6 2.9 17.1 23.9
6902 デンソー 5554.1 0.9 11.4 8.5
6923 スタンレー電気 447.4 1.0 11.6 7.0
7181 かんぽ生命保険 1594.6 0.4 9.9 4.6
7189 西日本フィナンシャルホールディングス 578.7 0.9 10.7 6.9
7337 ひろぎんホールディングス 616.0 1.1 10.6 8.2
7752 リコー 831.0 0.7 12.4 5.1
8078 阪和興業 400.7 0.86 9.1 9.4
8309 三井住友トラストグループ 3825.3 1.1 10.5 9.5
8425 みずほリース 368.0 0.9 6.7 11.7
8439 東京センチュリー 1162.4 1.0 9.6 10.4
8524 北洋銀行 367.9 0.9 9.9 6.7
8570 イオンフィナンシャルサービス 326.2 0.68 11.1 4.5
8593 三菱HCキャピタル 1909.2 0.9 10.7 8.6
9041 近鉄グループホールディングス 683.9 1.1 13.5 9.3
9101 日本郵船 2153.5 0.7 11.1 7.1
9104 商船三井 1987.9 0.7 10.0 7.7
9142 九州旅客鉄道 544.7 1.1 9.8 9.6
9502 中部電力 2217.2 0.7 11.0 7.7
9503 関西電力 2603.9 0.8 9.9 11.7

(注)対象は時価総額3,000億円以上で2026年3月以降に中期経営計画が公表された企業。このうちROE目標を示した企業、かつ、中計達成時のPERが10倍以下の企業をスクリーニング。2026年5月29日時点。
(出所)QUICK、東洋経済新報社より野村證券市場戦略リサーチ部作成

(編集:野村證券投資情報部)

編集元アナリストレポート

日本株メモ:2026年春の中計シーズン振り返り – 依然として高リスク・低リターンイベントだが、時折大化けも(2026年6月2日配信)

(注)各種データや見通しは、編集元アナリストレポートの配信日時点に基づいています。画像はイメージ。

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