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2026.07.08 NEW

日経平均株価3日続落 半導体関連株の調整が続く背景 野村證券・岡崎康平

日経平均株価3日続落 半導体関連株の調整が続く背景 野村證券・岡崎康平のイメージ

撮影/タナカヨシトモ(人物)

日本株が伸び悩んでいます。2026年7月8日の東京株式市場では日経平均株価が3日続落し、終値は前日比1437.91円安の66819.05円でした。終値ベースで史上最高値を更新した6月25日の72,366.34円と比べ、8%ほど安い水準です。投資家の注目を集めているキオクシアホールディングスの株価も、6月22日の終値からおよそ30%値下がりしました。半導体関連株がけん引した株価の上昇局面は、曲がり角を迎えたのでしょうか。野村證券チーフ・マーケット・エコノミストの岡崎康平が詳しく解説します。

日経平均株価3日続落 半導体関連株の調整が続く背景 野村證券・岡崎康平のイメージ

半導体株安の背景

日本株が下落している理由について教えてください。

週明け以降の株価の調整については、中東情勢の不安定化が背景にあると考えています。ホルムズ海峡を航行中のタンカーなどを攻撃したイランに対し、米国が空爆などの報復措置に踏み切ったことで、株式市場ではリスク回避的な動きが広がっています。そこに、6月下旬から続いていた半導体関連株の調整が重なり、下げ幅が大きくなっているのでしょう。

キオクシアホールディングスなど半導体関連株の調整が続いているのは、なぜですか。

米国や日本、韓国、台湾などの株式市場では年初来、半導体関連株が大きく上昇しました。半導体やAI関連産業の成長性が高い点は変わらないものの、ポートフォリオ内の銘柄・業種分布などが大きく偏ることに繋がったとみられます。投資家のなかには、半導体・AI関連株のウエイトを調整する「リバランス」的な動きが出た可能性がありますし、そうでなくとも追加的に半導体・AI関連株の積み増しには動きにくくなった面もあるでしょう。半導体・AIの成長性に対する見通しが悪化した、という明確な材料はないように思います。

そのため、半導体関連株の調整が長引くとは想定していません。アジアの半導体関連の輸出動向は引き続き旺盛ですし、AI向けなどデータセンターの建設も進んでいます。米国や韓国の半導体関連株の決算も、決して悪い内容ではありませんでした。市場の期待値が高くなりすぎていた面はあるものの、ファンダメンタルズが悪化しているわけではありません。「半導体バブルの崩壊」のような事態に発展する可能性は低いでしょう。やや幅が広くなる可能性は否めませんが、高値圏でのボックス推移というイメージが適切であるように思えます。急速な株価上昇がひと段落したと考える投資家は、半導体の周辺産業などに注目し始める可能性もあります。

需給のひっ迫感は永遠には続かない

リスクはありませんか。

投資にリスクは付き物ですから、「リスクなし」とは言えません。半導体産業は、「シリコンサイクル」に従うと言われます。需要超過と供給超過が繰り返されることで発生する、需給の浮き沈みですね。半導体産業では設備投資が巨額になりやすいことで知られており、これが需給変動のリズムにサイクル的な動きを生む原動力になっています。

ところが、足元では、すぐに供給が追い付けないほど、AI向けなど需要の部分が増えています。半導体の「シリコンサイクル」のサイクルが一時的に消失するような状況が、昨年後半から今年にかけて出現したわけですね。半導体業界では「スーパーサイクル」とも呼ばれる現象です。

ただ、永遠に需要超過が続くとみるのは楽観が過ぎるでしょう。需要が大きければ、半導体のサプライヤーは設備投資を通じて供給力を強化します。各社がこぞって設備投資に踏み切ると、どこかで需要超過から供給超過に市場の認識が変化します。現時点ではまだメモリ価格などは高止まりが続いていますが、供給過剰の認識が強まれば下落に転じる展開も現実味を帯びます。米アップル社の「iPhone」の値上げや米国でのデータセンター建設差し止めなど、半導体需要の勢いをそぐようなニュースにも注意が必要ですね。

株式市場は、AIの進化によって半導体需要がどこまで伸びるのか、まだ見極める局面にあると考えています。しかし中長期的には、需要の減退や供給過剰によって半導体の需給が緩むというリスクに市場の関心が集まる可能性があることも、想定しておいたほうが良いかもしれません。

半導体需要の先行きを占う「フィジカルAI」

そうならない可能性もあるということでしょうか。

はい。半導体需要が想定以上に広がりを見せる展開も、もちろん排除できません。例として、工場自動化(ファクトリー・オートメーション、FA)でのAI半導体の活用で、「フィジカルAI」とも呼ばれる分野が挙げられます。労働力不足が深刻な日本では、AIを搭載したロボットに作業を代替させるなど、省力化に向けた設備投資が受け入れられやすい環境にあります。海外でも同様です。FA関連株は日本の株式市場にたくさんあり、こうした企業の決算発表などでフィジカルAIの動向を確認しておくと、中長期的な半導体需要の動向を見極める上で役立つかもしれません。

日本株の強さが垣間見えるTOPIXの最高値更新

やはり、日本株の先行きを占うのは半導体関連なのでしょうか。

半導体関連銘柄への関心が強いのは間違いありませんが、日本の株式市場は半導体関連銘柄だけがけん引役ではありません。日経平均株価と並んで日本株の代表的な株価指数であるTOPIX(東証株価指数)は、日経平均株価の調整が続く中でもじりじりと上昇し、6日に史上最高値を更新しました。銀行株など内需関連銘柄が堅調で、株式市場全体を底上げしている印象です。半導体・AIブームの陰に隠れて目立ちませんが、実は日本経済の内需も足元で回復感を強めています。時価総額が大きい半導体銘柄が株式市場の激しい上下動を主導しやすい点は今後も変わらないと思いますが、そうした上下動を繰り返した先に内需銘柄が徐々に水準を切り上げていく、という姿が想定されます。

この点こそ、半導体・AI関連銘柄主導で株高となった韓国・台湾と、日本株の違いと言えるでしょう。韓国株・台湾株に比べ日本株は業種の裾野が広いため、半導体・AI関連のリスクを少し下げたい投資家には魅力的に映ると思います。本格的なリスク・オフ相場になれば話は別ですが、2026年初に始まった半導体・AIブームが落ち着きを取り戻していく過程では、日本株の魅力が再認識されやすいと考えます。

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野村證券 市場戦略リサーチ部 チーフ・マーケット・エコノミスト
岡崎 康平
2009年に野村證券入社。シカゴ大学ハリス公共政策大学院に留学し、Master of Public Policyの学位を取得(2016年)。日本経済担当エコノミスト、内閣府出向、日本経済調査グループ・グループリーダーなどを経て、2024年8月から、市場戦略リサーチ部マクロ・ストラテジーグループにて、チーフ・マーケット・エコノミスト(現職)を務める。日本株投資への含意を念頭に置きながら、日本経済・世界経済の分析を幅広く担当。共著書に『EBPM エビデンスに基づく政策形成の導入と実践』(日本経済新聞社)がある。

※本記事は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としており、投資勧誘を目的として作成したものではございません。また、将来の投資成果を示唆または保証するものでもございません。銘柄の選択、投資の最終決定はご自身のご判断で行ってください。

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